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1章 出会い

1話 不注意

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「ふう...」
いつも通り、決まった仕事をする。
僕の所属している村の決まりで、13になると天職を与えられることになる。僕は今15なので、この仕事に就いてから2年が経つ。もうだいぶ慣れてしまって、今ではほぼ一連の作業を淡々と行っているのに過ぎない。

「退屈、だなぁ」

平凡で、退屈だが、それよりも安定した生活を送れるので、平凡な日常でもかまわない。
そんなある日...

「お、アルス。ちょうどいいところにいるな。」
「どうしたの?父さん。」
「実はお願い事があってな・・・父さんはまたすこしの間、町の方に出かけなきゃならん。だから、代わりにベルの実を取ってきてほしいんだ。」
「わかった。町で事件に巻き込まれたりしないようにね。」
「アルスもな。」

互いに多少の皮肉を言いつつ、別れる。仲の良い証拠だ。
父さんの頼みどおりに、今は亡き母が編んでくれた籠を持ち、ベルの実を取りに家を出た。
実は、このあたりの森は物騒な地域で有名だ。冬には冬眠しているはずの凶暴な熊が現れたり、夏には見るに堪えない大きい蜂が出る。だから、僕はさっき家を出る前に、特殊な加護付きの服を着てから来ている。
【疾風の加護】という加護なんだけど、これは着ている人の移動速度を上げることができる、とても便利な加護だ。
ところで、ベルの実の穫れる時期はだいたい春頃だ。この時期はこの森もあまり危険ではなくて、せいぜい危険なのは溶け残っている氷ぐらいだ。

「たしか、ここらへんにベルの実があった気がするんだけど・・・」

以前に父さんと来たときと同じ場所のはずなのだが、どうも違うらしい。全く、見当たらない。
あたりを見回してみると、新たな発見があった。

「枝からなにかが取られてるな。」

それがベルの実の小木に似ていたので、気になってしまった。
この時点で、本当は一旦戻るべきだったかもしれない。でも、僕はまだ見ぬ大地への好奇心に負け、その先へ進んでしまった。

しばらくすると、大きな崖のある、たくさんの花が咲いた景観の場所へやってきた。
そこには、ベルの実もあったので、獲ろうと手を伸ばした。だが。
どうも、その時の僕は危機管理能力が切れていたらしい。それは一瞬の出来事で、ツルッと、僕の足を奪っていった。
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