グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~

空戯ケイ

文字の大きさ
12 / 44
第1章 始まりの街『グリィト』

第12話  いざ、冒険者ギルドへ!

 
 ザレックさんの模擬戦を合格したわたしは、見事に無罪放免を勝ち取った。
 これでグリィトの街を堂々と歩くことができる!

 そんなわたしはザレックさんに案内され、一つの建物に訪れた。

「――わあ、ここが冒険者ギルドなんだー! すごいね、モッフィ!!」
「ふん、そう騒ぐほどのものではあるまい」

 もー、分かってないなぁ、モッフィは!
 こういう、The・異世界! みたいな場所に訪れるのが良いんだよ!!

 わたしは目の前に堂々と建つ、木造建築の冒険者ギルドを見上げた。 
 武器を模した看板マークも掲げられている。

「じゃ、入るぞ」

 ザレックさんに扉を開けてもらい、お礼を言いながらギルド内に足を踏み入れた。
 
「うわー! すごいすごい! モ、モノホンの冒険者ギルド! 荒くれ者の冒険者たち! あ、あっちには美人な受付嬢さんまで!!」

 ギルドの中は、何人もの冒険者で賑わっていた。
 クエストボードの前で難しい顔をしている魔法使いや、テーブル席でお酒をあおる戦士など、色々なタイプの冒険者がいる。でも、やっぱり男性比率が多めかな。
 アルコールとむさ苦しさに覆われるギルドの中には、美人な受付嬢さんが営業スマイルでクエストの受注なんかをしているのも見えた。
 これこれ! これぞ異世界転生の醍醐味だよ! ギルドを見物してるだけですっごいテンション上がる!!

 まるで遊園地に遊びに来た子供のようにキョロキョロとギルド中を見渡していると、ザレックさんが苦笑混じりに言った。

「たかが冒険者ギルドでそんなに喜んでくれるとは嬉しいな。だが、ここじゃちょっとうるさいから、奥のギルドマスターの部屋に向かおうか」
「は、はい」

 はぐれないように、ザレックさんの後ろをたたたっと駆けていく。

 すると、テーブル席で食事をしていた三人組の冒険者が声をあげた。

「お、アイリ! 大丈夫だったか!?」
「あ、ベルドさん!」

 そちらに目を向けると、さっき馬車で一緒だった冒険者パーティの人たちだった。

「おお、ベルドたちか。護衛依頼ご苦労だったな」

 ザレックさんも反応し、足を止めた。
 女魔法使いのジェシーさんと、タンク役のマーレスさんもわたしたちの存在に気付いて挨拶をしてくれた。
 ベルドさんが思い出したように言った。

「つか、ギルマス! なんでアイリと一緒に!? アイリは門兵にしょっぴかれたはずじゃ!」
「あん? まあ、色々あってな」
「えー、何だよそれ。教えてくれよ」
「気が向いたらな」

 ザレックさんは適当にはぐらかし、応えた。
 ぶつくさと文句を言うベルドの横から、ジェシーさんとマーレスさんがわたしに話しかけてくる。

「でも、アイリちゃんが無事で良かったわ! アイリちゃんが門兵に連れて行かれちゃった後、私たちもアイリちゃんを解放してって頼みに行ったんだけど……」
「兵士たちに止められてしまってな。門前払いの状態で何もすることができなかったんだ。助けになれず、不甲斐ない」
「そ、そんな! その気持ちだけで十分ですよ!」

 ガチトーンで落ち込んでいるジェシーさんとマーレスさんを慰める。
 そして、わたしは得意気に胸を張った。

「それに、わたしはもう門兵さんにしょっぴかれることはなくなったので!」
「? それはどういう意味だ、アイリ?」

 不思議そうに尋ねてくるベルドさん。
 その質問への回答は、ザレックさんがしてくれた。

「今からアイリにギルドカードを渡すところなんだ」

 その言葉に、ベルドさんたちはぽかーんと沈黙して。

「「「はあ!? アイリにギルドカードを!?」」」

 三人同時に叫ぶ。
 そのせいで、ギルド内の注目を集めてしまった。

 ち、ちょっと、あんまり悪目立ちするようなことはやめてよ!

「お、おい正気かギルマス!? アイリはまだこんなチビスケだぞ!?」

 誰がチビスケだ。
 幼女だから背は低いけども。
 中身は立派なレディーだよ。

「分かってるよ。だが、冒険者試験をクリアしたんだから、問題はねぇさ」
「冒険者試験?」

 はじめて聞くワードだ。
 ザレックさんが教えてくれた。

「冒険者試験ってのは、冒険者として認めるかどうな見極める試験のことだ。これをクリアしないと、冒険者とは認められない。さっき俺と戦っただろ? あれが冒険者試験だ」
「え、そうなの!?」
「あの試験で、俺に認められれば晴れて冒険者として活動ができるようになる。まあ、冒険者になれるかどうかの一番最初の試験だから、俺も多少は甘めに見るんだがな」

 ベルドさんが驚いた様子で言葉を引き継いだ。

「で、でも明らかに冒険者として不適格だと容赦なく弾かれるからな。俺もガキの頃に調子に乗って挑戦して、軽くボコられて突っぱねられちまったし。それをアイリみたいな幼女がクリアしちまうとは……」
「ねぇ、これ……もしかして歴代最年少なんじゃないかしら?」
「うむ。俺が聞いた中でも、最も若くて十二歳だったはずだ」

 ベルドさんに続き、女魔法使いのジェシーさんとタンクのマーレスさんが補足した。

「あの、六歳でも冒険者になれるんですか?」
「冒険者になるのに年齢制限はないぞ。理屈上は、赤ん坊からヨボヨボの爺さんまで、広く門戸は開かれている!」

 まあ、それならいいのかな?

 でも多分、六歳の幼女が冒険者になれる可能性はそもそも考慮していないと思うけどね。
 めちゃくちゃイレギュラーだ。

「んじゃ、行くぞアイリ。お前にギルドカードを発行する」
「は、はい! ベルドさんたちも、失礼します!」

 わたしはベルドさんたちに別れの挨拶をしてから、先を進むザレックさんの背中を追いかけるのだった。



 ■  ■  ■



「やったー! ギルドカードを手に入れたー!!」

 わたしは自分のギルドカードを掲げた。
 ギルドの受付のテーブルに飛び乗ったモッフィが微笑む。

「良かったのぅ、アイリよ。これでもう人間らに面倒な足止めを食らうことはないようじゃな」
「そう! この身分証があれば堂々と街を行き来することができるよ!」

 社会的な身分証のありがたさに感激するわたしに、ザレックさんが言った。

「アイリの冒険者としての役職なんだが、『テイマー』で登録して問題ないか?」
「はい! それでお願いします!」

 まあ、テイマーの魔法とか全く分からないけど。
 でもわたしの戦力の大部分はモッフィが担っているし、間違いじゃないだろう。

「分かった。ならモッフィを使い魔として登録しておこう」

 ザレックさんは職員に指示を出し、データ上でのわたしの役職登録を済ます。

「だが、アイリは魔法もかなり使えるよな。さっきの模擬戦で使っていた水魔法は、中級冒険者が扱うくらいの威力はあったが……テイマーだけじゃなく、魔法の才能も秘めてるとは末恐ろしい幼女だな」
「え、えへへ」

 ザレックさんに褒められ、照れてしまう。
 ややあって、ザレックさんが尋ねてきた。

「最初から気になってたんだが、その……アイリがかけてる黒いメガネはなんなんだ?」
「あ、これはちょっと目に問題があって……その補助道具みたいなものです」

 ネモさんに説明した内容を言う。
 いや、ネモさんの時よりも洗練された言い訳だった。

 『虹の魔眼』のことや『神のサングラス』のスキルのことなんかは話せないので、これからは"目の病"みたいな理由で誤魔化しておこう。

 ザレックさんは少し驚いた様子だった。

「っ、そうなのか。体に問題はないのか?」
「はい! このサングラスをしていれば、大丈夫です!」
「ふっ、そうか。なら良かった」

 ザレックさんは優しく微笑むと、ギルド職員がやって来た。
 どうやら、わたしの役職登録も完了したみたい。

 これで晴れて、わたしは『テイマー』冒険者のアイリという肩書きを手に入れた!

「いつまでこの街にいるのか知らないが、ぜひ冒険者として活躍してくれることを祈ってるぞ。何か困ったことがあったらいつでもこのギルドを頼るといい」
「はい、ありがとうございます!」

 ザレックさんがポンポンとわたしの頭を撫でた。
 人に頭を撫でられるのって超久しぶりだから、何だかじんわりと温かい気持ちが滲んできた。

「それでは、今後の活躍を期待しているぞ――冒険者アイリ!」

 ザレックさんの激励を受け、わたしは『冒険者』へと転身したのだった!


感想 2

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。