初恋は儚く散りゆくが、また俺は君に恋をする

プロローグ

2

桜田は赤いマントをなびかせる。
そして、涙を流す小さなその子に、手を差し伸べるのだ。




『ふえ、ひっ、ひかく、うえ、ヴぅっ、僕、僕汚い、から、だか、ら、だか、ら‥うわあああああん！』

桜田は自分の手を拒絶するその子に笑いかける。

『ふっ、安心しろ。』

次に小さなその手を優しく引いて、抱き上げた。


『ふあっ！！』

完璧な流れ作業、そして最後はこう言うのだ。


『優を、俺の


お嫁さんにしてあげる！』



『ふえ？およ、め、さん？』

『うん！だから優は、強くてレッドを助ける、レンジャーブルーみたいな、そんなお嫁さんを目指すんだぞ！』




『うっ、？う、うん！！』



幼い頃、目の前で見た約束。




あっけなくフラれた幼い俺。

俺の言いたかった言葉。
俺の言えなかった言葉。


頬を緩める里見を見て、幼いながらに全てを理解した俺は、
緑色のその綺麗な花をポトリと落とし、その場を静かに去った。







そう、昔の話だ。

だから、





「ヴ‥ふ‥ぅ‥なん‥で‥」

「ッ‥」



こんな弱っている里見なんて、





どうでもいいはずなんだ。