エビクリ

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事件

第3の事件

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 家族がいない私が、彼女に憧れを持ち、またいつの間にか彼女に全てを捧げた始めたのはいつだっただろうか。この薄暗い倉庫で私はそんなことを考えていた。そして時計は19時になった。
 
 警視庁捜査一課では今厄介な事件を抱えていた。その事件は死亡推定時刻の話から全然前に進まない。私は頭を抱えていた。
 もう1時15分か。今の時代こんなにブラックなのは警視庁、刑事くらいだろう。それは時間だけではない。
 世間では昨日か今日か、もうどちらかわからないが、節分だったそうだ。私たちに襲いかかってくる、事件という鬼は豆を投げてもびくともしない。本当に笑えない。
 今回の事件の始まりは2人のキャンパーだった。Youtube配信をしている彼らは、登録者数欲しさに大雨の時、多摩川の上流でキャンプを行い登録者数や再生回数を稼ごうとしたのである。
 ライブ配信中に釣りをしている時、針が何かに引っかかった。しかし、引っかかったものは引っ張っていかないが、重過ぎて動かない。針の先に何があるのかを見にいくと、そこには。
 そういう経緯で発見された遺体だが、腐敗が進み、また川の流れにより侵食されたため、死亡推定時刻を断定するのは難しかった。
 大体の死亡推定時刻は12月25日の16時から24時の間だということだ。
 しかし、それがわかっても身元がわからない。同じ地域で、年齢、性別、身長などが大体一致する人物が見つかった。
 しかしこの人物は、この日はボーイフレンドと一緒に夜を過ごしたという証言があり、それの裏は取れているようだ。
 つまり、この人物はこの日に殺されていない。
 そうして事件は難航している。科学的な面から、死亡推定時刻を早める方法があるため、それを使ったのではないか、というのが今の見立てだ。
 「栗城さん、鑑識から腐敗を進める物質の報告はありましたか?」栗城というのは私の直属の上司で、化石のような刑事だ。こいつのせいで私は世界で一番嫌いな残業をさせられている。
 しかし、出身は東大のエリートで、手腕も一流だ。
 「いや、なかった」栗城は低い声で、そう答える。「ただ…」
 今日の最後の仕事が追加された。それはある種の通報の中で空振りに終わったものがなかったかというものだ。
 こういう時、ドラマならすごく過酷な環境の中で、必死になって書類を捲るのだろうが、そこは流石に現代だ。検索するだけで、大丈夫だ。
 供述調書のデータベースの検索欄に「異臭」と打った。
 
 次の日、私は12時まで寝て、そのまま現場に直行した。昨日は栗城から、損傷が2ヶ月置いてあったものには見えないという鑑識からの話を聞いて、別のところに置いていたのではないかという仮説が浮上した。
 そう考えると、そこで温めていたのなら、冬の寒さに保存されていた場合に比べて、腐敗が進み、死亡推定時刻が変わるというのにも、説明がつく。
 そこでデータベースに引っかかったのがこの吉良リバーサイドだ。ここでは1ヶ月前に異臭の報告があり、警察の職員が部屋の中に入り、確認したが中には何もなかったというのだ。
 今回は、その異変に気づいた垣谷さんという人に話を聞くこと、その部屋について調べることを目的としてやってきた。
 柿谷さんは50代くらいの男性で、とても優しそうな顔立ちをしていた。
「1月の上旬ごろにここで、異臭がするという旨の通報があったと思うんですけど、そのときのことおしえてもらえませんか?」
「あの時は隣の部屋の山田さんが、見つけられて、私がきた時にはもう警察が来ていたと思います。」
「どんな匂いだったか覚えていますか?」
「すいません。その時は風邪っぽい症状でして、匂いがわからなかったんですよ。」
「その部屋に住んでいた人の名前ってわかりますか?」
「確か…川辺さんだったと思います。」
「川辺さんはこの家には何時ごろ帰って見えるのですか?」
「それが…」垣谷さんは間をおいて続ける
「近所の人にも聞いてみたんですけど、みたことがないって言われて、」
「帰ってきてないってことですか?」
「山田さんは今、どこに住んでいるかわかりますか?」
「わからないです。」垣谷さんは続ける。
「その後、気になって調べてみたんですけど、本名かどうかもわからないし、」
「そうなんですか、ありがとうございます。」
 最後にその部屋、406号室を確認した。表札には、川辺と書いてあった。またその中には、まだものが多く残っていた。
 その中で目を見張ったのは、本人確認書類、その中でもその名義だった。川辺なんて文字はない。そこには廣瀬圭と書いてあった。また、垣谷さんの言う通り。14歳だった。
 
 目覚めたら…
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