12 / 19
第一章 魔法士学校編
第十一話 個人レッスン
しおりを挟む
「問題だ、1+1は何になるか答えてみろ」
「え? 2になると思うのですが」
急に始まったミラ先生の授業は小学生の算数レベルの難易度だった。いくらなんでもこのレベルは馬鹿にされているとしか思えないのだが、先生の顔を見ても表情はいたって真面目だ。
「何故2だと思う」
「それは……2というのが自然な流れであり、当たり前だからです」
「いいかよく聞け、確かに答えは2であっている。だがそれは彼方がここに来る前の世界での一般的な考え方だ。そちらの世界の常識や考え方に縛られているようではこの世界では生き残れないと思え」
「わ、わかりました」
なるほど、先生は授業を通してこの世界の立ち回り方を教えてくれているのか。
「彼方のいた世界では『十分に発達した科学は魔法と区別がつかない』という言葉があるのを知っているか?」
「クラークの法則でしょうか」
「そうだ。これには魔法という言葉が使われているのだが、彼方のいた世界には魔法は存在しない。この言葉は彼方のいた世界が三次元空間であり、物理法則に従って世界が動いていた証明になる」
「えーっと、それはつまり……」
「難しいことを言っているわけではない。魔法が存在しない世界で常識とされていた物理法則は、魔法が存在するこの世界の物理法則とは違うという事だ」
そうか、ミラ先生の胸が風呂で浮いているのも物理法則に従っているということか。
「例題をだしてやろう。彼方の頭の上から石が落ちてきたとする。この時、彼方ならどうする」
「……え、えっと、うーん、そうですね……どのくらいの高さから落ちてきたのか分からないので、手でキャッチとかもできないし、前後もしくは左右に避けます」
「四通りの避け方か。それは前の世界での物理法則にとらわれている証拠だ。この世界で同じことが起こる場合、百通り以上の行動パターンがある」
「それは……魔法が存在するからでしょうか?」
「そのとおりだ。石が落ちてきてその石が二つ三つになる、大きくなる、曲がる、火がつくなど様々なパターンがある。これらを瞬時に予想し最善の行動をとるべきだと私は考えている」
なるほど、今までの常識でいくとすぐに死ぬということも納得だ。確かに魔法があると何が起こるか分からないからな。人間の出来ることの範疇なんて軽々こえられるだろうし。
「いいか彼方、魔法は物理を圧倒的に凌駕するが、この世界ではそれが至極当然なことであり、誰もが魔法を使える。なので何が起きてもそれが当たり前な事だと思いながら行動しろ」
「……は、はい……わかり……ました……」
ミラ先生が裸のせいで目を合わせる事はできないが、授業をしている先生は本当にしっかりしている。
授業を受けてよかった。魔法を覚える前にこの世界の価値観に近づけたおかげで、死ぬリスクを大幅に減らせるかもしれない。
それにしても体が熱い。一体どれくらいの間、風呂に浸かっているのだろうか。難しい話をされた覚えはないが次の日には忘れてしまいそうだ……
「おい彼方、大丈夫か? ボーっとしているがまだ授業は序盤だぞ。あと三時間は授業をするつもりなのだが」
「……すみません、なんだか集中できなくて……頭が……というか体が重くて……」
「おでこを出してみろ」
そう言いながらミラ先生は俺のおでこに手を当てた。どうやら熱をはかっているようだ。それにしても、ミラ先生の手はすべすべしていてほんのり冷たく、ちょうどいい気持ち良さだった。
「少し熱があるみたいだな。このまま授業をしても意味がないから今日のところはゆっくり休め。そのかわり、明日からはしっかり授業をしていくからな」
「わかりました……ありがとうございます」
するとミラ先生は突然俺の身体を抱き抱えた。いわゆるお姫様抱っこと言うやつだ。
お姫様抱っこは本来なら男性が女性にするものだと記憶しているが、女性に抱き抱えられるのはこの上ない恥ずかしさがある。裸だし。
だが熱があるせいか、抵抗するよりも早く休みたかったのでここは先生に任せることにした。
「彼方……貴様軽いな、本当に男か? しかし下についているものを見ると立派な男だな」
「ーーなっ、見ないでくださいよ!!」
「あーはっはっはっ、恥ずかしいだろ? だったらしっかり鍛えて体調を常に万全の状態にするんだな。部屋まで運んでやるから大人しく寝ていろ」
こんな姿絶対に誰にも見られませんように……神様お願いします……あっ……
神様に祈った瞬間ルナさんの事を思い出し、フラグが立った様な気がした。
「え? 2になると思うのですが」
急に始まったミラ先生の授業は小学生の算数レベルの難易度だった。いくらなんでもこのレベルは馬鹿にされているとしか思えないのだが、先生の顔を見ても表情はいたって真面目だ。
「何故2だと思う」
「それは……2というのが自然な流れであり、当たり前だからです」
「いいかよく聞け、確かに答えは2であっている。だがそれは彼方がここに来る前の世界での一般的な考え方だ。そちらの世界の常識や考え方に縛られているようではこの世界では生き残れないと思え」
「わ、わかりました」
なるほど、先生は授業を通してこの世界の立ち回り方を教えてくれているのか。
「彼方のいた世界では『十分に発達した科学は魔法と区別がつかない』という言葉があるのを知っているか?」
「クラークの法則でしょうか」
「そうだ。これには魔法という言葉が使われているのだが、彼方のいた世界には魔法は存在しない。この言葉は彼方のいた世界が三次元空間であり、物理法則に従って世界が動いていた証明になる」
「えーっと、それはつまり……」
「難しいことを言っているわけではない。魔法が存在しない世界で常識とされていた物理法則は、魔法が存在するこの世界の物理法則とは違うという事だ」
そうか、ミラ先生の胸が風呂で浮いているのも物理法則に従っているということか。
「例題をだしてやろう。彼方の頭の上から石が落ちてきたとする。この時、彼方ならどうする」
「……え、えっと、うーん、そうですね……どのくらいの高さから落ちてきたのか分からないので、手でキャッチとかもできないし、前後もしくは左右に避けます」
「四通りの避け方か。それは前の世界での物理法則にとらわれている証拠だ。この世界で同じことが起こる場合、百通り以上の行動パターンがある」
「それは……魔法が存在するからでしょうか?」
「そのとおりだ。石が落ちてきてその石が二つ三つになる、大きくなる、曲がる、火がつくなど様々なパターンがある。これらを瞬時に予想し最善の行動をとるべきだと私は考えている」
なるほど、今までの常識でいくとすぐに死ぬということも納得だ。確かに魔法があると何が起こるか分からないからな。人間の出来ることの範疇なんて軽々こえられるだろうし。
「いいか彼方、魔法は物理を圧倒的に凌駕するが、この世界ではそれが至極当然なことであり、誰もが魔法を使える。なので何が起きてもそれが当たり前な事だと思いながら行動しろ」
「……は、はい……わかり……ました……」
ミラ先生が裸のせいで目を合わせる事はできないが、授業をしている先生は本当にしっかりしている。
授業を受けてよかった。魔法を覚える前にこの世界の価値観に近づけたおかげで、死ぬリスクを大幅に減らせるかもしれない。
それにしても体が熱い。一体どれくらいの間、風呂に浸かっているのだろうか。難しい話をされた覚えはないが次の日には忘れてしまいそうだ……
「おい彼方、大丈夫か? ボーっとしているがまだ授業は序盤だぞ。あと三時間は授業をするつもりなのだが」
「……すみません、なんだか集中できなくて……頭が……というか体が重くて……」
「おでこを出してみろ」
そう言いながらミラ先生は俺のおでこに手を当てた。どうやら熱をはかっているようだ。それにしても、ミラ先生の手はすべすべしていてほんのり冷たく、ちょうどいい気持ち良さだった。
「少し熱があるみたいだな。このまま授業をしても意味がないから今日のところはゆっくり休め。そのかわり、明日からはしっかり授業をしていくからな」
「わかりました……ありがとうございます」
するとミラ先生は突然俺の身体を抱き抱えた。いわゆるお姫様抱っこと言うやつだ。
お姫様抱っこは本来なら男性が女性にするものだと記憶しているが、女性に抱き抱えられるのはこの上ない恥ずかしさがある。裸だし。
だが熱があるせいか、抵抗するよりも早く休みたかったのでここは先生に任せることにした。
「彼方……貴様軽いな、本当に男か? しかし下についているものを見ると立派な男だな」
「ーーなっ、見ないでくださいよ!!」
「あーはっはっはっ、恥ずかしいだろ? だったらしっかり鍛えて体調を常に万全の状態にするんだな。部屋まで運んでやるから大人しく寝ていろ」
こんな姿絶対に誰にも見られませんように……神様お願いします……あっ……
神様に祈った瞬間ルナさんの事を思い出し、フラグが立った様な気がした。
0
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。
そのまま半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。
だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。
凛人はその命令を、拒否する。
不死であっても無敵ではない。
戦いでは英雄王に殴り倒される始末。しかし一つ選択を誤れば国が滅びる危うい存在。
それでも彼は、星を守るために戦う道を選んだ。
女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。
これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる