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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第198話 需要を調査しちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟む梅干しを大量購入したことで、お弁当作りの重要なおかずの一つを確保することに成功した。
この調子でどんどんお弁当の戦力となるおかずや食材を揃えていこう!
「そ、それにしてもお客様はすごいですね。業者ならばともかく、個人で一度にこれほどの量の梅干しを購入されたのは初めてです」
「あはは、まあそうだよね。普通はこんなに梅干しを買わないし、そもそもラグリージュの人たちはあんまり梅干しに興味がないのかな? 酸っぱいのが苦手だったり?」
「どうなんでしょうね。ただ、同じラグリージュで商売をしている知り合いにお米を売っている商人がいるのですが、その人は梅干しなども普通に売れると言っていました」
「えっと、お米を売ってるのに梅干しも売ってるの?」
「ああ、ごめんなさい。その人は自分の商品であるお米の一部を炊いてご飯にして、おかずも数品用意して販促活動をしているんです。形式上は飲食店にあたるのですが、そのお米やおかずなどが気に入ればそのままお客様が購入できるような形になっています」
「なるほど! そう言えばベルオウンに来ていたヤマト国のおじさんもそんな感じの商売だったね」
この前に皆で一緒に食べたヤマト国から来ていたおじさんの屋台も、ご飯をベースにして色々なおかずを楽しむ形式の飲食店だった。
アグネスさんの知り合いという商人も、そんな感じで商売をしていたのかもしれない。
「それなら、梅干し自体がラグリージュの人たちの口に合わないってわけじゃないんだね」
「そうだと思います。ただ、あえて梅干しだけを単品で買うほどの人気はないみたいですね……。やっぱりお米……ごはんと一緒に食べるのが一番美味しそうですし」
「そっかぁ。たしかに梅干し単品で買うほどじゃないかもね。アグネスさんの言う通り、そうなるとお米も買ってご飯を炊かないといけないし。梅干しだけでも食べられるけど、かなり酸っぱいから中々好きこのんで食べる人は少ないかも」
この世界はどちらかと言うとお米よりもパン文化の方が根強いと思う。
わたしが見てきた感じ、お米を主食にしているっぽいのはヤマト国の人たちだけだ。
他の人はやっぱり中世ヨーロッパ風というか、パンをよく食べているのを見かける。
さすがに梅干しとパンは合わなさそうだよね……。
まあ、探せばそういう惣菜パンみたいなのもあるかもしれないけど、あまり一般的ではないし、しかもこの世界でよく食べられているフランスパンみたいなパンとは中々合わないと思う。
それなら梅干し単体で売れないのは仕方ないよね。
聞いてる感じ、ラグリージュ内における梅干しの立ち位置はあくまでもご飯とセットのおかずというような感じっぽい。
でも、お弁当なら最初からご飯もついてきているから、多分問題なさそうかな?
アグネスさんと会話をしながら考えていると、お弁当のおかず候補として有力視していた別のおかずを思い出した。
せっかくだから、アグネスさんに聞いてみよう。
「あ、そうだ。ちなみになんですけど、海苔とか売ってるお店知ってますか?」
「海苔、ですか?」
アグネスさんは少し考えるような仕草をした後、お店に並べられていた一つの容器を取り出した。
その中には、真っ黒いねっとりした物体が詰められていた。
「どのような海苔をお探しでしょうか? 一応、私もこちらのような海苔でしたら取り揃えているのですが」
「も、もしかしてこれって、海苔の佃煮!?」
漂ってくる濃厚な磯の香り。
ガツンと海を感じるその香りには、ほのかに甘さも混じっている。
「えっ、お客様、佃煮をご存知なんですか!?」
「もちろんだよ! 海苔の佃煮はあんまり頻繁に夕飯に出るってことはなかったけど、でもたまに買ってきて間食用にご飯にかけて食べてたよ」
このお店は梅干ししかないのかと思っていたけど、まさかこんな所で海苔の佃煮と出会うことができるとは……!
ぶっちゃけ、わたしがイメージしてたのは焼きのりとか味付けのりみたいなぺらぺらした薄っぺらい方の海苔だったんだけど、これは思わぬ僥倖だ!
この海苔の佃煮、ぜひ食べさせてもらいたいね!!
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