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17、『登場人物』である私
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――私は頭を抱えていた。
《ヒロインの名前》を《言葉》にも《文字》にも《思い浮かべる》ことすら出来ない事実にどうしたらいいのかと、もはや恐怖でしかないと。
「はぁぁぁっ」
思いっきり溜め息をついてしまう。
「いったいこれはどう言うことなの……。」
ヒロインの名前を呼べない、書けない、思い浮かべられない……という変えようのない事実にこれからどうすればいいのかがわからなくなってしまう。
ーーどんなに考えてもわからないことだらけ。
誰かに相談でもできたらいいけど、それもできない。
何より、《転生》とか《憑依》とか《小説の世界》とか、どれにしたってそんなに簡単には相談できるものではない。
勿論、《同じ境遇》をしている人であれば話してもいいけど……そもそもそんな人をそう易々と探せるものでもない。
声に出して探せないのであれば、行動を見て、小説の世界と比較しなければならないので、非常にややこしい作業であることには間違いない。
ーーホント、これに関しては偶然出会うまで待つしかないことだった。
ーー結果、変わらずひとりで抱えることになる。
「……はあぁぁぁっ。」
ーー私はぐしゃぐしゃに書きなぐった『相関図』の書きかけを見つめる。
すると、強烈なイメージが頭に思い浮かぶ。
ーーそう、自分が殺されて血を流しているシーンだ。
「………な、何!?」
その強烈すぎるイメージに、私はかなり動揺してしまう。
それでも………と、私はようやくつかんだ手掛かりを、自分の死因、自分が死に至る原因を把握するべく強烈なイメージをもう一度、思い出そうとする。
じっと記憶を呼び覚まそうとすると、少しずつ、フラッシュバックのように途切れ途切れと、切り取られた場面が一枚ずつ頭の中をひらひらとめくれていく。
どうにかこうにか、連続で見れないものかと頭の中を整理しようとする。
でも、まるで風で飛ばされる紙のように押さえていないと忘れてしまいそうになる。
ーーせめて、重要なシーンだけでも取り逃がさないようにつかみに行く。
『ーー王宮へ乗り込んだ公爵は阻止しようとした騎士や使用人たちを斬り殺していく』
『公爵を止めようとした若い青年。彼は公爵を慕っていた青年だ』
『とにかく一度思い止まって欲しいと食い下がると、公爵は振りほどこうとする』
『剣を持った手の方を止めにきて、咄嗟に振り払った公爵。しかし、その振り払った手に握られていた剣が青年の腹に突き刺さってしまっていた』
『驚いていた公爵は、後ろから音がしたので、反射的に青年に突き刺さった剣を抜いて音のした方に剣を振り下ろす』
『公爵の剣が斬ったのは、まだ幼さを残す女性だった。驚いたように血を吐きながら自分を見つめる瞳に見覚えがあった』
『公爵はすぐに気が付いた。そう、たった今剣で腹を貫いた青年と同じ色の瞳をしていたことに』
『そう、公爵は青年とその妹を殺してしまったのだった』
『それでも、もう止まることが出来ない公爵は、せめてもの償いと思ったのか、二人の兄妹の手を握らせると、謁見の間に向かうのだった』
『二人の兄妹は握り合う手に力をいれられずに、ただ泣きながら死ぬ行く愛する家族の姿を目に焼き付けた』
「……はぁぁぁぁぁ」
小説の文章を完全には思い出せなかったけど、だいたいの感じと流れを思い出した。
まあ、状況さえ掴めれば良かったのだけれども……。
思い出してしまった《小説での自分のラスト》。
「……事故とはいえ、あの人に殺されてしまうのね」
私はこれまで以上にショックを受けている自分に気が付いた。
また溜め息が口からでてくる。
手を額に当てて天井を見上げた。
私は自分がただショックを受けているのか、本気で傷付いているのか、その両方なのか考える。
《小説と現実の間》で、まだ私は迷っていた。
本当にこれを現実として受け止めることができているのか、また迷ってしまうのだった。
《ヒロインの名前》を《言葉》にも《文字》にも《思い浮かべる》ことすら出来ない事実にどうしたらいいのかと、もはや恐怖でしかないと。
「はぁぁぁっ」
思いっきり溜め息をついてしまう。
「いったいこれはどう言うことなの……。」
ヒロインの名前を呼べない、書けない、思い浮かべられない……という変えようのない事実にこれからどうすればいいのかがわからなくなってしまう。
ーーどんなに考えてもわからないことだらけ。
誰かに相談でもできたらいいけど、それもできない。
何より、《転生》とか《憑依》とか《小説の世界》とか、どれにしたってそんなに簡単には相談できるものではない。
勿論、《同じ境遇》をしている人であれば話してもいいけど……そもそもそんな人をそう易々と探せるものでもない。
声に出して探せないのであれば、行動を見て、小説の世界と比較しなければならないので、非常にややこしい作業であることには間違いない。
ーーホント、これに関しては偶然出会うまで待つしかないことだった。
ーー結果、変わらずひとりで抱えることになる。
「……はあぁぁぁっ。」
ーー私はぐしゃぐしゃに書きなぐった『相関図』の書きかけを見つめる。
すると、強烈なイメージが頭に思い浮かぶ。
ーーそう、自分が殺されて血を流しているシーンだ。
「………な、何!?」
その強烈すぎるイメージに、私はかなり動揺してしまう。
それでも………と、私はようやくつかんだ手掛かりを、自分の死因、自分が死に至る原因を把握するべく強烈なイメージをもう一度、思い出そうとする。
じっと記憶を呼び覚まそうとすると、少しずつ、フラッシュバックのように途切れ途切れと、切り取られた場面が一枚ずつ頭の中をひらひらとめくれていく。
どうにかこうにか、連続で見れないものかと頭の中を整理しようとする。
でも、まるで風で飛ばされる紙のように押さえていないと忘れてしまいそうになる。
ーーせめて、重要なシーンだけでも取り逃がさないようにつかみに行く。
『ーー王宮へ乗り込んだ公爵は阻止しようとした騎士や使用人たちを斬り殺していく』
『公爵を止めようとした若い青年。彼は公爵を慕っていた青年だ』
『とにかく一度思い止まって欲しいと食い下がると、公爵は振りほどこうとする』
『剣を持った手の方を止めにきて、咄嗟に振り払った公爵。しかし、その振り払った手に握られていた剣が青年の腹に突き刺さってしまっていた』
『驚いていた公爵は、後ろから音がしたので、反射的に青年に突き刺さった剣を抜いて音のした方に剣を振り下ろす』
『公爵の剣が斬ったのは、まだ幼さを残す女性だった。驚いたように血を吐きながら自分を見つめる瞳に見覚えがあった』
『公爵はすぐに気が付いた。そう、たった今剣で腹を貫いた青年と同じ色の瞳をしていたことに』
『そう、公爵は青年とその妹を殺してしまったのだった』
『それでも、もう止まることが出来ない公爵は、せめてもの償いと思ったのか、二人の兄妹の手を握らせると、謁見の間に向かうのだった』
『二人の兄妹は握り合う手に力をいれられずに、ただ泣きながら死ぬ行く愛する家族の姿を目に焼き付けた』
「……はぁぁぁぁぁ」
小説の文章を完全には思い出せなかったけど、だいたいの感じと流れを思い出した。
まあ、状況さえ掴めれば良かったのだけれども……。
思い出してしまった《小説での自分のラスト》。
「……事故とはいえ、あの人に殺されてしまうのね」
私はこれまで以上にショックを受けている自分に気が付いた。
また溜め息が口からでてくる。
手を額に当てて天井を見上げた。
私は自分がただショックを受けているのか、本気で傷付いているのか、その両方なのか考える。
《小説と現実の間》で、まだ私は迷っていた。
本当にこれを現実として受け止めることができているのか、また迷ってしまうのだった。
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