17 / 18
17、『登場人物』である私
――私は頭を抱えていた。
《ヒロインの名前》を《言葉》にも《文字》にも《思い浮かべる》ことすら出来ない事実にどうしたらいいのかと、もはや恐怖でしかないと。
「はぁぁぁっ」
思いっきり溜め息をついてしまう。
「いったいこれはどう言うことなの……。」
ヒロインの名前を呼べない、書けない、思い浮かべられない……という変えようのない事実にこれからどうすればいいのかがわからなくなってしまう。
ーーどんなに考えてもわからないことだらけ。
誰かに相談でもできたらいいけど、それもできない。
何より、《転生》とか《憑依》とか《小説の世界》とか、どれにしたってそんなに簡単には相談できるものではない。
勿論、《同じ境遇》をしている人であれば話してもいいけど……そもそもそんな人をそう易々と探せるものでもない。
声に出して探せないのであれば、行動を見て、小説の世界と比較しなければならないので、非常にややこしい作業であることには間違いない。
ーーホント、これに関しては偶然出会うまで待つしかないことだった。
ーー結果、変わらずひとりで抱えることになる。
「……はあぁぁぁっ。」
ーー私はぐしゃぐしゃに書きなぐった『相関図』の書きかけを見つめる。
すると、強烈なイメージが頭に思い浮かぶ。
ーーそう、自分が殺されて血を流しているシーンだ。
「………な、何!?」
その強烈すぎるイメージに、私はかなり動揺してしまう。
それでも………と、私はようやくつかんだ手掛かりを、自分の死因、自分が死に至る原因を把握するべく強烈なイメージをもう一度、思い出そうとする。
じっと記憶を呼び覚まそうとすると、少しずつ、フラッシュバックのように途切れ途切れと、切り取られた場面が一枚ずつ頭の中をひらひらとめくれていく。
どうにかこうにか、連続で見れないものかと頭の中を整理しようとする。
でも、まるで風で飛ばされる紙のように押さえていないと忘れてしまいそうになる。
ーーせめて、重要なシーンだけでも取り逃がさないようにつかみに行く。
『ーー王宮へ乗り込んだ公爵は阻止しようとした騎士や使用人たちを斬り殺していく』
『公爵を止めようとした若い青年。彼は公爵を慕っていた青年だ』
『とにかく一度思い止まって欲しいと食い下がると、公爵は振りほどこうとする』
『剣を持った手の方を止めにきて、咄嗟に振り払った公爵。しかし、その振り払った手に握られていた剣が青年の腹に突き刺さってしまっていた』
『驚いていた公爵は、後ろから音がしたので、反射的に青年に突き刺さった剣を抜いて音のした方に剣を振り下ろす』
『公爵の剣が斬ったのは、まだ幼さを残す女性だった。驚いたように血を吐きながら自分を見つめる瞳に見覚えがあった』
『公爵はすぐに気が付いた。そう、たった今剣で腹を貫いた青年と同じ色の瞳をしていたことに』
『そう、公爵は青年とその妹を殺してしまったのだった』
『それでも、もう止まることが出来ない公爵は、せめてもの償いと思ったのか、二人の兄妹の手を握らせると、謁見の間に向かうのだった』
『二人の兄妹は握り合う手に力をいれられずに、ただ泣きながら死ぬ行く愛する家族の姿を目に焼き付けた』
「……はぁぁぁぁぁ」
小説の文章を完全には思い出せなかったけど、だいたいの感じと流れを思い出した。
まあ、状況さえ掴めれば良かったのだけれども……。
思い出してしまった《小説での自分のラスト》。
「……事故とはいえ、あの人に殺されてしまうのね」
私はこれまで以上にショックを受けている自分に気が付いた。
また溜め息が口からでてくる。
手を額に当てて天井を見上げた。
私は自分がただショックを受けているのか、本気で傷付いているのか、その両方なのか考える。
《小説と現実の間》で、まだ私は迷っていた。
本当にこれを現実として受け止めることができているのか、また迷ってしまうのだった。
《ヒロインの名前》を《言葉》にも《文字》にも《思い浮かべる》ことすら出来ない事実にどうしたらいいのかと、もはや恐怖でしかないと。
「はぁぁぁっ」
思いっきり溜め息をついてしまう。
「いったいこれはどう言うことなの……。」
ヒロインの名前を呼べない、書けない、思い浮かべられない……という変えようのない事実にこれからどうすればいいのかがわからなくなってしまう。
ーーどんなに考えてもわからないことだらけ。
誰かに相談でもできたらいいけど、それもできない。
何より、《転生》とか《憑依》とか《小説の世界》とか、どれにしたってそんなに簡単には相談できるものではない。
勿論、《同じ境遇》をしている人であれば話してもいいけど……そもそもそんな人をそう易々と探せるものでもない。
声に出して探せないのであれば、行動を見て、小説の世界と比較しなければならないので、非常にややこしい作業であることには間違いない。
ーーホント、これに関しては偶然出会うまで待つしかないことだった。
ーー結果、変わらずひとりで抱えることになる。
「……はあぁぁぁっ。」
ーー私はぐしゃぐしゃに書きなぐった『相関図』の書きかけを見つめる。
すると、強烈なイメージが頭に思い浮かぶ。
ーーそう、自分が殺されて血を流しているシーンだ。
「………な、何!?」
その強烈すぎるイメージに、私はかなり動揺してしまう。
それでも………と、私はようやくつかんだ手掛かりを、自分の死因、自分が死に至る原因を把握するべく強烈なイメージをもう一度、思い出そうとする。
じっと記憶を呼び覚まそうとすると、少しずつ、フラッシュバックのように途切れ途切れと、切り取られた場面が一枚ずつ頭の中をひらひらとめくれていく。
どうにかこうにか、連続で見れないものかと頭の中を整理しようとする。
でも、まるで風で飛ばされる紙のように押さえていないと忘れてしまいそうになる。
ーーせめて、重要なシーンだけでも取り逃がさないようにつかみに行く。
『ーー王宮へ乗り込んだ公爵は阻止しようとした騎士や使用人たちを斬り殺していく』
『公爵を止めようとした若い青年。彼は公爵を慕っていた青年だ』
『とにかく一度思い止まって欲しいと食い下がると、公爵は振りほどこうとする』
『剣を持った手の方を止めにきて、咄嗟に振り払った公爵。しかし、その振り払った手に握られていた剣が青年の腹に突き刺さってしまっていた』
『驚いていた公爵は、後ろから音がしたので、反射的に青年に突き刺さった剣を抜いて音のした方に剣を振り下ろす』
『公爵の剣が斬ったのは、まだ幼さを残す女性だった。驚いたように血を吐きながら自分を見つめる瞳に見覚えがあった』
『公爵はすぐに気が付いた。そう、たった今剣で腹を貫いた青年と同じ色の瞳をしていたことに』
『そう、公爵は青年とその妹を殺してしまったのだった』
『それでも、もう止まることが出来ない公爵は、せめてもの償いと思ったのか、二人の兄妹の手を握らせると、謁見の間に向かうのだった』
『二人の兄妹は握り合う手に力をいれられずに、ただ泣きながら死ぬ行く愛する家族の姿を目に焼き付けた』
「……はぁぁぁぁぁ」
小説の文章を完全には思い出せなかったけど、だいたいの感じと流れを思い出した。
まあ、状況さえ掴めれば良かったのだけれども……。
思い出してしまった《小説での自分のラスト》。
「……事故とはいえ、あの人に殺されてしまうのね」
私はこれまで以上にショックを受けている自分に気が付いた。
また溜め息が口からでてくる。
手を額に当てて天井を見上げた。
私は自分がただショックを受けているのか、本気で傷付いているのか、その両方なのか考える。
《小説と現実の間》で、まだ私は迷っていた。
本当にこれを現実として受け止めることができているのか、また迷ってしまうのだった。
あなたにおすすめの小説
好きな人が嬢を身請けするのが辛くて逃げたら捕まりました~黒服の私は執着騎士に囲われる~
こじまき
恋愛
騎士が集う高級酒場「夜香楼」で女性黒服として働くソフィアは、客である寡黙な騎士ゼインに恋していた。けれど彼が指名するのはいつも人気花嬢イサナで、身請けも近いと予想されていた。
ソフィアは、叶わない想いにと嫉妬に耐えきれず、衝動的に店を去る。
もう二度と会うことはないはずだったのに、身請けした嬢と幸せに暮らしているはずの彼が追ってきて――
「お前への愛は焼き印のように刻まれていて、もう消えない」
――失恋したと思い込んで逃げた黒服が、執着系騎士様に捕まって囲われる話。
※小説家になろうにも投稿しています
触れられないはずの私が、ただ一人の彼にだけ心も体も許してしまいました
由香
恋愛
男性に触れられると体調を崩す令嬢リリア。
そんな彼女にとって唯一“触れられる”存在は――幼なじみの公爵令息レオンだけだった。
手を取られ、抱き寄せられ、当たり前のように触れられる日々。
それがどれほど特別なことなのか、彼女はまだ知らない。
やがて政略結婚の話が持ち上がり、“触れられない相手との結婚”か、“彼に触れられる人生”かを選ぶことに。
「お前に触れていいのは俺だけだ」
逃げ場のない独占と、甘すぎる溺愛。
これは、触れられないはずの少女が、ただ一人にだけすべてを許していく物語。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
わたしさえいなければ、完璧な王太子だそうです。
ふらり
恋愛
人並外れた美貌・頭脳・スタイル・武勇を持つウィンダリア王国の25歳の王太子は、完璧な王太子だと言われていた。ただし、「婚約者さえいなければ完璧な王太子なのに」と皆が言う。12歳の婚約者、ヴァイオレット・オルトニーは周囲から憐みの目を向けられていた。
「私との婚約は、契約で仕方なくなのかい? もう私に飽きてしまっている? 私は今でも君にこんなに夢中なのに」
13歳年下の婚約者少女に執着溺愛する美貌も能力も人間離れした王太子様と、振り回される周囲のお話です。小説家になろうにて完結しております。少しずつこちらにもあげていくつもりです。ファンタジー要素はちょっぴりです。
夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
水錵 咲
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)