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第5章
【41】カレンとハクテイさん!
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――続。
教会のお庭で。ニーハイムス様とリュオン様とシオン神父様と私。
白虎の『ハクテイ』様は体長3mは有る大きさで威圧感が凄いですわ。
けれど――
「あの、私もさわってみてもよろしいですか……?」
「我は構わぬぞ、乙女よ」
そっ……。
その触り心地は…………うーん最高! ふかふか! スベスベ! 沈み込む毛皮!
「はぁ……!」
大きなもふもふ、最高ですわ……。
「ゴロゴロゴロ……はっ! 我としたことが!」
ハクテイ様は喉を鳴らして私の手を受け止めてくださいましたわ!
こ、これは好感触よね……?
「ハハハ。早速ハクテイを手懐けおったのう」
リュオン様はご機嫌のようですわ。
「しかし、こちらの聖獣様の大きさとなると、ヒロさんのベルのように『使役獣』と言うには難しいかと――」
シオン神父様が仰ったわ。確かに、私のような通常の魔法使いの使役獣として聖獣様を隠すには大きすぎますわね。これでは一緒に学院生活も送れません。
そこでリュオン様が再び、ハクテイ様に提案したわ。
「うむ。ハクテイ。お主ほら、なれるじゃろ。アレに」
「……むう。なるべく戻りたくはないのだが――乙女と一緒に居るためなら仕方ないのか?」
「仕方ないな」
「……そうか」
ハクテイ様はそう言うと、空中でひるがえり、一回転。すると――
そこには、1匹の真っ白な子猫さんが居ましたわ。
「みゃー!」
「まあ! 可愛い!」
私は目を輝かせてその子猫さんを拾い上げましたわ!
真っ白なふわふわ毛皮に、肉球がピンクのふにふにですわ!
「もしかして、こちらがハクテイ様ですの――!?」
「みゃう!」
ハクテイ様だった子猫さんは、恐らく肯定のお返事をしてくださったわ。
ニーハイムス様も近寄って、
「ああ、これは可愛い子猫ですね――」
私の胸元のハクテイ様に手を近づけると。
「びゃー!」
「痛っ!」
…………指を噛まれてしまいましたわ。
「大丈夫ですかニーハイムス様!?」
「だ、大丈夫です……ハクテイ様は手厳しいですね……」
シオン神父様は肩で笑っておられますわ……。
リュオン様は、
「ハクテイ『様』では『使役獣』らしからぬじゃろ。ハクテイ『ちゃん』とか、ヒロみたいにくだけた呼び方でいいのじゃぞ」
「みゃ!?」
ハクテイ様は『ちゃん』に驚いている様子ですが――
「そ、それではハクテイ『さん』でよろしいですか?」
「……みゃー!」
ほっ。ご了承を得たようですわ。
「ハクテイさん、よろしくお願い致しますね!」
私は、子猫のハクテイさんを頬ずりして可愛がったわ――!
※
その日の晩は、私の屋敷でニーハイムス様と一緒に、お父様にハクテイさんをご紹介しました。
お父様は私が『聖獣』を授かったことにお喜びでしたわ。
『これで我が派閥にも切り札が出来た』などと仰っていました。お父様、すぐに政治のお話しに持っていくんですもの。ハクテイさんのかわいさも見てやってくださいまし。
※
――翌日。学院にて。
「おはようございます、皆さん」
私は子猫姿のハクテイさんを連れて、教室へとやってまいりましたわ。
「おはよう、カレンちゃん!」
真っ先にお返事してくださったのはヒロさんでしたわ。
「ぴゅい!」
次にベルさん。
「――あ! カレンちゃん、その子猫ちゃんはなぁに!?」
「ぴゅい!ぴゅぴゅ~!!」
「こちらは私の新しい『使役獣』のハクテイさんですわ」
「にゃ!」
「ほう――使役獣か」
エルゼンが興味を示しましたわ。
「何々!? うわっ子猫だ! かわいいなー!」
キースは歓声を上げました。すると、オルキスは。
「…………触らせ……いや、何でもない」
オルキスは小動物が大好きですものね……ふふっ。
「触らせてもよろしいですか? ハクテイさん?」
「にゃ!」
ハクテイさんは頷きましたわ。
「オルキス、ハクテイさんは触ってもよろしいと仰ってますわよ」
ガバッ!
後ろ向きになったオルキスが凄い勢いでこちらに振り返りました。
目が……目が本気ですわ…………。
オルキス、子猫ガチ勢ですのね……。
「さ、触っていいのなら触ってやらんでもない……!」
そっ、とオルキスはハクテイさんに手を添えました。
「みゃ~」
ハクテイさんはオルキスの方に飛び移り、身体を撫でさせてあげています。
「は……ははは……肉球がピンクだ。かわいいなお前……」
オルキスは、ここがクラス全員揃っている教室なのを忘れてハクテイさん触りに没頭してしまいました……。後で我に返った時、大丈夫かしら……?
シュリも席に座りながら、こちらを見ていましてよ……?
――放課後。
いつもの校舎裏の休憩所にて。
ヒロさんとベルさん、私とハクテイさん、そしてキースとエルゼンとオルキスが集まりましたわ。
私は朝は『使役獣』として紹介したハクテイさんと改めて『聖獣』として紹介しました。
ヒロさんは喜んで。
「やった! カレンちゃん、私たち『おそろい』だね!」
キースは興奮して。
「おおっ! マジかよすげーな! カレンも『聖』ナントカ使いになったのかよ!」
エルゼンはそんなキースを制止して、冷静に。
「聖獣様だ。敬意を持って接しろ」
オルキスは無口ながらも。
「……聖獣か。いいなそれ」
「ハクテイさん、ここなら元の姿にお戻りくださって大丈夫ですわ」
と私が言うと、ハクテイさんは私の胸元から地上に飛び降りて一回転しましたわ。
すると、元の大きな成獣のサイズに戻りましたの。
「……好き勝手言ってくれるな。そこの小童。名をキースと言ったか」
「うお!? 言葉を喋るのかよ!?」
キースはビックリしていますわ。
「我は白虎。聖獣だ。人語くらい喋れるわ」
「ぴぎぃ~!」
ベルさんが、ヒロさんの胸元で何か伝えたそうですわ。
「ほぅ。そこの『聖飛竜』はまだ幼生ゆえ、人語を喋れぬか。ふふ。我に一日の長が有るな」
ハクテイさんは得意気に話しましたわ。
「ぴゅ!!」
ベルさんはこころなしかむくれているようです。
聖獣同士、お話しが通じるのでしょうか?
ヒロさんとオルキスは大きくなったハクテイさんにも興味津々な様子ですわ。
「わっ! すごい! おっきいかっこいい!」
「……け、毛皮……肉球……」
「ふふ。聖飛竜の乙女よ、近う寄って構わぬぞ。そちらの雷の勇士も、ええいどうせなら皆のもの近う寄れ。――それが望みだろうカレン?」
「……ありがとうございます、ハクテイさん」
皆さんがハクテイさんに近付き、お触りしていますわ。
ハクテイさんは一見触られるのが嫌いなように見えますけれど、意外と好きなのかもしれません。
「カレンの友は、心が澄んでおる。故に我は触られるのを厭わん」
私の心を読んだように、ハクテイさんが喋りましたわ。
「まあ! ありがとうございます!」
「良い良い。私が攻撃的になるのはカレンに害を成す者か、下心を持った者くらいじゃ」
「ハクテイさん、優秀なガードマンだね! カレンちゃん!」
「そうですわね、ヒロさん」
「……聖獣様というのは世俗が嫌いと書物には有りましたが」
エルゼンがハクテイさんに質問しましたわ。
「そうだな。世俗を離れて400年にはなる。人間界は久しい」
「凄い! 長生きなんですね!」
ヒロさんはビックリしていますわ。
「なに、我もあの妖精王に比べたらまだまだ。なので頭が上がらん。困ったものだ」
ハクテイ様は私たちに随分友好的ですわ。これなら楽しい学院生活が送れそう――
「楽しくやっているようだね、皆」
そこへニーハイムス様こと、ニース先生が現れましたわ。
「ニース師匠! 見て下さい! カレンの聖獣すげーっす!」
「うん、うん、皆仲良くやっているようで嬉しいです」
ニース先生もハクテイさんに触れようとした瞬間――
「ガオ!」
ニース先生はハクテイさんの足に振り払われてしまいましたわ……。
「な、何で私だけ……昨日は噛むし、今日は振り払われるし……何で……」
「先ほども言ったろう。カレンに下心を持つものには攻撃的になると」
「まあ!」
私は焦りましたわ。
「…………」
事情を知るエルゼンは固まってしまっています。
ヒロさんとベルさんとキースとオルキスはきょとんとしています。
こ、これはまたひとつ、軽い問題が浮かんだような、そうでも無いような……ですわ……。
教会のお庭で。ニーハイムス様とリュオン様とシオン神父様と私。
白虎の『ハクテイ』様は体長3mは有る大きさで威圧感が凄いですわ。
けれど――
「あの、私もさわってみてもよろしいですか……?」
「我は構わぬぞ、乙女よ」
そっ……。
その触り心地は…………うーん最高! ふかふか! スベスベ! 沈み込む毛皮!
「はぁ……!」
大きなもふもふ、最高ですわ……。
「ゴロゴロゴロ……はっ! 我としたことが!」
ハクテイ様は喉を鳴らして私の手を受け止めてくださいましたわ!
こ、これは好感触よね……?
「ハハハ。早速ハクテイを手懐けおったのう」
リュオン様はご機嫌のようですわ。
「しかし、こちらの聖獣様の大きさとなると、ヒロさんのベルのように『使役獣』と言うには難しいかと――」
シオン神父様が仰ったわ。確かに、私のような通常の魔法使いの使役獣として聖獣様を隠すには大きすぎますわね。これでは一緒に学院生活も送れません。
そこでリュオン様が再び、ハクテイ様に提案したわ。
「うむ。ハクテイ。お主ほら、なれるじゃろ。アレに」
「……むう。なるべく戻りたくはないのだが――乙女と一緒に居るためなら仕方ないのか?」
「仕方ないな」
「……そうか」
ハクテイ様はそう言うと、空中でひるがえり、一回転。すると――
そこには、1匹の真っ白な子猫さんが居ましたわ。
「みゃー!」
「まあ! 可愛い!」
私は目を輝かせてその子猫さんを拾い上げましたわ!
真っ白なふわふわ毛皮に、肉球がピンクのふにふにですわ!
「もしかして、こちらがハクテイ様ですの――!?」
「みゃう!」
ハクテイ様だった子猫さんは、恐らく肯定のお返事をしてくださったわ。
ニーハイムス様も近寄って、
「ああ、これは可愛い子猫ですね――」
私の胸元のハクテイ様に手を近づけると。
「びゃー!」
「痛っ!」
…………指を噛まれてしまいましたわ。
「大丈夫ですかニーハイムス様!?」
「だ、大丈夫です……ハクテイ様は手厳しいですね……」
シオン神父様は肩で笑っておられますわ……。
リュオン様は、
「ハクテイ『様』では『使役獣』らしからぬじゃろ。ハクテイ『ちゃん』とか、ヒロみたいにくだけた呼び方でいいのじゃぞ」
「みゃ!?」
ハクテイ様は『ちゃん』に驚いている様子ですが――
「そ、それではハクテイ『さん』でよろしいですか?」
「……みゃー!」
ほっ。ご了承を得たようですわ。
「ハクテイさん、よろしくお願い致しますね!」
私は、子猫のハクテイさんを頬ずりして可愛がったわ――!
※
その日の晩は、私の屋敷でニーハイムス様と一緒に、お父様にハクテイさんをご紹介しました。
お父様は私が『聖獣』を授かったことにお喜びでしたわ。
『これで我が派閥にも切り札が出来た』などと仰っていました。お父様、すぐに政治のお話しに持っていくんですもの。ハクテイさんのかわいさも見てやってくださいまし。
※
――翌日。学院にて。
「おはようございます、皆さん」
私は子猫姿のハクテイさんを連れて、教室へとやってまいりましたわ。
「おはよう、カレンちゃん!」
真っ先にお返事してくださったのはヒロさんでしたわ。
「ぴゅい!」
次にベルさん。
「――あ! カレンちゃん、その子猫ちゃんはなぁに!?」
「ぴゅい!ぴゅぴゅ~!!」
「こちらは私の新しい『使役獣』のハクテイさんですわ」
「にゃ!」
「ほう――使役獣か」
エルゼンが興味を示しましたわ。
「何々!? うわっ子猫だ! かわいいなー!」
キースは歓声を上げました。すると、オルキスは。
「…………触らせ……いや、何でもない」
オルキスは小動物が大好きですものね……ふふっ。
「触らせてもよろしいですか? ハクテイさん?」
「にゃ!」
ハクテイさんは頷きましたわ。
「オルキス、ハクテイさんは触ってもよろしいと仰ってますわよ」
ガバッ!
後ろ向きになったオルキスが凄い勢いでこちらに振り返りました。
目が……目が本気ですわ…………。
オルキス、子猫ガチ勢ですのね……。
「さ、触っていいのなら触ってやらんでもない……!」
そっ、とオルキスはハクテイさんに手を添えました。
「みゃ~」
ハクテイさんはオルキスの方に飛び移り、身体を撫でさせてあげています。
「は……ははは……肉球がピンクだ。かわいいなお前……」
オルキスは、ここがクラス全員揃っている教室なのを忘れてハクテイさん触りに没頭してしまいました……。後で我に返った時、大丈夫かしら……?
シュリも席に座りながら、こちらを見ていましてよ……?
――放課後。
いつもの校舎裏の休憩所にて。
ヒロさんとベルさん、私とハクテイさん、そしてキースとエルゼンとオルキスが集まりましたわ。
私は朝は『使役獣』として紹介したハクテイさんと改めて『聖獣』として紹介しました。
ヒロさんは喜んで。
「やった! カレンちゃん、私たち『おそろい』だね!」
キースは興奮して。
「おおっ! マジかよすげーな! カレンも『聖』ナントカ使いになったのかよ!」
エルゼンはそんなキースを制止して、冷静に。
「聖獣様だ。敬意を持って接しろ」
オルキスは無口ながらも。
「……聖獣か。いいなそれ」
「ハクテイさん、ここなら元の姿にお戻りくださって大丈夫ですわ」
と私が言うと、ハクテイさんは私の胸元から地上に飛び降りて一回転しましたわ。
すると、元の大きな成獣のサイズに戻りましたの。
「……好き勝手言ってくれるな。そこの小童。名をキースと言ったか」
「うお!? 言葉を喋るのかよ!?」
キースはビックリしていますわ。
「我は白虎。聖獣だ。人語くらい喋れるわ」
「ぴぎぃ~!」
ベルさんが、ヒロさんの胸元で何か伝えたそうですわ。
「ほぅ。そこの『聖飛竜』はまだ幼生ゆえ、人語を喋れぬか。ふふ。我に一日の長が有るな」
ハクテイさんは得意気に話しましたわ。
「ぴゅ!!」
ベルさんはこころなしかむくれているようです。
聖獣同士、お話しが通じるのでしょうか?
ヒロさんとオルキスは大きくなったハクテイさんにも興味津々な様子ですわ。
「わっ! すごい! おっきいかっこいい!」
「……け、毛皮……肉球……」
「ふふ。聖飛竜の乙女よ、近う寄って構わぬぞ。そちらの雷の勇士も、ええいどうせなら皆のもの近う寄れ。――それが望みだろうカレン?」
「……ありがとうございます、ハクテイさん」
皆さんがハクテイさんに近付き、お触りしていますわ。
ハクテイさんは一見触られるのが嫌いなように見えますけれど、意外と好きなのかもしれません。
「カレンの友は、心が澄んでおる。故に我は触られるのを厭わん」
私の心を読んだように、ハクテイさんが喋りましたわ。
「まあ! ありがとうございます!」
「良い良い。私が攻撃的になるのはカレンに害を成す者か、下心を持った者くらいじゃ」
「ハクテイさん、優秀なガードマンだね! カレンちゃん!」
「そうですわね、ヒロさん」
「……聖獣様というのは世俗が嫌いと書物には有りましたが」
エルゼンがハクテイさんに質問しましたわ。
「そうだな。世俗を離れて400年にはなる。人間界は久しい」
「凄い! 長生きなんですね!」
ヒロさんはビックリしていますわ。
「なに、我もあの妖精王に比べたらまだまだ。なので頭が上がらん。困ったものだ」
ハクテイ様は私たちに随分友好的ですわ。これなら楽しい学院生活が送れそう――
「楽しくやっているようだね、皆」
そこへニーハイムス様こと、ニース先生が現れましたわ。
「ニース師匠! 見て下さい! カレンの聖獣すげーっす!」
「うん、うん、皆仲良くやっているようで嬉しいです」
ニース先生もハクテイさんに触れようとした瞬間――
「ガオ!」
ニース先生はハクテイさんの足に振り払われてしまいましたわ……。
「な、何で私だけ……昨日は噛むし、今日は振り払われるし……何で……」
「先ほども言ったろう。カレンに下心を持つものには攻撃的になると」
「まあ!」
私は焦りましたわ。
「…………」
事情を知るエルゼンは固まってしまっています。
ヒロさんとベルさんとキースとオルキスはきょとんとしています。
こ、これはまたひとつ、軽い問題が浮かんだような、そうでも無いような……ですわ……。
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