異世界ぽっちゃり無双 チートスキル『暴食』で最強&飯テロセカンドライフを満喫します!

空戯ケイ

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第118話  盗賊をぶっ飛ばしちゃう、ぽっちゃり

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「おらぁッ! 中にいんのは分かってんだ! さっさと出てこいクソ貴族共がッ!!」

 大柄な男の怒声が高原に響き渡る。
 周囲には下卑た笑みを浮かべる仲間の盗賊がうじゃうじゃと一つの馬車を取り囲んでいた。
 この馬車は豪華かつ頑丈な作りになっているため、中にいるのは貴族か大商人かそこらだろう。
 少なくとも、一般人が易々と乗れるような馬車ではない。

「さっさと出てこねぇと馬車をぶっ壊すぞッ! あぁ~、それともまずはこの御者から殺すかぁ!?」
「ひ、ひぃっ!」

 男が御者の胸ぐらを掴み、地面に引きずり落とす。
 仲間の盗賊が勢いよく馬車を蹴って威嚇する。
 様々な方向からドカドカと蹴られる馬車が激しく揺れた。

 全く、悪行極まりないね。

「ねぇ、何してんの?」
「あん? 何って見りゃあ分かんだろ。このクソ貴族からたんまりと金目のモンを奪い取って…………って、誰だおま――」
「制裁パンチっ!」
「ぐふぉあッ!?」

 わたしは男の顔面にパンチを打ち込んだ。
 男は突然のパンチに訳も分からず吹き飛ばされて、数人の盗賊に突撃する。

「お、おかしらッ!? し、しっかりしてくだせぇ!」
「……ぐ、ぐふっ」

 男はピクピクと体を痙攣させて白目をむいている。
 ちょっと力が強すぎたかな?
 まあ凶悪な盗賊たちだからちょっとくらいいっか。
 それに、『お頭』って呼ばれてるから、どうやらいま殴った男がこの盗賊団のリーダーみたいだ。
 とりあえず手近でなんか叫んでる男から仕留めてみたんだけど、最初からリーダーを沈めれたのはラッキーだったね。

 すると、周囲の盗賊たちがにわかに騒ぎだした。

「な、なんだテメェ!」
「通りすがりの冒険者だよ」
「冒険者だぁ? こんなデブな冒険者なんているわけねぇだろ! お前らやっちまうぞ!」

 一人の盗賊が号令をかけると、今まで馬車を攻撃していた他の盗賊たちが一斉にわたしの方へやって来た。
 まずは数人の盗賊が剣やナイフを抜いて襲いかかってくる。

「おらぁあああああ!」
「死ねぇえええええ!」
「お頭の仇だぁあああああ!」
「うーん、やっぱ遅いね」

 身体強化で身体能力が向上しているわたしは、動体視力なんかもパワーアップしている。
 だからこんな盗賊たちが何人束になって襲いかかってきてもスローモーションのように見える。
 まあ、似たような状況は初めて冒険者ギルドに行った時も経験したしね。
 あの時は〈獅獣の剛斧ビーストアックス〉の冒険者たちを何人かぶっ飛ばしたけど、この盗賊たちも大して実力は変わらなさそうだ。

 わたしは襲ってくる盗賊の剣やナイフを軽々とかわし、カウンターとして一発ずつパンチを浴びせていった。
 それだけで盗賊たちは皆ワンパンKOされていき、気を失っていく。

「盗賊といってもこんなもんかぁ。〈獅獣の剛斧ビーストアックス〉で絡んできた冒険者たちとそう変わらないね」

 数日前に冒険者ギルドでわたしを馬鹿にしてきた輩をぶっ飛ばしたけど、今の所その時と全く同じ展開になっている。
 あの時もワンパンで一人ずつ沈めていったからね。
 身体強化を施しているわたしのパンチはそこそこ効くらしい。

「な、何なんだアイツは!? デブのくせに強いぞ!?」
「まさか、格闘術でも習得してるってのか!?」
「クソッ、こうなりゃ魔法だ! 魔法であのデブ女をぶち殺せ!」

 仲間が次々とやられていく様を目の当たりにした他の盗賊たちもようやく危機的な状況に気付いたのか、警戒を始める。
 そして馬車を盾にするように、身を潜ませた三人くらいの盗賊が、わたしに向かって魔法を発動させた。

「これで死ねぇ、デブ女! ファイアボール!」
「ウインドカッター!」
「ロッククラッシュ!!」

 一斉に、わたしの目の前に大きな炎が、風の刃が、岩の砲弾が突撃してくる。
 そこそこの魔法だ。
 魔法使いとしてどれくらいのレベルなのかは知らないけど、盗賊にも魔法を扱える人間がいるんだね。
 そう言えばさっきライツさんも、盗賊には冒険者くずれの者もいるとか言ってたし、あの盗賊たちは元魔法使いだったりするのかもしれない。

 わたしがそんなことを呑気に考えていると、三種の魔法攻撃が直撃した。
 その衝撃で土煙が上がった様子を見て、盗賊たちは色めき立つ。

「やったか!?」
「俺たちの全力の魔法を食らわしたんだ! 原型すら留めていねぇだろうさ!」
「デブのくせに、俺たちを甘く見た罰だ――」

 一通り魔法を食らったわたしは、ぽつりと独りごちる。

「まあ、効かないんだけど」

 ゆっくりと土煙が晴れ、無傷のわたしが現れたことに盗賊たちは驚嘆する。

「な、なにっ!?」
「無事、なのか……!」
「ど、どうなってやがる!?」

 盗賊たちの魔法は、全てわたしのバリアが防いでくれた。
 別に強力な魔法だったわけでもないし、バリアを傷つけることすらできていない。
 盗賊の魔法なんてこんなものだろう。

 わたしが生きていることに戦々恐々としている盗賊たちに、さっきから気になってたことを告げる。

「さて、散々デブとか言ってくれちゃって……アンタたち覚悟はできてるんだよね?」

 なんかどさくさに紛れてちょくちょくわたしのことをデブだとか言ってたよね?
 てことはつまり、それなりの覚悟はできてるってことだ。
 わたしたちの楽しい旅路を邪魔しただけでなく、罵倒までしてくるとは救いようがないね。
 ここはキツーイ一発をお見舞いしてあげないと。
 本当の魔法っていうものを見せてあげるよ。

 わたしはバチバチと魔力をチャージしていく。
 ある程度魔力が貯まったところで、もはやお馴染みとなったわたしの電撃魔法を発動した。

「スパークリングボルトっ!!」

 馬車には当たらないように注意して、全ての盗賊たちに電撃の雨をお見舞いした。
 青白い電光が一瞬の内に盗賊たちに襲いかかる。

「「「うぎゃあああああああああああ!!!」」」

 しばらく感電させた後、スパークリングボルトを停止する。
 辺りには、プスプスと黒い煙をあげながら気絶している盗賊たち。
 一応威力は調整したから、死んではいないだろう。
 さっきまであれだけ騒いでいた盗賊が沈黙したおかげで、高原は一気に静かになった。

 わたしの周りで倒れる盗賊たちを見て、わたしは右手を突き上げる。

「ヴィクトリー! これにて盗賊退治、完了!!」

 静かになった高原に、わたしの勝利宣言が高らかに響き渡った。


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