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キリク・フェリス
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しおりを挟む__エリアナside
なんなのよ……
本当なら、キリクお兄様に愛されるのもあたしだった筈なのよ!
それが、あたしが別の人間に生まれ変わってしまったせいでここまで変わるなんて……!
こうなったら、もう一度術を掛けてやる。
二人一緒に、それも今までのよりも強力なやつをね!!
「おい、何しようとしてる!?やめろ!」
あぁ、そういえばまだ先生が居たわね。
未だに拘束されたままのグランツァー先生の声が横から聞こえてきたが、どうせ何もできやしない。
そう思って気にする事もなくあたしは術を練り上げた。
「あたしは、このままこんな事は認めないんだから!」
キリクお兄様の表情はむしろ余裕そうにも見える。
そんな顔をしていられるのも今だけなんだから__!!
そして、あたしは二人に向かって魔術を放った__。
「!?」
瞬間、眩い光が辺り一面に広がり、あたしの力は弾かれた。
____________________
「お兄様、大丈夫ですか?」
「……ユリーナ、なのかい?いや…………君は……」
___キリクside
あの女が魔術を放った後、目を開けていられない程の強力な輝きが起こり、
私は思わず目を瞑った。
自分を心配する声に、恐る恐る瞼を上げた視界に映ったのは、
今まで私の腕の中に居た筈のユリーナが、いつの間にか私を庇うようにして立っていた。
魔力封じの腕輪も砕けて地面に落ちている。
確かに目の前に居るのは私の最愛の妹、ユリーナで間違いない。
だが、彼女と重なって別の輪郭が見える。
その女の子は、とても懐かしくて、悲しくて……
「………サンテナ?」
私は曾て助ける事が出来なかった、大切な子の名を呼んだ。
生まれた時から病弱で、両親が、どうか健やかに育って欲しいと願って付けた名。
その願いも虚しく、彼女は儚く逝ってしまったけれど。
私が呼んだ名に驚いた顔をした彼女は、優しく微笑んで、ユリーナの中に消えていった。
『私を覚えていてくれたんだね、……ありがとう。___お兄様………』
自分の頭の中で声が聞こえた気がした。
ありがとうだなんて、
サンテナに、何も出来ないまま独りで逝かせてしまった私には、そんな風に言って貰える資格なんてない。
そう表情に知らず出ていたのだろう。
ユリーナが気にするなと言うように首をふった。
「大丈夫。お兄様、私はちゃんと幸せでした__」
「っ、ユリーナ……」
改めてユリーナを見ると、今までの姿と変わっていた。
腰まである紫色の髪が、黄金に変わり、日の光を帯びて更に輝きが増している。
ユリーナ自身も輝いたまま、
サワサワと風に靡くストレートの髪が、彼女の神秘的な姿に一役買っているようだった。
____まるで女神のようだ
その美しいユリーナの姿に魅入っていれば、
困ったように笑うユリーナ。
そして、いつの間にか森の中を覆うように照らしていた光が収まり、辺りは静寂に包まれた__
___________________
「な、な、何であんたが覚醒できるのよ!?偽物の癖に!!」
さっきも偽物という言葉は聞いた。でも、私にはエリアナの言っている事がよくわからない。
もし、エリアナ自身も転生者だという事を想定し、あるひとつの仮説を考える。
エリアナが転生者、つまり、私の事も転生者だと疑っている。いや、確信しているのだろう。
要するに、本来ユリーナとして生まれる筈だった少女が、私が転生した事により、入れ替わってしまった。
そして、その本来のユリーナが自分なのだと、エリアナは言いたいのかもしれない。
だけど、それはきっと違う。今の私には、私が私であるということがわかっているのだから。
神様の悪戯か、いずれにせよ、得体の知れない何かに惑わされたであろうエリアナも可哀想な人なのかもしれない。
だとしても、エリアナがしてきたことは、決して許される事ではないけれど__、でも………
「私が今出来るのは、浄化すること。だから、エリアナ、貴女の事も浄化させてもらうから。」
「はあ!?浄化って、別にあたしは汚れてなんかいないわよ!!」
「……信じないならそれでもいい。どちらにしても、貴女をこのままにしておく事は出来ないから。」
「ちょ、ちょっと、近づかないでよ!?」
「貴女も、本当は気付いているんじゃないの?………その姿が本当は___」
「っ!!嫌!やめてよ!来ないでったら!」
エリアナは最後の抵抗とばかりに、またも呪術を展開させる。
「………もうその力は使わない方がいいのに…」
私の言葉はエリアナに届く事はない。
もう何を言っても無駄なのだろう……
私はエリアナから視線を外し、祈りの態勢をとる。
そして、聖属性魔法を解放させた___
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