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第一章
ネルス・クリサンセマム
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女性声優が少年の声を担当した時のような張りのある美少年声が、背後から私を呼び止めた。
その声には聞き覚えがあり、振り返るとそこには声帯に似合う美少年が、拳を握りしめて立っている。
耳にかかる長さのショートヘアは艶のある黒色で、長い睫毛が縁取る吊り気味の大きい目は澄んだ紫色。
怒っているのか興奮しているのか、私と同じ白い肌は頬が紅潮し、形のいい眉はつり上がっている。
「ネルス!久しぶりだな。また大きくなったか?」
「伯父上たちのようなことを言うな!」
母方の親戚、ネルス・クリサンセマム。
母の実家で集まる際などは同い年ということもありよく子守りを、いや、よく一緒に遊んだものだ。
色々あって忘れていたが、彼と同じ学校に通うのを楽しみにしていたのだ。
久しぶりとは言ったものの、入学祝いの集まりがあったため、一番最近会ったのは1ヶ月も前ではない。
美少年であることなど関係なく、親戚の子というのは15歳になっても抱きしめたくなるくらいかわいい。
学校という公の場のため我慢しているが。
私は急な登場人物に呆気に取られているエラルドに声をかけた。
「突然すまなかったエラルド。こちらは母方の親戚で、クリサンセマム侯爵家のネルス。ネルス、こちらは級友で、ユリオプス伯爵家のエラルドだ」
交互に手で指し示しながら紹介すると、エラルドが先に手を出した。
なんだか「好青年ー」という効果音が聞こえてくる気がする。
「シンの親戚なのか!よろしくな。ネルス、と呼んでいいか?」
「ああ、僕もエラルドと……いや、申し訳ないがそれどころじゃない!シン!お前入学早々、皇太子に無礼を働いたそうじゃないか!!」
(げっ)
エラルドに対して、ネルスは「美少年ー」の効果音と共に礼儀正しく握手を返す。
しかし、本来の目的を思い出したらしいネルスが改めてこちらを睨め付けた。
長身のエラルドと小柄なネルス、2人の身長差が最高とか思っている場合ではなくなった。
もうネルスの耳にまで届いているとは。
まぁあれだけの人数の前でやらかしたのだから、当然と言えば当然だ。
流石にため息が溢れ、額に手を当てた。
「もう私だと特定されているのか。親戚のお前に迷惑をかけてすまないな」
「いや、どこの家の者かまではまだ情報は回っていない。だが!」
ずいっと一歩近づいて睨み上げてくる。
「クラスの女生徒たちが噂話をしていたんだ。その男は金髪碧眼、庇われていた女生徒が羨ましくなるほどの美男子で、ごく短い詠唱で魔術を操ったと。そんな天才的な化け物、シンという名を聞かずともお前以外にいてたまるか!!」
なんだかとても褒められた気分だ。
思わず隣へ視線をやると、微笑ましそうな表情をしているエラルドと目があった。
うん、かわいいよねこの子。とつられて口元が緩んでしまう。
「褒めてくれてありがとう」
「褒めてない!!」
照れ隠しともツッコミとも取れるその言葉は、食堂の扉の前で盛大に響き渡った。
その声には聞き覚えがあり、振り返るとそこには声帯に似合う美少年が、拳を握りしめて立っている。
耳にかかる長さのショートヘアは艶のある黒色で、長い睫毛が縁取る吊り気味の大きい目は澄んだ紫色。
怒っているのか興奮しているのか、私と同じ白い肌は頬が紅潮し、形のいい眉はつり上がっている。
「ネルス!久しぶりだな。また大きくなったか?」
「伯父上たちのようなことを言うな!」
母方の親戚、ネルス・クリサンセマム。
母の実家で集まる際などは同い年ということもありよく子守りを、いや、よく一緒に遊んだものだ。
色々あって忘れていたが、彼と同じ学校に通うのを楽しみにしていたのだ。
久しぶりとは言ったものの、入学祝いの集まりがあったため、一番最近会ったのは1ヶ月も前ではない。
美少年であることなど関係なく、親戚の子というのは15歳になっても抱きしめたくなるくらいかわいい。
学校という公の場のため我慢しているが。
私は急な登場人物に呆気に取られているエラルドに声をかけた。
「突然すまなかったエラルド。こちらは母方の親戚で、クリサンセマム侯爵家のネルス。ネルス、こちらは級友で、ユリオプス伯爵家のエラルドだ」
交互に手で指し示しながら紹介すると、エラルドが先に手を出した。
なんだか「好青年ー」という効果音が聞こえてくる気がする。
「シンの親戚なのか!よろしくな。ネルス、と呼んでいいか?」
「ああ、僕もエラルドと……いや、申し訳ないがそれどころじゃない!シン!お前入学早々、皇太子に無礼を働いたそうじゃないか!!」
(げっ)
エラルドに対して、ネルスは「美少年ー」の効果音と共に礼儀正しく握手を返す。
しかし、本来の目的を思い出したらしいネルスが改めてこちらを睨め付けた。
長身のエラルドと小柄なネルス、2人の身長差が最高とか思っている場合ではなくなった。
もうネルスの耳にまで届いているとは。
まぁあれだけの人数の前でやらかしたのだから、当然と言えば当然だ。
流石にため息が溢れ、額に手を当てた。
「もう私だと特定されているのか。親戚のお前に迷惑をかけてすまないな」
「いや、どこの家の者かまではまだ情報は回っていない。だが!」
ずいっと一歩近づいて睨み上げてくる。
「クラスの女生徒たちが噂話をしていたんだ。その男は金髪碧眼、庇われていた女生徒が羨ましくなるほどの美男子で、ごく短い詠唱で魔術を操ったと。そんな天才的な化け物、シンという名を聞かずともお前以外にいてたまるか!!」
なんだかとても褒められた気分だ。
思わず隣へ視線をやると、微笑ましそうな表情をしているエラルドと目があった。
うん、かわいいよねこの子。とつられて口元が緩んでしまう。
「褒めてくれてありがとう」
「褒めてない!!」
照れ隠しともツッコミとも取れるその言葉は、食堂の扉の前で盛大に響き渡った。
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