36 / 58
第三十六話
しおりを挟む「まずは段ボールを一つずつ確認してしよう」
「それは後回しだ……先ずは段ボールを廊下に運び出しスペースを開けるところらだ」
「確かにその方が効率が良さそうだな……」
「祐堂人手増やせないかな?」
「直ぐには無理だろ……まさか真面目にやるって言ったのは嘘じゃないよな?」
「……」
「おい! 何とか言えよ!」
もしかして俺達嫌われているのか? と言うセリフを飲み込んだ。
俺が憑依する前にやらかしてるんだもんな……嫌われていても仕方がない。
流石にこの量を今日、今すぐにとなると工夫が必要そうだ
「祐堂片付けは得意か?」
「家事はここ二年間でそこそこ出来るけど……」
原作通り家事万能系らしい。
人生二週目でもないのに実にハイスペックなことで……
「そうかそれは重畳。よーしママ頑張っちゃうわよ!」
「うわあ~余りの仕事量に真堂が壊れた」
ともあれ50人以上の生徒を集めて何をするかと思えば、倉庫整理にアポイントメントと大忙し。
どうやらこれから暫くの俺達の仕事は、この散らかった教室を片付けることらしい。
「失礼な! 無理にテンション上げただけだ。女の子にやらせることではないし俺で良かったよ」
「そうだな」
「この学校ってシャワー室あったけ?」
「水泳部があるから、立派かどうかは兎も角シャワー室はあると思うが……まさか……」
「汗をかいたらシャワー浴びたいよな?」
「お前馬鹿だろ!」
「でも汗と埃まるけになるし……浴びたい!」
「気持ちは理解できるが……」
前世の小中時代のプールのシャワーは、屋外の丸見えなところにあった。
水着どというものを持っていない俺達はパンイチor全裸でシャワーを浴びる必要がある。
「シャワー云々の話は一旦やめにしよう」
「そうだな……取り合えず手を付けて少しずつでも片付けて行かないと、何も話が出来そうもないか……」
「……」
俺達は問題を先送りして、埃に塗れながら片付けを始めた。
………
……
…
「ふぅ……結構早く終わったな……」
俺は額に浮かんだ汗をハンカチで拭いながら今日の成果を見る。
大量の紙束の山を眺める。
教室内を蛍光灯が明るく照らしていて、窓から見える風景は暗く時計を見ればもう直ぐ最終下校時刻になろうとしていた。
どうりで腰が痛い訳だ。
俺は伸びをする。
祐堂の方を見ると彼も伸びをしている。
背中を貸して欲しい。
どうせなら二人で効率的に体を解したい。
「真堂が来てから倍以上の速度で整理が終わったよ。何て言うか凄く慣れてる気がするんだけど、バイトとかやってたのか?」
「……読書する割に元の本棚に戻すのが面倒くさくて、纏めて整理するんだよ。本の冊数も多いし新刊が出る度に整理してただけだよ」
とそれっぽい話をする。
実際前世では、小学生時代から集めたラノベの数は1000冊に迫り本棚を圧迫していた。
それだけ本があると買って読んで本棚に仕舞うのが面倒で、半年か一年に一度のペースで本を大移動させていた。
書類の整理整頓の速さは、学生時代のバイトなどの経験を元にしたものだ。
「それにしてもスゲーな」
「本当は全部電子化したいところだけど、時間がないから今年度で分けてる紙を月ごとに纏めたい」
「確かにそのほうがバックナンバーを探す時に便利だな。先輩達には終わったって伝えて来るよ」
そう言って部屋を出ようとする祐堂の手首を摑んで引き留める。
「待った。先輩たちはいつまでに終わらせろって言ったんだ?」
「……今週中だからあと三日はあるな」
「ふむ……」
俺は少し悩んだフリをする。
「よし、じゃぁ明日からは月毎に仕分け作業をしてから仕事が終わったと報告しよう」
「早く終わったなら終わったと報告するべきだと思うけど……」
「祐堂君の考えは正しい。だけど俺見たいな人間は少しでも楽がしたいだからあと三日だけまってくれ」
「……二日だそれ以上は待てない」
「ありがとう。それだけあれば少し優秀どまりですむ」
「真堂……」
「俺には他にやることがあるんだ。その為には時間は少しでも欲しいただそれだけだよ」
「理由があるなら言ってくれれば融通したんだが……」
「祐堂、お前はやっぱり優しいな」
「俺は優しくなんかないよ。ただ俺は優しくあろうとしているだけだ」
優しくあろうとしているだけか……昔読んだ作品でもそんな言葉があった事を思い出した。
「そのスタンス。俺も使っていいか?」
「いいけど……急にどうしたんだ?」
「変わりたいって思ったんだ。自分が変れば世界が変わるって言うだろ? いきなり優しい人間は俺には無理だだから、今日の自分よりも明日の自分の方が優しい人間でありたいなって……そう思ったんだ」
「……やっぱりお前はいい奴だよ。逃げたり現実を直視しない選択しもある。だけど真堂は立ち向かうことにした。これは称賛されるべきことだと思う」
聖人見たいな主人公にそう言われると悪い気はしない。
「ありがとな……あとの整理と報告は俺がやって置くから祐堂は早くあがりなよ」
「だけどまだ……」
祐堂は、一瞬口ごもる。
「いや何でもない。甘えさせてもらうよ」
そう言って鞄を持つと「お疲れ」と言って部屋を後にした。
「さて、片付けしますか……」
11
あなたにおすすめの小説
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件
沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」
高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。
そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。
見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。
意外な共通点から意気投合する二人。
だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは――
> 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」
一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。
……翌日、学校で再会するまでは。
実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!?
オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
隣の席のクールな銀髪美少女、俺にだけデレるどころか未来の嫁だと宣言してきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な高校生、相沢優斗。彼の隣の席は『氷の女王』と噂のクールな銀髪美少女、雪城冬花。住む世界が違うと思っていたが、ある日彼女から「私はあなたの未来の妻です」と衝撃の告白を受ける。
その日から、学校では鉄壁の彼女が、二人きりになると「未来では当然です」と腕を組み、手作り弁当で「あーん」を迫る超絶甘々なデレモードに!
戸惑いながらも、彼女の献身的なアプローチに心惹かれていく優斗。これは未来で結ばれる運命の二人が、最高の未来を掴むため、最高の恋をする糖度MAXの青春ラブコメディ。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる