いつまでも自分らしくいてね

ぱちきん

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現実と夢の狭間で

親は現実しか見ない

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人生なんてくだらない、くだらないな。あたしは17歳で、いくら昔に比べたらJKの価値が薄れてるっていっても女の子としては一番価値のあるお年頃で、大人から見れば可能性なんてはちきれんばかりに溢れているのに、あたしはため息と同じ回数だけ「くだらない・・・」って連呼していた。


希望がない。あたしは大学に行きたかったのに、どうやら我が家には娘を大学に行かせるだけのお金がないらしい。父も母も働いているが、家のローンも残っているし、弟や妹のことなど考えればあたしを大学に行かせるだけの余裕はないのだそうだ。


ショックだった。あたしの家は決して貧しい部類ではない。父は名前を聞いたら知らない人はいない製薬会社の工場で15年以上勤務しており、母はあたし・弟・妹の3人の面倒を見つつ、空いている時間で近所のスーパーマーケットでパートで働いている。どこにでもある家庭で、日本人全体で考えれば中流といわれる部類の家庭だった。にもかかわらずお金がないだなんて、この国はどうなってしまっているんだろう?あたしの将来はどうなるんだろう?


あたしは芸大に行きたかった。14歳の頃から美術部に所属していて、絵を書くのが好きで、できることならばずっと絵を描いて暮らしていきたいと思ったからだ。でも母はダメだっていう。お金がないからって。父は何もいわないけれど。母は国立大学の理系ならば行っても構わないという。


「今時芸大なんて行ったって、あんた何になるの。高い学費払って。何にもならないなんて。母さんは絶対嫌だからね。絵描きなんてなれるわけがないじゃないの。甘い時代じゃないんだから。大学に行くっていうのはね、あんたからすればただの進学かもしれないけれど、親から見れば投資なの。確実にリターンが見込めないならばお金を出したくないの。芸大なんて行ったって、結果出なければ高卒と一緒じゃないの。いい。理系に行きなさい。国立の理系。それ以外は許さないから。小保方さんみたいになるんならお金を出してあげる。失敗しない場合の、ifの、小保方さん。」


「高卒と一緒だなんていうけれど、もし絵描きになれなくてもやっぱり大卒は大きいよ。ないよりはある方がいいって。」


「そりゃそうだけれど、コストに対するリターンが見込めないって言っているの。あ、そうだ。通信教育で芸大行きなさい。あれなら安いから。どうせ卒業すれば同じ大卒だし、大丈夫。」


「通信って何なの?家で勉強するの?キャンパス行かないの?そんなの意味ないじゃない。あたしは絵描きにもなりたいけれど、普通の大学生としての暮らしもエンジョイしたいの。」


「贅沢だね。なら、自分で行きなさいよ。学費稼いで、奨学金とか申し込んだりして。それなら母さんも父さんも何の負担もないから、自由におやり。あ、ただ水商売とかはダメよ。父さんが自殺してしまいかねないから。父さん真面目だから。いい。本当にうちには余裕ないからね。これなら絶対お金出しても返ってくる!って確信がもてなきゃホイホイお金出せないのよ。母さんが話すとあんまり深刻そうに見えないと思うけれど、本当だからね。」


「わかった、わかったよ。じゃあ自分でお金稼ぐよ。今のアルバイトだけじゃなくて、他のバイトとかも考えてみるよ。それでいいんだよね?」
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