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第1章

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「おい、スバル。奥寺先生が泣いてるぞ?」

「す、すすすみません‥おく、おくでら‥せん、せ‥。」



「いいよ~、河口くんのその態度にはもう、慣れたよ~グスン」



俺の後ろに隠れるスバルに、残念そうな視線を送る、奥寺先生。


たぶんこの先生も、スバル狙いだったんだよな~とか思いつつ、スバルの残念な人見知りスキルに笑みを浮かべる。


去年うちのクラスの担任を務めていた奥寺先生は、身長が小さくて愛くるしい顔。そしてその持ち前の愛嬌で、生徒から大変人気がある。



まあ、生徒といっても男なのだが。


やはり、男子校ということもあり、恋愛対象は男同士でも珍しくはない。
最初は少し驚いたが、1年も通えば慣れるものだ。



先生も例外ではないようで、この奥寺先生は、スバルが入学した時から、スバルに一目惚れ。


そりゃあ、こんなイケメンなかなかいないもんな。
この、最上級レベルのスバルフェイスに恋しちゃたら、極度の人見知りスキルなんて、案外なんてことないのかも。



そう考えると、何故俺はこんな凄い男と知り合いなのだろう‥人生とは不思議なものだ

「鉄朗、なんかじじ臭いこと考えてるでしょ。」

「うるせぇ‥ほっとけ‥。」



そんな訳で、この学園は皆んな青春してると、思う。

 
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