子持ち専業主婦のアラサー腐女子が異世界でチートイケメン貴族になって元の世界に戻るために青春を謳歌する話

虎ノ威きよひ

文字の大きさ
42 / 134
第一章

1曲、踊るんだろう?

しおりを挟む
 
 舞踏会の会場は学園内に専用の建物がある。
 まるで体育館のように、あるのが当たり前の雰囲気で白を基調とした豪華な建物が立っているのだ。
 中に入ると、透明感のある水色の絨毯が入り口から正面の大階段の上までの道をつくっている。

 壁も天井も柱も床も全て白く、落ち着いた鈍めの金色の装飾が立体感を引き出している。
 天井にはもちろん、大きなシャンデリア。

 大階段の踊り場から続く階段からは、バルコニーが並ぶ2階へと行けるようになっているのが見える。
 
 大階段の先の踊り場には、皇太子アレハンドロとその婚約者ラナージュが並んで座っていた。
 
(さすが、扱いが別格ー)
 
 私なら絶対にあんな所に座りたくない。
 皇族が居ない場合は、その学年で一番家柄の良い生徒とそのパートナーが選ばれるらしい。
 成績で選べば良いのに。
 
 アレハンドロは赤い刺繍の入った、真紅のコートを着ていた。
 金のベストに白いスカーフとブラウスを合わせている。
 ズボンは黒色で締めているが、おそらく会場内の男子生徒の中で一番派手だ。

 その派手さを助長する銀色の髪は、前髪こそいつも通りだが、後ろはこれまた金色の髪飾りで耳より上の位置にて1つにまとめられている。
 
 真っ直ぐに背筋を伸ばし、肘掛けに腕を置きながら動くことなく会場を眺めていた。
 いつもの仏頂面が高貴で威厳のある顔に見えてくる。
 何はともあれ顔が良い。
 
 全員が会場内に入り扉が閉められると、ようやく隣のラナージュが立ち上がった。

「皆さま、本日は――」

 挨拶を始めた彼女は、アレハンドロと合わせたのであろう真っ赤なドレスを纏っている。
 ハートカットビスチェのそのドレスは、刺繍もレースもフリルもない。
 光沢のある赤色が自然に波打ちながら床に流れている。
 左右に一房ずつの縦巻きロールを残して、全ての髪がまとめ上げられたシニヨンヘアーだ。

 品がありとてもよく似合っていて美しい。
 15歳とは思えない着こなしだ。
 
 アレハンドロは胸元に、ラナージュは髪に金の薔薇を挿している。
 
 挨拶が終わるとアレハンドロが立ち上がり、何も言わずにラナージュの手を取る。
 そのまま大階段を降りて、会場の中央へ。その周りは人が自然と避けていく。
 
 2人が立ち止まり、向かい合う。
 それを合図に音楽が流れ始めた。
 音楽家たちの生演奏だ。
 互いにお辞儀した後、そのリズムに合わせて2人が動き出した。
 
(綺麗だなぁ)
 
 まるで映画のワンシーンだ。
 周囲からも感嘆の声が聞こえてきている。
 
 しばらく眺めていると、1組、2組とダンスに加わっていく。
 それに合わせてネルスがアンネの、エラルドがパトリシアの手を引いていった。
 
 私はどこで見物しようかなと会場内を見渡していると、隣から腕を引かれた。

「え?」
「1曲、踊るんだろう?」
「……そうだったな……」

 観たいと言っていたエラルドは行っちゃったからもういいやと思っていたのに律儀なやつだバレット。
 私はその手を取り片手は逞しい肩に添えて黒い瞳を見上げる。

 いやだこの子もやっぱりめちゃくちゃ顔が良い顔が近い。

「こっち側は慣れてないからお手柔らかに」
「俺はダンス自体に慣れてないから足元に気をつけろ」

 不穏なことを言いながら私の腰に腕を回したバレットと共に、周りに合わせて踊り始めた。
 
 確実に、一番目立った。
 
 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

処理中です...