Fairy

さくららららんぼ

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Impという名の悪魔

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 Underworld。
 
 そう呼ばれているもう一つの次元。
 そこは、魔法の存在する武力がものを言う荒れ狂った世界。
 法律や政治はもはや意味をなさず、世界中が紛争地域と化した。

 国際機関は戦争を沈静化させるべく「Fairy」と呼ばれる組織を結成させる。
 Fairyは二つの軍団に分けられる。
 一つ目の軍団は、
 髪と瞳が緑色で、非好戦的。
 言葉による平和的解決を得意とし、一般
市民からは「Elf」(エルフ)と呼ばれ、人気を得ている。
 二つ目の軍団はその逆で、
 銀色の髪と瞳を持つ、好戦的で敵の殲滅のためなら犠牲をいとわない。
 感情を持つことを禁止され悪魔の様な戦い方から「Imp」(インプ)と呼ばれ、世界中から嫌われた軍団である。
 
 正反対なこの二つだが、目的達成のためには協力が必要不可欠であった。
 しかし、中にはそれを不満と感じるものが多く、Fairyの分裂は酷くなっていく。


 Impの軍団長リツは、白銀の長髪を揺らしながら隊員達の前に佇む。
 「貴様ら、もう間もなく目的地である日本に到着する。もう既にElf共は、拠点の確保を済ませているようだ。わかっていると思うが、奴らとの和解は不要。我々は我々のやり方で目的を果たすだけだ。」
 リツは、隊員達を水色の瞳で睨みつける。
 「……さて、到着は明日。まだ時間はたっぷりあるようだし、今から貴様らを鍛えてやる。」
 そう言って、腰に差してある刀を抜き出す。
 「リツ隊長、お言葉ですが明日は拠点作りや資材確保など仕事が山ほどあります。今から、訓練を行えば明日に影響が出る恐れが……。」
 副隊長のガイルがすぐさま止めに入る。
 「何を言っているんだアレン。訓練ごときで役に立たなくなる隊員をImpに入れた覚えはない。」
 「しかし……。」
 「私に逆らう気か?」
 リツは刃先をガイルに向ける。
 「……申し訳ありませんでした。」
 アレンは説得を断念し深々と頭を下げた。
 「よろしい。では早速、この中で最も無能は奴を叩き直すとしようか……。」
 リツは目を光らせながら隊員達を見渡す。
 「リツ隊長。この中で足を引っ張っているのは彼しかいないと思われます。」
 「確かに、唯一の失敗作だからな。」
  その場にいた全員がクスクスと笑う。
  彼らの目線の先にいた男。
 「…………レインか。」
 リツは溜息をつき続ける。
 「まだ生きていたのか、先日の戦闘で死んだのかとおもっていた。貴様みたいな無能がよく今まで生き残っているな
、不思議だよ。」
 「も、申し訳ありません。」
 レインは俯いたまま謝る。
 彼はImpの中でたった一人黒髪の持ち主で、身体能力や魔力量ははるかにほかの隊員達より劣っていた。
 いわば「無能」である。
 「では、始めようか……。」
 リツは不敵な笑みを浮かべながら、レインに近づいた……。



 俺は、役立たずの無能だ。
 それは自分が1番分かっている。
 俺には何故か人体実験後も感情が残ったままだった。
 髪色も黒色のまま。
 なぜ俺がImpにいるのかなんて分からない。
 ただ、今目の前に立っているこの人を見ると恐怖で足がすくむ。


 「今から二分間、武器、魔法の使用は可とする。二分間経つまで相手が降参しても続行すること。ただし、相手の意識が無くなればそこで終了とする。ルールは以上。質問は?」
 リツは刀を鞘に戻すとレインに問いかける。
 「ありません。」
 「ではガイル、合図を。」
 「分かりました。お互いかまえてください……。」
 レイン剣を抜きかまえた。
 一方リツは腕を組むだけで武器をかまえる様子はなかった。
 「…………始めっ!!」
 ガイルの合図とともに、訓練という名の拷問が始まった……。
 
 
 

 

 


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