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第一章 魔法士学校編
第五話 魔法って便利だな。
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「まんじゅうこわいぃぃぃぃ!!」
大声で叫びながら目が覚めた。人生で一度もそんなセリフを発したことがないので、余程怖かったんだろうな俺。トラウマ級の夢を見てしまったみたいだ……
「まんじゅうこわい? 落語ですかぁ?」
ルナさんが白い悪魔……否、まんじゅうを幸せそうな顔で食べながら問いかける。
「ーールナさん、それ……」
「あっ、これですか? これはですねぇ、涙が出るほど美味しいと評判の泣きまんじゅうですよ! 最近ハマってるんですよぉ」
思い出した、夢じゃない。俺はこのまんじゅうを食べて気を失ったのか。しかし何故ルナさんは平気な顔をして食べているのか。
「いやぁーしかし彼方さんが泣きながら私に抱きついてきた時はびっくりしましたよぉ。そのまま倒れた彼方さんを私が看病してあげたんですよぉ」
そうだったのか。あまり覚えてはいないが、倒れて寝ている間に俺の体に何かしていないだろうな。
「看病してくれた事はありがとうございます。外があまりにも暑すぎて気分が悪くなってしまったみたいで……」
すると、ルナさんはすごく申し訳なさそうな顔をしながら頭をさげた。
「ほんっっっとうにごめんなさい! 私としたことが彼方さんに冷却魔法をかけるのを忘れていました!」
またこの人のせいか。冷却魔法って言ってたし多分暑さに耐えることができる魔法だろう。
「この国では誰もが使える魔法なので、てっきり彼方さんも普通に使えるものだとばかり……本当にごめんなさい、魔法はつかえないですもんね、ちなみに下級魔法ですけどね、ごめんなさい。はむはむ……」
謝罪中でも人を小馬鹿にすることを忘れないルナさん。これは謝罪というのか? しかもまだまんじゅう食ってるし。
「もういいです……それより今食べてるそのまんじゅう、食べても平気なのですか?」
「このまんじゅうですか? これは食べ方にちょっとしたコツがいるんです。食べる前にこのまんじゅうに魔力を注ぎ込む必要があります」
「魔力を注ぎ込まないとどうなるんですか?」
「魔力を注ぎ込まないで食べてしまうと、体中の水分が体外に放出されてーーま、まさか彼方さん、泣きながら帰ってきたのってこのまんじゅうを食べたからですか? ほんっっっとうに申し訳ございません! 魔力のない彼方さんにこんなおつかいを頼んでしまった私の責任です!」
恐ろしいまんじゅうだな。二度と買わない事を誓おう。
「とりあえず冷却魔法をかけますね! 白魔法の〈ルナ・コールド〉って言うんですけどーー」
ルナさんが俺の前で手をかざすと、一瞬俺の体が青白く光りだし、すぐに元に戻った。
「これで暑さは大丈夫です!」
なるほど、これが魔法か。なんだか思っていたものより地味だな。でも実際に目の前で見せられると改めて異世界に来てしまったんだなと実感してしまう。
「あの、ルナさんは手から火を出したり、ドラゴンを召喚したりできる魔法は使えるのですか?」
魔法っていうと俺のイメージはこんな感じだ。できれば実際に見てみたいものである。
「私これでも神様なんですよぉ? 火やドラゴンどころか世界を終焉に導くことだってできますよぉ」
怖い怖い怖い、自信満々に言っているからさらに怖い。やっぱりルナさんって狂気じみてるんだよなぁ。普通にしていたら可愛いのにもったいない。
「仕方ないですね、どうしても魔法を見たいというのなら特別にーー」
「だっ、大丈夫です!!」
「そうですかぁ……」
残念そうなルナさん。いや冷静になれ、今世界を救ったんだぞ。ルナさんは一体敵なのか味方なのか、でもサポートしてくれるって言ってくれたし、よく分からない世界だからな、信じるしかない。
ーーそういえば忘れていたが、まだ入学の手続きをしていない。今からまた行かないと行けないのか、憂鬱だな……
「そのことでしたら安心して下さい! 私が転移魔法で学校まで連れて行ってあげますよ」
ルナさんがルナさんらしからぬ素晴らしい事を言っている。
「いいのですか?」
「もちろんです! 死にかけの体験をさせてしまったお詫びをさせて下さい!」
転移魔法があるのなら最初から使ってくれよ、と言いたいがやめた。楽していけるならそれでいいじゃないか。
ルナさんは俺を見ながら両手をかざして〈ルナ・テレポート〉と唱えた。
「いってらっしゃい彼方さん!」
「行ってきます」
体が冷却魔法の時の様に青白く光ると、不思議な感覚が全身を襲い、目の前のルナさんの姿は視界から消えていた。これが転移魔法か、魔法って便利だな。
そんな事を考えていると、どこかに到着したような感覚を足から感じとった。魔法ってやはりすごいな、五秒もかかってないぞ。
改めて魔法に感動しながら目を開いてみるとーー
「グゥゥガアァァァゴワァァァァガァァ」
目の前にはドラゴンがいた。
ーーあ、死んだな俺。
大声で叫びながら目が覚めた。人生で一度もそんなセリフを発したことがないので、余程怖かったんだろうな俺。トラウマ級の夢を見てしまったみたいだ……
「まんじゅうこわい? 落語ですかぁ?」
ルナさんが白い悪魔……否、まんじゅうを幸せそうな顔で食べながら問いかける。
「ーールナさん、それ……」
「あっ、これですか? これはですねぇ、涙が出るほど美味しいと評判の泣きまんじゅうですよ! 最近ハマってるんですよぉ」
思い出した、夢じゃない。俺はこのまんじゅうを食べて気を失ったのか。しかし何故ルナさんは平気な顔をして食べているのか。
「いやぁーしかし彼方さんが泣きながら私に抱きついてきた時はびっくりしましたよぉ。そのまま倒れた彼方さんを私が看病してあげたんですよぉ」
そうだったのか。あまり覚えてはいないが、倒れて寝ている間に俺の体に何かしていないだろうな。
「看病してくれた事はありがとうございます。外があまりにも暑すぎて気分が悪くなってしまったみたいで……」
すると、ルナさんはすごく申し訳なさそうな顔をしながら頭をさげた。
「ほんっっっとうにごめんなさい! 私としたことが彼方さんに冷却魔法をかけるのを忘れていました!」
またこの人のせいか。冷却魔法って言ってたし多分暑さに耐えることができる魔法だろう。
「この国では誰もが使える魔法なので、てっきり彼方さんも普通に使えるものだとばかり……本当にごめんなさい、魔法はつかえないですもんね、ちなみに下級魔法ですけどね、ごめんなさい。はむはむ……」
謝罪中でも人を小馬鹿にすることを忘れないルナさん。これは謝罪というのか? しかもまだまんじゅう食ってるし。
「もういいです……それより今食べてるそのまんじゅう、食べても平気なのですか?」
「このまんじゅうですか? これは食べ方にちょっとしたコツがいるんです。食べる前にこのまんじゅうに魔力を注ぎ込む必要があります」
「魔力を注ぎ込まないとどうなるんですか?」
「魔力を注ぎ込まないで食べてしまうと、体中の水分が体外に放出されてーーま、まさか彼方さん、泣きながら帰ってきたのってこのまんじゅうを食べたからですか? ほんっっっとうに申し訳ございません! 魔力のない彼方さんにこんなおつかいを頼んでしまった私の責任です!」
恐ろしいまんじゅうだな。二度と買わない事を誓おう。
「とりあえず冷却魔法をかけますね! 白魔法の〈ルナ・コールド〉って言うんですけどーー」
ルナさんが俺の前で手をかざすと、一瞬俺の体が青白く光りだし、すぐに元に戻った。
「これで暑さは大丈夫です!」
なるほど、これが魔法か。なんだか思っていたものより地味だな。でも実際に目の前で見せられると改めて異世界に来てしまったんだなと実感してしまう。
「あの、ルナさんは手から火を出したり、ドラゴンを召喚したりできる魔法は使えるのですか?」
魔法っていうと俺のイメージはこんな感じだ。できれば実際に見てみたいものである。
「私これでも神様なんですよぉ? 火やドラゴンどころか世界を終焉に導くことだってできますよぉ」
怖い怖い怖い、自信満々に言っているからさらに怖い。やっぱりルナさんって狂気じみてるんだよなぁ。普通にしていたら可愛いのにもったいない。
「仕方ないですね、どうしても魔法を見たいというのなら特別にーー」
「だっ、大丈夫です!!」
「そうですかぁ……」
残念そうなルナさん。いや冷静になれ、今世界を救ったんだぞ。ルナさんは一体敵なのか味方なのか、でもサポートしてくれるって言ってくれたし、よく分からない世界だからな、信じるしかない。
ーーそういえば忘れていたが、まだ入学の手続きをしていない。今からまた行かないと行けないのか、憂鬱だな……
「そのことでしたら安心して下さい! 私が転移魔法で学校まで連れて行ってあげますよ」
ルナさんがルナさんらしからぬ素晴らしい事を言っている。
「いいのですか?」
「もちろんです! 死にかけの体験をさせてしまったお詫びをさせて下さい!」
転移魔法があるのなら最初から使ってくれよ、と言いたいがやめた。楽していけるならそれでいいじゃないか。
ルナさんは俺を見ながら両手をかざして〈ルナ・テレポート〉と唱えた。
「いってらっしゃい彼方さん!」
「行ってきます」
体が冷却魔法の時の様に青白く光ると、不思議な感覚が全身を襲い、目の前のルナさんの姿は視界から消えていた。これが転移魔法か、魔法って便利だな。
そんな事を考えていると、どこかに到着したような感覚を足から感じとった。魔法ってやはりすごいな、五秒もかかってないぞ。
改めて魔法に感動しながら目を開いてみるとーー
「グゥゥガアァァァゴワァァァァガァァ」
目の前にはドラゴンがいた。
ーーあ、死んだな俺。
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