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異世界ライフを満喫しちゃう、ぽっちゃり
第79話 大魔法を改良しちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟む「ギギャ!」
「ギシャシャ!」
「ゲロゲロォ!」
《魔の大森林》に向けて走っていると、前方から大量の魔物の群れが迫り来る。
種族に全く統一性がなく、巨大な混成部隊のような感じだ。
わたしはすかさず自分の周囲に展開していたボディバリアの強度を魔力で上昇させる。
そしてその魔物の群れと接触する寸前、蓄積していた魔力を電撃に変換し、大魔法を発動させた。
「スパークリングボルトッ!!」
青白いスパークが全方位に炸裂。
バチバヂバヂバヂ!! と、周囲の魔物たちを一斉に感電させていく。
そして魔物たちは一瞬で意識を失い、バタバタと倒れていく。
「ふぅ~、やっぱ広範囲魔法を使うと効率良く倒せていいけど……まだまだかなりいるなぁ」
わたしは周囲に倒れる魔物から視線を移し、前方を見た。
今も《魔の大森林》から続々と多数の魔物たちが攻め込んできている。
これはまだまだ頑張らないといけないね……!
だけど、このまま突っ込んでも大量の魔物たちに揉みくちゃにされそうだから、とりあえずここで迎え撃つことにしよう。
だけど、周囲に倒れてる魔物たちが邪魔だな……。
こういう時は――
「サラ、出てきて!」
「ぷるーん!」
サラの名前を呼ぶと、わたしのジャージの隙間からぷるるんとまんまるボディを揺らしながらスライムが出てきた。
大きくジャンプしたサラは、草原にぽよんと着地する。
「わたしはしばらく大魔法を魔物の群れに撃ち込んでいくから、その間にわたしが倒した魔物を回収しておいて!」
「ぷるん!」
近くに散らばっている倒れた魔物は邪魔だからね。
動きが制限されるし、見晴らしも悪くなる。
あと、なんか死体に囲まれてるって思うと嫌な感じもするし。
わたしが魔物回収の指示を出すと、サラはぴょーんと跳ねて近くの魔物たちをシュバババ! と片っ端から呑み込んで吸収していく。
あのペースなら、一分と経たずに付近に倒れている百体ほどの魔物を回収し終えるだろう。
「だけど、その前にあの魔物の群れが突っ込んで来そうだね……どうしよっかな」
わたしの視線の先には、ゴブリンやオーク、アーミータラテクトやポイズンフロッグなどの多種多様の魔物たちが暴走状態でこちらに向かってくる姿が見える。
まあ、ここにバリアを展開して魔物たちの侵攻を食い止めてから大魔法で蹴散らしてもいいんだけど、それだとさらに後続にいる魔物たちへの対応がしにくくなるかもしれない。
わたしの目の前には確かに魔物の群れがいるけど、多分この群れの後方にもまだまだ魔物たちが侵攻してきているはず。
だからバリア魔法で目の前の第一陣の群れを一回足止めをしてしまうと、その後の第二陣、第三陣が雪崩のように押し寄せた時に身動きがとれなくなる可能性があるんだよね……。
それに魔物の大群を引き寄せると少なからずサラの身に危険が及ぶ可能性もあるしね。
「となると、今みたいにある程度の距離を維持しつつ、やや遠距離から発動できるタイプの大魔法を撃つ必要があるかな」
今わたしが使える大魔法はスパークリングボルトだけだけど、これはわたしを中心に発動するタイプの魔法だから、どうしても近距離にいる魔物にしか対象にできない。
対して、目の前に突っ込んできている魔物の群れは目算で百メートルくらいの距離がある。
できればこの百メートルという距離を保ったまま、遠距離かつ広範囲攻撃ができるのが理想だね。
あんまりグロい魔物の死体は見たくないので、できるならスパークリングボルトを改良する形で新しい大魔法を発動させたい。
「どうしたらいいかなぁ。スパークリングボルトを投げ槍みたいな形で遠くに飛ばすとか? うーん、できるかもしれないけどイメージがしにくいね」
魔法は使用者のイメージがとても大切になってくる。
イメージがあやふやだと、自分の思った通りに魔法が発動しないそうだからね。
「もしかすると、発想の転換が必要なのかもしれないね。大魔法だからスパークリングボルトが展開した状態を想像してたけど……もっと電撃を凝縮するイメージならどうだろ?」
スパークリングボルトの電撃を手のひらサイズのボールくらいに凝縮できれば、投げたり飛ばしたりできそうだ!
そして、そのボールを群れの中心部で炸裂させれば、遠方でスパークリングボルトを再現できるかもしれない!
例えるなら……電撃の爆弾のような大魔法だ!
「よーし、だいぶイメージが固まったよ! あとはこれを再現できれば……」
わたしは全身に巡る魔力を意識しながら、まずは膨大な電撃エネルギーを右手の中に凝縮する。
するとわたしの手のひらの上に、ピンポン玉サイズの青白いボールが出てきた。
よし、上手くいったぞ!
あとはこのボールにどんどん魔力をつぎこんでいく。
そしたら、ピンポン玉サイズだった電撃ボールはどんどん大きくなっていき、最終的にバスケットボールくらいの大きさに膨らんだ所で魔力供給をストップする。
これくらいまで溜め込めば、大魔法クラスの威力はあるだろう。
「食らえ、わたしの新たな大魔法! スパークリングボム!!」
わたしは右手の手のひらを前方に向けて、バスケットボール大の電撃の塊を射出する。
スパークリングボムと名付けた新しい大魔法は一直線に魔物の群れに突撃していき、群れの中心部に到達したところで炸裂。
バヂバヂバヂバヂッ!! と、広範囲に強大な電撃魔法を発動した。
目の前にいた魔物たちはスパークリングボムに巻き込まれて、一斉にバタバタと倒れていく。
「やった、成功だ! これならある程度の距離を保ったまま大量の魔物を狩ることができる!」
「ぷるーん! ぷるーん!」
これぞまさしく、投げるスパークリングボルト!
わたしの新たな大魔法に、サラはぽよんぽよんと跳ねて喜んでくれる。
気づけばわたしの周囲からキレイに魔物がいなくなっていたから、サラが全て回収し終えたようだ。
「ありがとうサラ! まだまだ魔物を倒していくから、応援しててね!」
「ぷるるーん!」
ぽよーんと跳ねて応援してくれるサラに、わたしはもっとやる気が湧いてくる!
目の前の第一陣の群れは倒したけど、後続にはまだまだ魔物がいるだろうからね……!
わたしは今のうちに魔力を凝縮させ、二発目、三発目のスパークリングボムの発動準備に取りかかった。
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