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第一章 魔法士学校編
第十四話 白魔法と黒魔法
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「それではまず彼方は黒板の前に来い。ベガとアトリアは通常訓練を行い、その後はグラウンドで組手だ」
「はい!!」
ベガとアトリアは先生の指示に対し、返事をシンクロさせながら足早に教室から出ていった。
黒板の前に行くと先生が、何やら見たことのない奇妙な絵や文字などを淡々と書いている。
しかし何故だか不思議なことにその奇妙な文字で書かれている言葉を、頭で瞬時に理解できてしまう。もしかするとルナさんに知識を与えられた時の影響かもしれない。
たまには神様も役に立つ時があるんだなぁ。出来れば魔力容量も神様の力で何とか良い感じにして欲しかったのだが……
「では今から、この世界の魔法について説明する」
「はい、よろしくお願いします」
「まずこの世界には白魔法と黒魔法という二種類の魔法が存在する。白魔法は我々人間が使える魔法、そして黒魔法は魔族が使う魔法だ」
「先生が使っていた火炎魔法や転移魔法は白魔法ということですか?」
「そうだ。そして白魔法を使うには一定の魔力と魔法名の詠唱、それから魔法のイメージが必要となる。もちろん白魔法の効果や威力が高ければ高いほど消費する魔力も大きくなっていく」
「魔力を消費しすぎて枯渇することはあるのでしょうか?」
「良い質問だな。貴様がよく知っている神様のルナがいるだろ? あいつが帝国全土の魔法士の魔力を供給している。なので使ったらその分だけ勝手に補充される。例外はあるが無くなることはまずない」
「例外……?」
「帝国は月に一度、帝国全土で太陽祭という祭が開催されるのだが、この時だけは魔法士の魔力がゼロになる。太陽祭の時にルナが帝国民の魔力を一度元に戻すからだ。太陽祭が終わればまた瞬時に供給される」
この世界にも祭というものが存在するんだな。面白そうだし卒業したら絶対に参加しよう。
しかし、祭りの時にだけ魔力がゼロになるのは何故なのだろうか。祭りの日くらい魔法は忘れて人間らしく楽しめということなのか? 何にせよ魔力容量ゼロの俺には全く関係ないけどな。
「次は黒魔法について説明する。黒魔法は魔族が使う魔法だ。文字通り黒い見た目をしていて、黒い炎を出したり黒い氷を出したり、色々あるがとにかく黒い」
「すみません、その前に魔族という明らかに敵っぽい勢力が存在するのですか?」
「そうか、彼方がいた世界には魔族はいなかったな。魔族は帝国の外から侵攻してくる敵勢力だ。見た目は様々だが人外なので見たらすぐに分かるだろう」
「だが厄介なことに魔族は人を喰らうのだが、人を喰った魔族はどうなると思う? これは問題だ、答えてみろ」
急に問題が飛んできた。こういう先生居たなぁ。お喋りしてたり窓の外を見てたらあててくるんだよな。
「えーっと、強くなる……とか?」
「半分正解だ。強くなるだけならまだ良い。だが魔族は人を喰らうと人と同じ姿になる。これを魔人と呼んでいるのだが、こうなってしまうと判別が出来なくなってしまう」
こわっ。帝国内に普通に魔人がいるかもしれないってことか。卒業したらルナさんの家でニート生活が決定しました。
「それだけではない。魔族は人を喰らうと喰われた奴が使える白魔法や魔力容量をそのまま保持してしまう。つまり魔人になると黒魔法に加えて白魔法も扱えるということになる」
「だったら帝国ってとても危険なんじゃ……?」
いくら白魔法が使えるとしても、敵が味方か判別できない魔人がいるとなるとお手上げじゃないか。
「その危険を最小限に抑えるために魔法士がいるんだ。魔族を見つけたら魔法士はランクに関係なく殲滅しなければならない。これは帝国法により定められている」
魔法士ってなんだか害虫駆除業者みたいだな。しかも法律で定められているとか、魔力容量ゼロの俺が資格を持っても死体が一体増えるだけだと思うが……
「他にも帝国には帝国魔法士隊という軍隊がある。帝国全土の脅威に直ちに対処する心強いやつらだ」
「あとは、帝国全土に張り巡らされている結界だな。これは四大魔女と呼ばれる魔力の高い四人の魔法士が東西南北の四ヶ所で結界を維持している。これがまた強力でな、魔族は中々侵入出来ないんだ」
「四大魔女の話はルナさんから聞いたことがあります。ミラ先生は四大魔女の一人なんですよね?」
「そうだ。ここは帝国の東に位置しているから私は東の魔女ということになる。彼方はもしかすると魔女に会う時が来るかもしれないから、その時は気をつけた方がいいな」
「気をつけるってどういう意味でしょうか?」
「私みたいに才色兼備で容姿端麗な、性格の良い魔女だけではないという事だ。他の三人はクセのある扱いにくい魔女だから気をつけておけ」
え、ちょっと意味がわかりません。いや半分くらいは当たっている気がしないでもないが、性格が良いという部分はちょっと引っかかるぞ。口には出さないけど。
「一応気をつけておきます……」
出来れば他の魔女には出会わない事を祈る……祈ったらフラグが立つとかやめてくれよ。
「とりあえず魔法についてはこんな感じだ。他にも教えることはあるが、口頭で教えるより実践する方が早いからな。今は基礎だけ頭に入れておけ」
「最初だから今日はこのくらいにして後はベガとアトリアが帰ってきたら色々な場所を案内してもらうといい」
「わかりました、ありがとうございます」
なんだか意外と普通の授業で安心した。きっと魔法が使えるようになれば実践が始まって、もっとキツい授業になるんだろう。なんだか複雑な気分だな……
「はい!!」
ベガとアトリアは先生の指示に対し、返事をシンクロさせながら足早に教室から出ていった。
黒板の前に行くと先生が、何やら見たことのない奇妙な絵や文字などを淡々と書いている。
しかし何故だか不思議なことにその奇妙な文字で書かれている言葉を、頭で瞬時に理解できてしまう。もしかするとルナさんに知識を与えられた時の影響かもしれない。
たまには神様も役に立つ時があるんだなぁ。出来れば魔力容量も神様の力で何とか良い感じにして欲しかったのだが……
「では今から、この世界の魔法について説明する」
「はい、よろしくお願いします」
「まずこの世界には白魔法と黒魔法という二種類の魔法が存在する。白魔法は我々人間が使える魔法、そして黒魔法は魔族が使う魔法だ」
「先生が使っていた火炎魔法や転移魔法は白魔法ということですか?」
「そうだ。そして白魔法を使うには一定の魔力と魔法名の詠唱、それから魔法のイメージが必要となる。もちろん白魔法の効果や威力が高ければ高いほど消費する魔力も大きくなっていく」
「魔力を消費しすぎて枯渇することはあるのでしょうか?」
「良い質問だな。貴様がよく知っている神様のルナがいるだろ? あいつが帝国全土の魔法士の魔力を供給している。なので使ったらその分だけ勝手に補充される。例外はあるが無くなることはまずない」
「例外……?」
「帝国は月に一度、帝国全土で太陽祭という祭が開催されるのだが、この時だけは魔法士の魔力がゼロになる。太陽祭の時にルナが帝国民の魔力を一度元に戻すからだ。太陽祭が終わればまた瞬時に供給される」
この世界にも祭というものが存在するんだな。面白そうだし卒業したら絶対に参加しよう。
しかし、祭りの時にだけ魔力がゼロになるのは何故なのだろうか。祭りの日くらい魔法は忘れて人間らしく楽しめということなのか? 何にせよ魔力容量ゼロの俺には全く関係ないけどな。
「次は黒魔法について説明する。黒魔法は魔族が使う魔法だ。文字通り黒い見た目をしていて、黒い炎を出したり黒い氷を出したり、色々あるがとにかく黒い」
「すみません、その前に魔族という明らかに敵っぽい勢力が存在するのですか?」
「そうか、彼方がいた世界には魔族はいなかったな。魔族は帝国の外から侵攻してくる敵勢力だ。見た目は様々だが人外なので見たらすぐに分かるだろう」
「だが厄介なことに魔族は人を喰らうのだが、人を喰った魔族はどうなると思う? これは問題だ、答えてみろ」
急に問題が飛んできた。こういう先生居たなぁ。お喋りしてたり窓の外を見てたらあててくるんだよな。
「えーっと、強くなる……とか?」
「半分正解だ。強くなるだけならまだ良い。だが魔族は人を喰らうと人と同じ姿になる。これを魔人と呼んでいるのだが、こうなってしまうと判別が出来なくなってしまう」
こわっ。帝国内に普通に魔人がいるかもしれないってことか。卒業したらルナさんの家でニート生活が決定しました。
「それだけではない。魔族は人を喰らうと喰われた奴が使える白魔法や魔力容量をそのまま保持してしまう。つまり魔人になると黒魔法に加えて白魔法も扱えるということになる」
「だったら帝国ってとても危険なんじゃ……?」
いくら白魔法が使えるとしても、敵が味方か判別できない魔人がいるとなるとお手上げじゃないか。
「その危険を最小限に抑えるために魔法士がいるんだ。魔族を見つけたら魔法士はランクに関係なく殲滅しなければならない。これは帝国法により定められている」
魔法士ってなんだか害虫駆除業者みたいだな。しかも法律で定められているとか、魔力容量ゼロの俺が資格を持っても死体が一体増えるだけだと思うが……
「他にも帝国には帝国魔法士隊という軍隊がある。帝国全土の脅威に直ちに対処する心強いやつらだ」
「あとは、帝国全土に張り巡らされている結界だな。これは四大魔女と呼ばれる魔力の高い四人の魔法士が東西南北の四ヶ所で結界を維持している。これがまた強力でな、魔族は中々侵入出来ないんだ」
「四大魔女の話はルナさんから聞いたことがあります。ミラ先生は四大魔女の一人なんですよね?」
「そうだ。ここは帝国の東に位置しているから私は東の魔女ということになる。彼方はもしかすると魔女に会う時が来るかもしれないから、その時は気をつけた方がいいな」
「気をつけるってどういう意味でしょうか?」
「私みたいに才色兼備で容姿端麗な、性格の良い魔女だけではないという事だ。他の三人はクセのある扱いにくい魔女だから気をつけておけ」
え、ちょっと意味がわかりません。いや半分くらいは当たっている気がしないでもないが、性格が良いという部分はちょっと引っかかるぞ。口には出さないけど。
「一応気をつけておきます……」
出来れば他の魔女には出会わない事を祈る……祈ったらフラグが立つとかやめてくれよ。
「とりあえず魔法についてはこんな感じだ。他にも教えることはあるが、口頭で教えるより実践する方が早いからな。今は基礎だけ頭に入れておけ」
「最初だから今日はこのくらいにして後はベガとアトリアが帰ってきたら色々な場所を案内してもらうといい」
「わかりました、ありがとうございます」
なんだか意外と普通の授業で安心した。きっと魔法が使えるようになれば実践が始まって、もっとキツい授業になるんだろう。なんだか複雑な気分だな……
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