森羅万象、真理を司る者~もう一つの故郷で溺愛される~

さといち

文字の大きさ
1 / 9

1 光る魔法陣のようなものがあらわれた。

しおりを挟む


……

自分は恵まれている方だと思っている。


両親とは死別して親戚もいないが、周りに自分を思ってくれる人が傍にいてくれたから。


それは俗に言う、幼なじみというもので、産まれた時から親ぐるみで仲がとても良い。仲良し4人組だ。


彼らは皆、デリケートな自分の秘密を知っているが、それを知っていても変わらず仲良くしてくれる。


両親が死んでからはむしろ過保護になったくらいで、

ありがたくもあり、申し訳なさもある。



そんな大切な友人達と高校まで一緒になり、大学からは別々になる予定だった。


いくら腐れ縁でも、全員がみな同じ学校というのは中々ないが

自分達は結構長い方ではないだろうか。



それでもずっと皆と仲良くできたらいいと思いながら、いつものように高校の屋上で、4人でお弁当を広げていた。



「お!飛鳥、それ旨そうだな!だし巻き卵か?」


「そうだね。美味しいよ?いつものことではあるけど、作ってもらってなんだか悪いな。だからって、良にはあげないよ?」



キラキラした目で話しかけながら箸を伸ばしてきたのは柿崎かきざき りょう
笑うと可愛らしい幼さの残る、快活な男子で、ムードメーカーでもある。



「飛鳥ってば、気にしないでっていつも言ってるじゃない!むしろ飛鳥のためにこっちから作りたくてお願いしてるんだし、ていうか、ファンクラブの会長である私の特権よね!」


私はクォーターの為、顔の造形が日本人とはことなる。瞳の色も何故か金色と、人間離れしている。
だから多少目立つだろう事は自分でもわかっていた。

カラコンをしても何故か金の瞳が誤魔化せず、私は敢えて視力が悪い訳でもないのに分厚い瓶底眼鏡で瞳をかくしていた。

そんなスタイルをしているというのに
なぜか自分には熱烈なファンクラブができている。


そのファンクラブから、両親のいない自分にと、お弁当を作りたいという奇特な人が沢山上がったのだが、

その奇特者があまりにも人数多かったため、仕方なしに代表としてファンクラブの会長が作ることになったらしい。

その会長というのが我が幼なじみでもある、たちばな 結衣ゆいである。


そんなクラブ会長までしている彼女にも、実はファンクラブがある。 
というより、彼女だけでなく、あとの幼なじみもう二人にもそれぞれファンクラブがある。


つまり、この仲良し4人全員にファンクラブがあるのだ。



これだけファンクラブがあれば派閥はもちろんできているが、熱烈なのは自分のクラブの人達だけらしい。



それも、ただ熱烈なというだけで、他のファンクラブの人達と問題を起こすとか、そういう迷惑なことは一切なく、なぜか皆仲が良い。



これは、私達4人が皆本当に仲が良いから、自分達もクラブの垣根を越えて仲良くしましょうということになったらしい。


平和だなー、と思う。ここの学校は皆好い人ばかりなのだ。


こういうことでも、やはり恵まれていると思う。


「そういや、飛鳥。お前は好きなヤツとかいないのか?」



突然恋愛話をぶっこんできたのは最後の幼馴染み、橘川きつかわ けい

普段からクールで、無口なタイプなだけに、まさかそんな彼から恋バナがでるとは思わなかったのか、
全員が目を丸くして彼を凝視している。


「な、何だよ。俺、何かおかしなこと言ったか?」


「おかしなことっていうか…なあ?」


「そうね、普段の慧らしくないわね。ていうか、慧は人の恋愛事なんて興味ないんだと思ってたわ。」


「…まあ、それは否定しない。他人の色恋なんて、どうでもいいしな。だが、それが飛鳥のことなら別だ。」


「!?」


「キャー!慧ってば、それもう告白しているようなものじゃない!わかってるの!?」


「あぁ、わかっている。別に俺は自分の気持ちを隠してる訳じゃない。俺は飛鳥、お前が好きだ。…まあ、まさかここで告ることになるとは思わなかったがな?」



「お、おい!黙って聞いてりゃ、待てよ!俺だって飛鳥が好きなんだ!慧に渡すつもりねーからな!!」


「ちょっと待ちなさいよ!飛鳥には私が認めた人じゃないと許さないんだから!ていうか、飛鳥は私のよ!!」


「…。」


一体、どこから突っ込めばいいのか。

中性的な外見でも、一応私は女。結衣、いつからきみのものに?結衣は女が好きだったのか?


本人ほったらかしで3人でワイのワイのと騒いでいるのを横目に、私は雲ひとつない晴天を見上げてふぅ。とため息をついた。


まあ、嫌われているよりはいいか。とりあえず、結衣に作ってもらったお弁当を食べ直す。


うん、やはり美味しい。結衣はきっと良いお嫁さんになるだろう。


さっきはいきなりの告白で驚いたけど、別に私は彼ら二人に対して特別な感情は抱いていない。


大切な友人、幼馴染みであることにかわらない。もちろん結衣に対してもそうだ。


というより、私は無意識にそういう相手を作らないようにしていた。


それは己の秘密にも関係しているが、もっと他に…そう、


何故か此処ではダメなんだ、という、何か別の意識に捕らわれているかのような…


自分でも良くわかってはいないが…いつももどかしさを感じていた。


もしかしたら、それは前世の記憶があるせいかもしれないが、


記憶があるにしろ、ないにしろ、私が私であることにはかわらない。


だから、もっと別の何かが関係しているのだろう。



「返事は直ぐにはいらない。」

「!!」



いつのまに慧が隣にきていたのか、飛鳥の耳元に囁くように言ったかと思えば、


フッと優しい笑みを浮かべていることに、飛鳥は驚いて耳を押さえてしまう。



「飛鳥が俺に、いや、俺たちに対してそんな風に見ていないことは気付いているから。」


だから返事はゆっくりでいいのだと、その声色までもに甘さを含みながら、慧は飛鳥の手を握った。


「あー!慧、抜け駆けずるいぞ!」


「そうよ!私の目が黒いうちは飛鳥は誰にも渡さないんだから!」


「お前らな…」


前世の記憶があることは、さすがに皆には話していない。

皆に話してあるのは、自分に異能の力があることだけ。しかしそれも全て話しているわけではない。


実は生き物の命を蘇らす事ができるとか、天候を操れるだとか、そんな化け物じみたことは言えず…

知ったらきっと皆私から離れていくのだろう。


両親が死んだときに、もしかしたら生き返らす事ができるのではないか、そんなことを何度も思った。

でも、たとえ本当に生き返らせたとして、その二人は本当に自分の両親のままなのか。

頭の中に、前世で母親を生き返らそうとして失敗した、金髪の少年を思い出す。

こんな、非人道的なこと、己には恐ろしくて、本当にできるかどうかもわからないことは、やはり出来なかった。


それに、は魔法のような異能がない。そんな世界で人と違うことをして、嫌われるのが怖かった。

幾度も転生を繰り返し、そういうことはもう慣れたと思っていたけれど、

まだまだ自分の心は弱かったらしい。



そんな苦々しい表情が知らず出ていたようだ。


「…飛鳥?」

「ちょっと、飛鳥、どうしたのよ?」

「具合が悪いのか!?」

皆の心配に、ハッと気付き、先ほどまで考えていたネガティブ思考を中断する。

「いや、なんでもないよ。大丈夫だよ。皆、ありがとう」


尚も心配する皆に、本当に大丈夫だからと、昼食の続きを促す。



「飛鳥、悩みがあるなら俺に相談しろ。もし俺に言いづらい事なら、コイツらもいる。」


「そうだぞ!飛鳥!遠慮するなよ!」


「飛鳥の悩みは私の悩み!飛鳥と私達の仲じゃない!」


「慧、良、結依…。ありがとう。」


皆の優しさが染みてくる…。


心からの微笑みを見せると、その笑みに魅せられたのか、皆、一様に顔を赤くし…とても和やかな雰囲気が流れた。


皆になら、いつかは、話せる時が来るかもしれない。
そんな事を考えている時だった。



ふと、何か空気の乱れを感じた。


と、同時に何か懐かしいような空気も感じ、困惑していると、すぐ真下に、光る魔法陣のようなものがあらわれた。

それは飛鳥も含む、全員を包む以上の広範囲のもので…


「!?」

「なんだあ!?」

「きゃあ!」

「飛鳥!!」


どうやら自分が透明になりだしていたらしく、それに気付いた慧が慌てて手を伸ばし、

離さないとばかりにぎゅっと抱きしめられたかと思うと、魔法陣の光がさらに増し、余りの眩しさに目を瞑れば、

何かに体が引っ張られる感じがして…



次に目を開けた頃には、見慣れない景色が眼前にあったのだった。









つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

処理中です...