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第一章
僕の話を聞いてないだろう!
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「それにしても、寮がお前と同じだとはな」
隣を歩くネルスが細い肩をすくめる。
エラルドが寮で荷物を片付けなければならないと言ったため、最後に私だけが悶え苦しんだ場はお開きとなった。
寮が違うエラルドとは別れて、林の中に作られている舗装された道を歩いていく。
この学校は全寮制だ。
男女5つずつ寮があり、学舎を囲む林の中にそれぞれ建っている。
住む寮に身分は関係ないが、父に聞いた話では私の寮は一番新しく出来た場所らしい。
関係ないとか言いながら関係ありそうだ。
ちなみにネルスは知らないことだが、ネルスの父親のクリサンセマム侯爵からは、
「同じ寮にしたのでネルスを頼む」
という旨の連絡を頂いている。
絶対に寮を決めるにあたって権力的な何かが関わっている。
侯爵には手紙で2回お願いされたし、親戚が集まった私たち2人の入学祝いのパーティーでは、目が合う度にこっちにやってきて何度も同じことを言われた。
クリサンセマム家全員に言われたのではないだろうか。
過保護にもほどがあるが、ネルスはクリサンセマム家の6人兄弟の末っ子。しかも一番年の近い姉と5つ違い。
とにかく両親にも兄姉にも可愛がられ甘やかされて育っている。
15歳なのに「この子はいつまでも赤ちゃん!」と思われている可能性がある。
しかし、何かあっても私は責任とれないんですが一体何を頼まれたのか。
(しっかり育ってるのにねぇ)
まだまだ幼さの残る美少年を横目に見る。
今の背丈にピッタリの詰襟の制服。
肌が白いので濃紺の生地もしっくりきていてよく似合う。
この子ならブレザーも似合いそうだなぁ、ていうか何でも似合うなと想像しながらネルスの話に適当に相槌を打っていると、
「お前、僕の話を聞いてないだろう!」
と、怒られた。
私が考えていたことなど想像もできないだろうネルスににっこりと笑いかける。
「聞いているさ。皇太子にはこれ以上失礼のないようにするから安心してくれ」
「……そうだ。そうしろ」
分かっているならいい、と怒りの矛を収めるしかなくなったネルスが俯いて小さく呟く。かんわいい。
「皇太子といえば、2歳児と同じなんてピンポイントな年齢よく出てきたな?」
第一次反抗期を迎えた2歳前後の幼児の手のつけられなさといったら「魔の2歳児」として、私の世界の育児界では有名な言葉だ。
そしてこの世界でもそういった人の成長期などは変わらない。
しかし、ネルスはまだ15歳。しかも末っ子。
なかなか2歳児の大変さを経験することはなかった筈だと不思議に思っていた。
ネルスはあからさまに言いにくそうに目線を泳がせた。
無理には聞かないけどな、と考えながらその様子を見ていると、視線をどう受け取ったのかボソボソと話し始める。
「……5歳の頃、僕がサラダのお皿をひっくり返したことがあるのを覚えているか?」
「ん? ああ、あったな。」
隣を歩くネルスが細い肩をすくめる。
エラルドが寮で荷物を片付けなければならないと言ったため、最後に私だけが悶え苦しんだ場はお開きとなった。
寮が違うエラルドとは別れて、林の中に作られている舗装された道を歩いていく。
この学校は全寮制だ。
男女5つずつ寮があり、学舎を囲む林の中にそれぞれ建っている。
住む寮に身分は関係ないが、父に聞いた話では私の寮は一番新しく出来た場所らしい。
関係ないとか言いながら関係ありそうだ。
ちなみにネルスは知らないことだが、ネルスの父親のクリサンセマム侯爵からは、
「同じ寮にしたのでネルスを頼む」
という旨の連絡を頂いている。
絶対に寮を決めるにあたって権力的な何かが関わっている。
侯爵には手紙で2回お願いされたし、親戚が集まった私たち2人の入学祝いのパーティーでは、目が合う度にこっちにやってきて何度も同じことを言われた。
クリサンセマム家全員に言われたのではないだろうか。
過保護にもほどがあるが、ネルスはクリサンセマム家の6人兄弟の末っ子。しかも一番年の近い姉と5つ違い。
とにかく両親にも兄姉にも可愛がられ甘やかされて育っている。
15歳なのに「この子はいつまでも赤ちゃん!」と思われている可能性がある。
しかし、何かあっても私は責任とれないんですが一体何を頼まれたのか。
(しっかり育ってるのにねぇ)
まだまだ幼さの残る美少年を横目に見る。
今の背丈にピッタリの詰襟の制服。
肌が白いので濃紺の生地もしっくりきていてよく似合う。
この子ならブレザーも似合いそうだなぁ、ていうか何でも似合うなと想像しながらネルスの話に適当に相槌を打っていると、
「お前、僕の話を聞いてないだろう!」
と、怒られた。
私が考えていたことなど想像もできないだろうネルスににっこりと笑いかける。
「聞いているさ。皇太子にはこれ以上失礼のないようにするから安心してくれ」
「……そうだ。そうしろ」
分かっているならいい、と怒りの矛を収めるしかなくなったネルスが俯いて小さく呟く。かんわいい。
「皇太子といえば、2歳児と同じなんてピンポイントな年齢よく出てきたな?」
第一次反抗期を迎えた2歳前後の幼児の手のつけられなさといったら「魔の2歳児」として、私の世界の育児界では有名な言葉だ。
そしてこの世界でもそういった人の成長期などは変わらない。
しかし、ネルスはまだ15歳。しかも末っ子。
なかなか2歳児の大変さを経験することはなかった筈だと不思議に思っていた。
ネルスはあからさまに言いにくそうに目線を泳がせた。
無理には聞かないけどな、と考えながらその様子を見ていると、視線をどう受け取ったのかボソボソと話し始める。
「……5歳の頃、僕がサラダのお皿をひっくり返したことがあるのを覚えているか?」
「ん? ああ、あったな。」
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