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第一章 魔法士学校編
第八話 異世界で宅飲み!?
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「それで、ミラは何の用事があってここに来たのですか?」
「そりぁあお前決まっているだろ、酒だよ酒。酒が飲みたくて仕方がないんだ。今日は一緒に飲み明かそうじゃないか」
ミラさんはどうやら酒が飲みたくてここに来たらしい。とてつもなくくだらない用事だよ。よし、帰ってもらおう。
そもそもこの部屋を見てみろ。ほぼ半裸同然の神様以外、物なんて何もないことは部屋を入った瞬間に分かるはずだろう?
「いえ、彼方さん、あるにはあるんです。前にも言いましたが私の神技は何でも創りだすことができます。お酒だって例外ではありません。ですが……」
なにやら困った表情で歯切れ悪そうに言うルナさん。何か問題でもあるのだろうか。それにしても酒まで創りだせるなんて、俺も酒は嫌いではないどころかむしろ好きな方だし、なんだか俺まで飲みたくなってきてしまう。
「彼方さんが飲みたいのであればいくらでもお酒を出しますけど……私知らないですからね!」
飲みたくてウズウズしているミラさんを横目に、大きなため息を一息つき、お金を創りだした時と同様に自身の手を天に向かって掲げた。
しばらくすると、俺たちの目の前にビールやワイン、焼酎やカクテル、さらには美味しそうなおつまみのような物まで創りだした。
改めてルナさんの使う神技が凄いことなんだなと実感してしまう。創り出すものはアレだが、この瞬間だけは女の子ではなく本当の神様に見えてしまう。やっていることは奇術師に近いが……
「本当の神様なんですけど……まぁいいです。それよりあとは彼方さんにお任せして、私はもう寝ますね」
「まぁまぁルナよ、久しぶりに会ったんだ。そんなつれないことは言わず一緒に飲もうじゃないか」
「絶対いやです! またこの前みたいに悲惨なことになったら嫌ですので」
ミラさんの酒の席の誘いを頑なに拒んでいるルナさんは明らかに嫌そうな顔をしていた。かつて何かがあったことは明らかだが、それにしてもここまで拒んでいるということはもしかして相当やばいんじゃないか?
だが目の前に現れた大量の酒を見てしまうと、飲みたくて飲みたくて仕方がなくなり、考えることをやめた。
死ぬ前は一人で晩酌をすることが楽しみの一つだったが、今は三人、もしかすると楽しい飲み会になるかもしれない。そんな淡い期待がーー
「っぷはーーー!! うまいぃーーー!」
ミラさんもう飲んでるし。俺も飲もう。
ビールと書いてある缶を手に取ると、ちょうどいい冷たさを感じた。同時に冷たい眼差しを送ってくるルナさんをよそに、ビールを飲んでみた。
「んぐっんぐっんぐっ、っぷはーーー生き返るぅぅーーー!」
ビールの美味しさに思わずベタなセリフを声に出してしまった。まるで生き返るような味だ、死んでるけど。
「お、貴様いい飲みっぷりだな、気に入った! どんどん飲め」
酒を飲み上機嫌のミラさんは既にビールの缶を四つほど空にして、五杯目にいこうとしていた。
「ルナさんも一緒に飲みませんか? みんなで飲む方が楽しいですよ」
「……彼方さん……一杯だけですからね! 一杯だけ飲んだら私寝ますからね! どうせもう取り返しのつかない所まできていますし」
ルナさんの言葉の意味が理解できなかったが、一緒に飲めるのはちょっと嬉しかった。
あれ、そういえばルナさんって十八歳って言ってなかったか? お酒飲んだらまずいんじゃ……
「それは大丈夫です、この世界では彼方さんがいた世界と違ってお酒は十八歳から飲めるんです! それに私は神様ですし、何でもありです!」
そんなことを言いながら缶ビールを両手で持ちながらチビチビと飲むルナさんは、ほろ酔いなのか顔が少し火照っていて可愛かった。酒弱いんだな。
ルナさんとは対称的にミラさんはビールに飽きたのか、一升瓶の酒を片手にラッパ飲みをしていた。完全にオヤジじゃねーか! いや、オヤジでもこんな飲み方はしない。
ビールを飲み干した俺は二杯目に手を伸ばそうとしたが、ミラさんと目が合い、ジロジロと俺を見つめてきて唐突に
「はーーーい、ミラちゃんいまからふくをぬぎまーす! かなたくんにすりーさいずをはかってもらいまーす!」
「ブーーーーーッッ」
つい酒を吐き出してしまった。どうしたどうした? これはまずい。いや、酒が不味いんじゃない、この状況がまずい。
そうかミラさん、酔っ払うとこういう事になるのか。ルナさん先に言っておいてくれーーってそういえばルナさんはこの飲み会に乗り気じゃなかったのはそういうことか……納得。
そうこうしている間にもミラさんはふらつきながら、自分の身に纏うものを一枚ずつ脱いでいっている。
「ミラさん、落ち着いてください! あなたは学校の先生でしょ! 脱がないでください、先生失格ですよ!」
「そうですよぉーかなたくんのせんせいでーす! だからじゅぎょーをするんですよー! もんだいです、せんせいのすりーさいずをこたえなさーい」
知ってんだよスリーサイズは。しかしこの状況をどうするべきか。この間にもミラさんは脱ぐことをやめない。
ミラさんの下着があらわになった時、突然誰かの手が俺の目を覆い隠し、視界が真っ暗になった。
「これ以上は彼方さんの目に毒です。それにミラの為にもミラにはしばらく寝ててもらいましょう。〈ルナ・スリープ〉」
そう言いながらミラさんに魔法をかけると、騒がしかったミラさんは脱ぐのをやめ、静かに眠りについた。
「睡眠魔法ですよね? 永眠じゃないですよね?」
「個人的には永眠させてしまいたいところですが、一応これでも彼方さんの先生なので我慢しました!」
それは良かった。ルナさんなら間違えて殺しかねないからな。
「それより彼方さん、ミラの裸ちょっと見たいなーって思ったでしょ」
「ーーッな、そんなことあるわけないじゃないですかぁ」
「言葉に説得力がないです。神に嘘はつけないですよ! あーやらしい、私というものがありながらあーやらしいんだー」
半裸の神様に言われるとは。ここはひとまず酒を飲んで忘れよう。
黙って二杯目を飲み始めると、追いかけるようにルナさんも一杯目を飲み干し二杯目に突入した。
「邪魔者はいなくなったし、これでやっと彼方さんと二人きりで飲めますねー」
そう言いながら嬉しそうに酒を飲むルナさん。
二人きりという言葉、なんだかドキドキしてしまうからやめてくれ……
一杯だけと言っていたのに、ルナさんも酒が好きなんだな。人間らしい一面もあるんだよなぁ。
ルナさんはすぐに二杯目を飲み干し、三杯目に突入した。ペースが早いな、まさかこの人もミラさんみたいになるんじゃないだろうな?
そう思うと心配になってきたが、俺も三杯目のビールに手をかけていたのであった。
「そりぁあお前決まっているだろ、酒だよ酒。酒が飲みたくて仕方がないんだ。今日は一緒に飲み明かそうじゃないか」
ミラさんはどうやら酒が飲みたくてここに来たらしい。とてつもなくくだらない用事だよ。よし、帰ってもらおう。
そもそもこの部屋を見てみろ。ほぼ半裸同然の神様以外、物なんて何もないことは部屋を入った瞬間に分かるはずだろう?
「いえ、彼方さん、あるにはあるんです。前にも言いましたが私の神技は何でも創りだすことができます。お酒だって例外ではありません。ですが……」
なにやら困った表情で歯切れ悪そうに言うルナさん。何か問題でもあるのだろうか。それにしても酒まで創りだせるなんて、俺も酒は嫌いではないどころかむしろ好きな方だし、なんだか俺まで飲みたくなってきてしまう。
「彼方さんが飲みたいのであればいくらでもお酒を出しますけど……私知らないですからね!」
飲みたくてウズウズしているミラさんを横目に、大きなため息を一息つき、お金を創りだした時と同様に自身の手を天に向かって掲げた。
しばらくすると、俺たちの目の前にビールやワイン、焼酎やカクテル、さらには美味しそうなおつまみのような物まで創りだした。
改めてルナさんの使う神技が凄いことなんだなと実感してしまう。創り出すものはアレだが、この瞬間だけは女の子ではなく本当の神様に見えてしまう。やっていることは奇術師に近いが……
「本当の神様なんですけど……まぁいいです。それよりあとは彼方さんにお任せして、私はもう寝ますね」
「まぁまぁルナよ、久しぶりに会ったんだ。そんなつれないことは言わず一緒に飲もうじゃないか」
「絶対いやです! またこの前みたいに悲惨なことになったら嫌ですので」
ミラさんの酒の席の誘いを頑なに拒んでいるルナさんは明らかに嫌そうな顔をしていた。かつて何かがあったことは明らかだが、それにしてもここまで拒んでいるということはもしかして相当やばいんじゃないか?
だが目の前に現れた大量の酒を見てしまうと、飲みたくて飲みたくて仕方がなくなり、考えることをやめた。
死ぬ前は一人で晩酌をすることが楽しみの一つだったが、今は三人、もしかすると楽しい飲み会になるかもしれない。そんな淡い期待がーー
「っぷはーーー!! うまいぃーーー!」
ミラさんもう飲んでるし。俺も飲もう。
ビールと書いてある缶を手に取ると、ちょうどいい冷たさを感じた。同時に冷たい眼差しを送ってくるルナさんをよそに、ビールを飲んでみた。
「んぐっんぐっんぐっ、っぷはーーー生き返るぅぅーーー!」
ビールの美味しさに思わずベタなセリフを声に出してしまった。まるで生き返るような味だ、死んでるけど。
「お、貴様いい飲みっぷりだな、気に入った! どんどん飲め」
酒を飲み上機嫌のミラさんは既にビールの缶を四つほど空にして、五杯目にいこうとしていた。
「ルナさんも一緒に飲みませんか? みんなで飲む方が楽しいですよ」
「……彼方さん……一杯だけですからね! 一杯だけ飲んだら私寝ますからね! どうせもう取り返しのつかない所まできていますし」
ルナさんの言葉の意味が理解できなかったが、一緒に飲めるのはちょっと嬉しかった。
あれ、そういえばルナさんって十八歳って言ってなかったか? お酒飲んだらまずいんじゃ……
「それは大丈夫です、この世界では彼方さんがいた世界と違ってお酒は十八歳から飲めるんです! それに私は神様ですし、何でもありです!」
そんなことを言いながら缶ビールを両手で持ちながらチビチビと飲むルナさんは、ほろ酔いなのか顔が少し火照っていて可愛かった。酒弱いんだな。
ルナさんとは対称的にミラさんはビールに飽きたのか、一升瓶の酒を片手にラッパ飲みをしていた。完全にオヤジじゃねーか! いや、オヤジでもこんな飲み方はしない。
ビールを飲み干した俺は二杯目に手を伸ばそうとしたが、ミラさんと目が合い、ジロジロと俺を見つめてきて唐突に
「はーーーい、ミラちゃんいまからふくをぬぎまーす! かなたくんにすりーさいずをはかってもらいまーす!」
「ブーーーーーッッ」
つい酒を吐き出してしまった。どうしたどうした? これはまずい。いや、酒が不味いんじゃない、この状況がまずい。
そうかミラさん、酔っ払うとこういう事になるのか。ルナさん先に言っておいてくれーーってそういえばルナさんはこの飲み会に乗り気じゃなかったのはそういうことか……納得。
そうこうしている間にもミラさんはふらつきながら、自分の身に纏うものを一枚ずつ脱いでいっている。
「ミラさん、落ち着いてください! あなたは学校の先生でしょ! 脱がないでください、先生失格ですよ!」
「そうですよぉーかなたくんのせんせいでーす! だからじゅぎょーをするんですよー! もんだいです、せんせいのすりーさいずをこたえなさーい」
知ってんだよスリーサイズは。しかしこの状況をどうするべきか。この間にもミラさんは脱ぐことをやめない。
ミラさんの下着があらわになった時、突然誰かの手が俺の目を覆い隠し、視界が真っ暗になった。
「これ以上は彼方さんの目に毒です。それにミラの為にもミラにはしばらく寝ててもらいましょう。〈ルナ・スリープ〉」
そう言いながらミラさんに魔法をかけると、騒がしかったミラさんは脱ぐのをやめ、静かに眠りについた。
「睡眠魔法ですよね? 永眠じゃないですよね?」
「個人的には永眠させてしまいたいところですが、一応これでも彼方さんの先生なので我慢しました!」
それは良かった。ルナさんなら間違えて殺しかねないからな。
「それより彼方さん、ミラの裸ちょっと見たいなーって思ったでしょ」
「ーーッな、そんなことあるわけないじゃないですかぁ」
「言葉に説得力がないです。神に嘘はつけないですよ! あーやらしい、私というものがありながらあーやらしいんだー」
半裸の神様に言われるとは。ここはひとまず酒を飲んで忘れよう。
黙って二杯目を飲み始めると、追いかけるようにルナさんも一杯目を飲み干し二杯目に突入した。
「邪魔者はいなくなったし、これでやっと彼方さんと二人きりで飲めますねー」
そう言いながら嬉しそうに酒を飲むルナさん。
二人きりという言葉、なんだかドキドキしてしまうからやめてくれ……
一杯だけと言っていたのに、ルナさんも酒が好きなんだな。人間らしい一面もあるんだよなぁ。
ルナさんはすぐに二杯目を飲み干し、三杯目に突入した。ペースが早いな、まさかこの人もミラさんみたいになるんじゃないだろうな?
そう思うと心配になってきたが、俺も三杯目のビールに手をかけていたのであった。
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