32 / 41
その他
かりたもの
しおりを挟む
「ピンポーン」
料理をしていたら、玄関のチャイムがなった。ガスをとめて玄関に出ると、幼馴染みの友人が立っていた。10年ぶりぐらいになるだろう?小中高校まで一緒で、卒業してからは疎遠になって全く会っていなかった女性だ。
「あ、久しぶり!元気?どうしてたの?」と聞くと彼女は黙って本を渡す。
それは太宰治の本だった。
「え、懐かしい。私が小学生の時に貸してた本じゃん。返しに…」
顔をあげると彼女の姿はもうなかった。
「あれ?」サンダルを履いて外を見回したが、廊下にはもう誰もいない。
「ピンポーン」
「はーい!」玄関に出る。
次の日も彼女はやってきていた。
今度は手に傘を持っていた。
中学の時に貸してたお気に入りの傘だ。
「昨日はどうしたの?すぐに帰ったみたいだけど…」
受け取った傘がまだ使えるかどうか、開いて確かめてみた。
ちょっと穴があいている。もう古いもんね。
「あれ?」
傘を閉じると彼女の姿は消えていた。
友達から電話がきた。いつものように世間話ししていると。
「そう言えば聞いた。高校の時、仲の良かったあのこ。覚えてる?」
最近うちによく来ることを言おうとした時だ。
「亡くなったらしいよ」
「え」驚きで耳を疑った。
「いつ、いつ亡くなったの?」
「えと、一週間ぐらい前だけど」と友達は言った。
「あの子。友達だったらさ~、とか言ってさ。よく人にものを借りてたよね」友達の話は続く。
でも、そこからの話はあまり頭に入って来なかった。
では、家を訪ねてくる女は一体何者なの?
私は震えで電話を落としてしまった。
時計をみる。21時35分。
思えば同じ時間に彼女はやってきている。
「ピンポーン」
玄関のチャイムがなる。
玄関のドアを開けるとまた彼女が立っていた。
今度は隣に大人の男性がいる。誰かに似ている。
すぐに思い出した。
高校時代に付き合ってた男性だ。
私は高校時代彼女に彼氏を取られた。
それで会うのも嫌になり関係を切った。
それが彼女と疎遠になった原因だ。
私はすぐにドアを閉めた。
「返さなくていい!返さなくていいから!」
私は叫んだ。
ドアの外は静かだ。
覗き穴を覗くとまだ二人はたっていた。
それからしばらくの間、私は友達の家に泊まった。
友人は事情を話すと私の話しには懐疑的だったが、快く泊めてくれた。
たまに家に帰ってくると玄関前に貸したものが置いてある。それらを片付けるとまた友達の家に泊めて貰った。
それからも、彼女は同じ時間にやってきては借りたものをおいていったようだ。
小学校の時に貸した消しゴム。中学の時貸したノート。高校の時に無くしたと思っていた自転車。他。今更返されても困るようなものばかりだ。
返せるものがなくなったのだろう。そのうち来なくなった。
もしかしたら彼女は死んでから後悔し、借りたものを返すことによって、私との関係を取り戻そうとしたのかも知れない。
今となってはわからないがそう思うようにした。
それにしても貸したお金だけはかえって来なかった。
それだけが私の心残りである。
料理をしていたら、玄関のチャイムがなった。ガスをとめて玄関に出ると、幼馴染みの友人が立っていた。10年ぶりぐらいになるだろう?小中高校まで一緒で、卒業してからは疎遠になって全く会っていなかった女性だ。
「あ、久しぶり!元気?どうしてたの?」と聞くと彼女は黙って本を渡す。
それは太宰治の本だった。
「え、懐かしい。私が小学生の時に貸してた本じゃん。返しに…」
顔をあげると彼女の姿はもうなかった。
「あれ?」サンダルを履いて外を見回したが、廊下にはもう誰もいない。
「ピンポーン」
「はーい!」玄関に出る。
次の日も彼女はやってきていた。
今度は手に傘を持っていた。
中学の時に貸してたお気に入りの傘だ。
「昨日はどうしたの?すぐに帰ったみたいだけど…」
受け取った傘がまだ使えるかどうか、開いて確かめてみた。
ちょっと穴があいている。もう古いもんね。
「あれ?」
傘を閉じると彼女の姿は消えていた。
友達から電話がきた。いつものように世間話ししていると。
「そう言えば聞いた。高校の時、仲の良かったあのこ。覚えてる?」
最近うちによく来ることを言おうとした時だ。
「亡くなったらしいよ」
「え」驚きで耳を疑った。
「いつ、いつ亡くなったの?」
「えと、一週間ぐらい前だけど」と友達は言った。
「あの子。友達だったらさ~、とか言ってさ。よく人にものを借りてたよね」友達の話は続く。
でも、そこからの話はあまり頭に入って来なかった。
では、家を訪ねてくる女は一体何者なの?
私は震えで電話を落としてしまった。
時計をみる。21時35分。
思えば同じ時間に彼女はやってきている。
「ピンポーン」
玄関のチャイムがなる。
玄関のドアを開けるとまた彼女が立っていた。
今度は隣に大人の男性がいる。誰かに似ている。
すぐに思い出した。
高校時代に付き合ってた男性だ。
私は高校時代彼女に彼氏を取られた。
それで会うのも嫌になり関係を切った。
それが彼女と疎遠になった原因だ。
私はすぐにドアを閉めた。
「返さなくていい!返さなくていいから!」
私は叫んだ。
ドアの外は静かだ。
覗き穴を覗くとまだ二人はたっていた。
それからしばらくの間、私は友達の家に泊まった。
友人は事情を話すと私の話しには懐疑的だったが、快く泊めてくれた。
たまに家に帰ってくると玄関前に貸したものが置いてある。それらを片付けるとまた友達の家に泊めて貰った。
それからも、彼女は同じ時間にやってきては借りたものをおいていったようだ。
小学校の時に貸した消しゴム。中学の時貸したノート。高校の時に無くしたと思っていた自転車。他。今更返されても困るようなものばかりだ。
返せるものがなくなったのだろう。そのうち来なくなった。
もしかしたら彼女は死んでから後悔し、借りたものを返すことによって、私との関係を取り戻そうとしたのかも知れない。
今となってはわからないがそう思うようにした。
それにしても貸したお金だけはかえって来なかった。
それだけが私の心残りである。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
静かに壊れていく日常
井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖──
いつも通りの朝。
いつも通りの夜。
けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。
鳴るはずのないインターホン。
いつもと違う帰り道。
知らない誰かの声。
そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。
現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。
一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。
※表紙は生成AIで作成しております。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる