ウィズモンスター

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1章 出会い

4話 戦争のワケ

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「あれは約数百年前の話だ。数百年と言っても、120年まえくらいのだが。
あのとき、私はまだ幼かった。妖狐の仔として生を預かって、まだ間もなかった。
その時は、人間と化モノは極めて友好的だった。
力のある化モノが重い荷物や資材を運び、知能の高い人間が器用な事を果たす。
争いもなく、関係は良好であった。
だが。1つの問題が生じてしまった。その問題とは――」

数百年前
「大変だ!モンスターは誰か助けてくれ!」
「どうした!今行くぞ!」
「ブー様が木材の下敷きに!」

「そんな!どうして!・・・ウウッ・・・。」
「人間たちよ!どうしてブー様がいることに気づかなかった!どうしてなんだ!」
「し、仕方ないだろ!俺らだって、身魂削って働いてるんだ!」
「ふざけるな!クソッタレが・・・」

「・・・というふうに、友好的ではあったが、つながっている絆は大きな問題が生じた際に、いわばプチッと切れてしまう・・・
そんな関係であったのだ。」
「それじゃあ・・・人間が悪かったのに、謝りもしないからいまこんな関係になってしまったのですか・・・?」
「否。君の思っていることも分かるが、それは少しだけ違うな。
人間も悪く、化モノも悪い。客観的に見れば人間が悪いようにみえるだろう。
実際、化モノの世界では、この物語が伝えられてからさらに、人間への嫌悪がついて回っていた。」
「どうして、化モノも悪いと思っているんですか?」
「思っているのではない。これは事実なのだ。それはなぜか?
じつはだな、その出来事は、だ。」
「そ、そんな・・・でもなんで、化モノは人間を嵌めようと思ったんですか?」
「答えよう。化モノ側の、そちらで言う貴族が、人間との共存を望んでいなかったからだ。
彼らは、私にもなぜかは分からないがひどく人間を恨んでいた。接触を試みず、交流もしない。
実は、そのころやっと人間と化モノが共存して約2年が経ったことだったのだ。
当然、絆も深くはないだろう。」

そうか。だから今人間は化モノと戦争の状態になっているのか。

「ところで、貴方は最初に、僕にこう問いかけましたよね。「汝は、獣や化モノとの交流を望む者か。」って。
僕の答えはこうです。望みはしないけど、できれば戦争などなくなって欲しいと思っています。」
「そうか。――では、君に選択肢をあげよう。」
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