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その身を飾るは愛と言う/白蜥
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シュクルが戻ってきたのは夜遅くになってからだった。
言葉通り、かなりの量の装飾品をティアリーゼに差し出してくる。
「私の気に入ったものだけを用意した。好みのものがあればいいが」
「え、えっと……ありがとう……?」
(ネックレスに指輪にブレスレット……これはイヤリングね。どこかのお店ごと買い取ってきたみたい……)
シュクルのお気に入り、と言うだけあって、なんとなく装飾品の意匠は似通っている。透明感のある石が付いたものを好むらしい。
「どれがいい」
「どれも嬉しいわ。……でも、こんなにたくさんどこから持ってきたの?」
「買った」
「……あなたが? お買い物したの?」
「いかにも」
(……どうやって?)
シュクルもさすがに金や店というものはわかっている。商売や経済のあれこれも地味に頭に入っているようだったが、本人が実際に買い物をするとなると話は違った。
「ちゃんと買えた……?」
「お前はときどき、私を子供のように扱う。買い物ぐらいできずしてなにが魔王か」
「う、うん。そうなんだけど……」
(得意げに言う時点で、もうなにか違うと思うの)
よほどご機嫌なのか、尻尾がぱたぱたしている。
今はそれもきちんと顔に出ているのが、少しだけ嬉しかった。
「そもそもお金はどうしたの? これだけたくさんのアクセサリーを買うとなると、それこそ……国が買えちゃうくらいの予算になりそうだけど」
(かといって粗悪品にも見えないし)
竜という性質がそうさせるのか、シュクルは一応王宮育ちのティアリーゼですら唸るほどの逸品ばかり選んでいた。
首飾りひとつで家が複数建ちかねないほどのもの。とてもシュクルのお小遣い――そんなものが魔王に存在するかはともかく――からまかなえるとは思えない。
「金は使わなかった。私には必要ない」
「……まさか、ぬす」
「盗みもしない。他者の物を奪えば、必ず報復がある」
「そうよね。そういう考え方だものね……」
シュクルの報復がどれほどのものか、ティアリーゼはよく知っている。
しかし、そうなるとますますこれをどうやって入手したのかがわからない。
ティアリーゼが頭をひねっていると、シュクルの方から口を開いた。
「人間はごみが好きだな」
「……ん?」
「私には必要のないものをありがたがる。以前、トトの話を聞いておいてよかった」
「なんのこと?」
「これを返すのを忘れていた」
なんの脈絡もなく、空のカゴを差し出される。
今朝、そこに入れておいたシュクルの皮はどこにもない。
「シュクル、ここに入ってたものは……」
「これと交換した」
なんてことのないように言うと、シュクルは装飾品のひとつを手に取る。
「獣人の、それも竜の皮だと言うと喜ばれた」
(そういうこと……!?)
ようやくティアリーゼにも合点がいく。
シュクルは自身の皮と引き換えにこれだけの財宝を手に入れてきたのだ。
確かに、人間からすれば竜の皮などとてつもない宝だろう。本物だと知るや、目の色を変えて欲しがるのも当然である。この装飾品の山にも頷けるというものだった。
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