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戦い①
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男の至近距離まで詰め寄り、ナイフを下ろす。
しかし、ヒラリとかわされた。
余裕の笑みまで浮かべている。
ギリッと歯を噛み締め、回転する様に相手の腰を狙う。
だが、これも避けられた。
何度やってもかわされる。
相手は鼻歌交じりで余裕そうだ。
まるで攻撃をしてこない。
この状況を楽しんでいる様だ。
対する自分はどうだ。
息は上がり、汗で服がぐっしょり濡れている。
かすり傷一つ負わせることが出来ないのか。
いや、考えるな!
相手の隙を狙え!!
このまま、ナイフを振り続けてもこちらが消耗するばかりだ。
それならば………!!!
身体を動かしつつ、片手で魔力を練る。
男は何をするんだろうとニタニタしていた。
ベリオット帝国は軍事力に長けている。
それと同時に如何にして戦場で生きながらえるかという術も訓練に取り入れられている。
教官にも教えられた。
死んだら終わりだ。
腕を切り落とされようと、泥水を啜ろうと、卑怯な手を使おうと構わない。
生きながらえる事が、次の希望となる。
情報を持ち帰れば、対策が練れる。
今自分に出来る事を全てやりきれ!!
自分はきっと死ぬ。
だが、まだ出来る事をやりきっていない。
この男に傷を負わせる!!!
ナイフを振り下ろし、避けられた瞬間。
男の眼前に手を突き出し、光を放射する。
これは先程研究室で使用したものであり、殺傷力はない。
「ふふ、同じ手を二度食らうほど、馬鹿じゃないわよ」
男は光を遮る。
すると、頭上からバケツをひっくり返した様な水が落ちてきた。
今だっ………!!
思わぬ子供騙しな攻撃に目をパチクリしている男目掛けて刃でつく。
男は少し反応が遅れ、腕に小さい傷が出来た。
薄く血が滲む。
それを見た少年はニヤリと笑い、距離をとる。
だが体力が尽き、膝から崩れ落ちた。
ゼェゼェと呼吸をする。
男はチクッとした痛みに気付き、腕を見る。
そしてまじまじと自分の血を眺めた。
次第に男の顔が赤くなっていくのが見える。
散々なめてかかってた少年に傷を負わされ、激怒しているのだろう。
しかし、自分はもう指一本動かす気力がない。
ああ……死にたくないなぁ。
男の手に巨大な魔力が渦巻いている。
これが放たれれば、自分は一瞬で消し炭になる。
ふと、少女の位置を確認する。
彼女は自分の背後で眠っていた。
このままだと自分諸共少女までやられてしまう。
一度は尽きた気力を奮い立たせ、少年は立ち上がった。
足はガクガク震え、うまく動かせない。
早く、男の射程範囲から外さなければ!
しかし男の魔法が無情にも放たれた。
まだリリアムは射程範囲内にいる。
「ああああああああああああ!!!!」
彼女を守れない悔しさにより涙が溢れてくる。
くそっ………くそっ………!!!
少しでも少女への被害を緩和する為、身体を広げ盾となり、恐怖から固く目を閉じた。
しかし、ヒラリとかわされた。
余裕の笑みまで浮かべている。
ギリッと歯を噛み締め、回転する様に相手の腰を狙う。
だが、これも避けられた。
何度やってもかわされる。
相手は鼻歌交じりで余裕そうだ。
まるで攻撃をしてこない。
この状況を楽しんでいる様だ。
対する自分はどうだ。
息は上がり、汗で服がぐっしょり濡れている。
かすり傷一つ負わせることが出来ないのか。
いや、考えるな!
相手の隙を狙え!!
このまま、ナイフを振り続けてもこちらが消耗するばかりだ。
それならば………!!!
身体を動かしつつ、片手で魔力を練る。
男は何をするんだろうとニタニタしていた。
ベリオット帝国は軍事力に長けている。
それと同時に如何にして戦場で生きながらえるかという術も訓練に取り入れられている。
教官にも教えられた。
死んだら終わりだ。
腕を切り落とされようと、泥水を啜ろうと、卑怯な手を使おうと構わない。
生きながらえる事が、次の希望となる。
情報を持ち帰れば、対策が練れる。
今自分に出来る事を全てやりきれ!!
自分はきっと死ぬ。
だが、まだ出来る事をやりきっていない。
この男に傷を負わせる!!!
ナイフを振り下ろし、避けられた瞬間。
男の眼前に手を突き出し、光を放射する。
これは先程研究室で使用したものであり、殺傷力はない。
「ふふ、同じ手を二度食らうほど、馬鹿じゃないわよ」
男は光を遮る。
すると、頭上からバケツをひっくり返した様な水が落ちてきた。
今だっ………!!
思わぬ子供騙しな攻撃に目をパチクリしている男目掛けて刃でつく。
男は少し反応が遅れ、腕に小さい傷が出来た。
薄く血が滲む。
それを見た少年はニヤリと笑い、距離をとる。
だが体力が尽き、膝から崩れ落ちた。
ゼェゼェと呼吸をする。
男はチクッとした痛みに気付き、腕を見る。
そしてまじまじと自分の血を眺めた。
次第に男の顔が赤くなっていくのが見える。
散々なめてかかってた少年に傷を負わされ、激怒しているのだろう。
しかし、自分はもう指一本動かす気力がない。
ああ……死にたくないなぁ。
男の手に巨大な魔力が渦巻いている。
これが放たれれば、自分は一瞬で消し炭になる。
ふと、少女の位置を確認する。
彼女は自分の背後で眠っていた。
このままだと自分諸共少女までやられてしまう。
一度は尽きた気力を奮い立たせ、少年は立ち上がった。
足はガクガク震え、うまく動かせない。
早く、男の射程範囲から外さなければ!
しかし男の魔法が無情にも放たれた。
まだリリアムは射程範囲内にいる。
「ああああああああああああ!!!!」
彼女を守れない悔しさにより涙が溢れてくる。
くそっ………くそっ………!!!
少しでも少女への被害を緩和する為、身体を広げ盾となり、恐怖から固く目を閉じた。
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