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第三十三話
しおりを挟むさて、学校へ入学して早々起きた悪役イベントを回避した俺は生徒会室に呼び出されていた。
生徒会はまだ前期の選挙すら行われていないため、後期生徒会のメンバーが運営している状態。
……とはいっても例年であれば大きな仕事はないのだが……俺のせいで一年間のボランティア活動を取り仕切ると言う大仕事があるのだ。
取り合えず現生徒会長で三年生の『洋宮旭日』先輩から呼び出しを受けていた。
洋宮先輩は現作でも登場するネームドキャラクターで、サブキャラクターではあるもののファンから人気を獲得していた。
これは保科から聞いた話だが、『彼女にしたいランキング』で、二年間もの間上位にランクインするほど人気らしい。
呼び出される心当たりは、件のボランティア活動ぐらいだ。
美人な先輩からの呼び出し。字面だけは嬉しい響が重なり合っているのに……実務で呼び出されると判っているだけで萎える。
「失礼しまーす」
生徒会室のドアを開けるとそこは修羅場だった。
まるでコールセンターのように学生服に身を包んだ男女がスマホ片手に電話をしている。
「お世話になっております。私私立瑞宝学園高等学校二年の二条と申します」
「はい。はい。その件なのですが……今年から運営が変わりまして……そちらにご不便等はお掛けしないと……」
まるで営業課かクレーム対応かのようだ。
「老人ホーム菊花はボランティア受け付けてないって……」
「こっちもだ」
「ホワイトボードに断られたところをリストアップしていくぞ……」
「俺達が前期の頑張り次第で前期のボランティア活動の内容が変ってくる。皆アポイントメントの時は丁寧な言葉使いで……」
繁忙期のミーテングに立ち会ったみたいだ。
そうして立ち尽くしていると……
「ごめんなさい。急に呼び出して……」
「洋宮先輩お疲れ様です」
「ここじゃあ少し騒がしいから別室に行きましょうか……」
鉄パイプと木で作られた椅子に腰かける。
「それじゃあ改めまして後期生徒会長の洋宮旭日です」
「それじゃぁ真堂クンどうして呼び出しを受けたかわかるかしら?」
「……まあなんとなくは……」
この光景を見せられて「判らない」と、答えられるほど鈍くはないつもりだ。
洋宮先輩は、小さく溜息を吐いた。
どうたら返答がお気に召さなかったらしい。
「まあそうでしょうね」
いかにも大和撫子って感じの洋宮先輩は「フフ」っと蠱惑的に微笑み足を組む。
煽情的な角度で固定されるのを見過ごさなかった。
視界に入った大根のようにむっちりとした太く健康的な太腿に、視線が吸い寄せられるのは悲しいかな男の性と言うモノだ。
最近、洗濯をしたときに妹のパンツを見たのだが、少し興奮した。血の繋がった妹とは言えども、中身である俺には兄として過ごしてきた経験がないのだ致し方がないだろう。
妹のパンツとは違いアダルトな感じなのだろうか?
一説によれば翻るスカートや長髪、ヒラヒラとしたものを目で追ってしまうのは原始時代の名残だと言う話で、襲撃者など危険の予兆やエモノの痕跡に敏感になる為と言うことで……
太腿、スカート、パンツと思考がエロに汚染されていた。
しかし、全ては洋宮先輩の一言で現実に戻された。
「――ねえ、真堂君」
「ひゃ、ひゃい!」
全て判っているのよ。人が問い詰めていると言うのに、女性の生足を見て鼻の下を伸ばすなんて言いご身分ですね。――と意訳が脳内に変換される。
慌ててピンと姿勢を正し傾聴する。
すげぇ。こんなにはっきり、まるでアニメの副音声のように裏の意味が判るなんてことがあるのだろうか? きっとこれがアニメや漫画なら背景なんかに文字として表現されていることだろう。
でも仕方ないことだと思うんだ。
三浦大根のように太く白い太腿と、黒いニーソックス(個人的にはタイツも可、いやむしろタイツの方がいい!!)そしてスカートが織りなす三重奏が作り出す魔性の領域が展開されるのだ。
そりゃぁ刻一刻と変化する絶対領域を見つめる俺は、無限の情報を流されるように思考が進まないのも無理はない (暴論)と言う訳だ。
「今回のボランティア活動の件、クラス単位で個別に活動するよりも部門を別けて活動する方が合理的……確かにその通りと私も思って賛成したわ……けれど……どうして言い出した君が参加していないのいかしら?」
「……それは、俺は生徒会役員でもクラス委員でもないからです」
俺は自分の運命を変えたかっただけで、ボランティア活動を運営する側になりたかった訳じゃないからだ。
取り繕わずに言えば、もうやることはやったのでカルマ値を秩序側に上昇させるために、ボランティア活動はするが必要以上に時間を取られたくない。
もっと青春ラブコメのようなことに時間を割きたかったのだ。
「確かにそうね……でもこの場には生徒会役員でもクラス委員でもない有志の生徒もいるのよ?」
そう言われるとぐうの音も出ない。
「……」
自分の破滅に繋がるイベントから逃げたかっただけで、慈善活動やボランティア活動と言った綺麗ごとまるで興味がないからだ。
アフリカの子供が苦しんでいても、正直言ってどうでもいい。
「やらない善よりやる偽善」だとは思うが……強要されるものでもないし、まして昨今TV等の報道で募金が中抜きされてることを考えると、黒〇徹子の口座にでも振り込んだほうが幾分もマシと言うモノだ。
「別にボランティア活動を積極的にしろと言ってるわけではないのよ。扇動するだけ扇動してさも『自分は関係ないです』とでも言いたげに、旗を降ろして船を降りるのはどうか? という話をしているだけよ」
洋宮先輩の言いたい事も判らないでもない。
洋宮先輩はこう言いたのだ。
「私達をやる気にさせたのに、その張本人が積極的に行動しないのはどうなんだ? 私は逃げ出さず行動しているというに」と……。
しかし、俺にも言い分はあるのだ。
本当の事を明かせないからには嘘を付くしかない。
「旨味を捨てたのでこれ以上関わるのもなーと思いまして……」
「……確かにそうかもね。じゃあ旨味があればやるのね?」
洋宮先輩はニヤリと笑った。
嫌な予感がする。
もしかして俺は失言をしてしまったのだろうか?
美人と言うものはただそこにいるだけで雰囲気がある。
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