転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗

文字の大きさ
25 / 74

第15話 蒸留器と白磁器

しおりを挟む
「母上の要望に応えるにはどうするべきか……できることから始めよう先ずは蒸留だな……」

 蒸留の仕組み自体は、中学で習うような基礎的なものだ。
まず酒など分離させたい液体の入った容器を火にかけ、その蒸気を冷やしてできた液体を抽出する。温度差を使った簡単な化学現象だ。

 それを示すように16世紀~17世紀の黄金期を迎えた英国テューダー朝では、夜の元気薬や医薬品、化粧品、香水、飲み物を用意するために所領の屋敷には蒸留室《スティルルーム》が設けられ女主人や侍女は蒸留の技術を持っていた。
 もっとも時代が下るにつれ女主人の部屋の近くにあった蒸留室は、軽食を用意する簡易キッチンへと置き換わり次第に使用されなくなっていったのだが。

 蒸留器と言えば蘭引やアランビック蒸留器が有名だろう。
 構造は多少異なるがやっていることは水で気体を冷やし液体にするただそれだけだ。

 俺は依頼を出すために鍛冶師の元に向かった。
 カンカンと鉄を金槌で叩く音が聞こえる。
 また高温で鉄を熱しているためか春なのにまるで夏のように熱い。

「すまん、こういうものを作ってくれないか?」

「帰れ! お前は面倒なモノしか発注しない厄病神め!!」

 鍛冶師は顔を上げると俺を怒鳴りつける。

「鞴を吹く手間を減らすために専用の水車まで作ってやったじゃないか」

「そのせいで仕事漬けだ!! それにお前の依頼が山詰みだ」

「勤労意欲はいいことだぞ? 領地が富めば俺も富むからな……」

「クソが!! で今回は何の用だ?」

「こういうものを作ってほしくてな……」

 そう言って絵図を見せると……

「……できないことはないが、鍋のように使うだけなら銅等の安価な金属で良くないか? それか皿や壷を作るやつらに頼んだ方が良い」

「なるほど……参考になる」

「じゃあな……」

 無礼な態度の師匠が去ったあと見習いがフォローを入れる。

「見ての通り領主さまの依頼で忙しくて余裕がありません。それに……若君は鍛冶師ばかりを贔屓していると噂になっていますから他に仕事を回したほうがよろしいかと……」

「ついでだアレも作らせよう……」

「アレですか?」

「ああ白い金だ」

「白い金ですか……楽しみです」

「ではな……」

 そう言って工房を後にした俺は陶芸家のアトリエに向かった。

「邪魔をする」

「ん? これはこれは若君いかがされましたか?」

 陶芸家は驚いた表情を浮かべるも即座ににこやかな笑みを浮かべる。

「実はな作って貰いたいモノがある。一つはモノを作るためのモノもう一つは売るためのものだ」

「ほう、それは面白いですな……してどのようなものでしょうか?」

「蒸留器と白磁器だ」

「は、白磁ですか!?」

 この世界でも白磁は大変高価なもので買えるのは、ほんの一握りの商人と金のある子爵以上の貴族だ。もっとも海に面したこの国では……という話で海に面していない国では王族でも持っていないとか……。

「そうだ。嘘だと思って貰っていいが白磁を作る糸口を見つけた」

「陶芸家としては形や釉薬、絵付け以外で差を出すことは大変困難でした。その問題を根本から変えるには素材しかありません是非ご教授いただけますか?」

「約束を守るのであれば許可しよう。材料は分かるただ他の素材との兼ね合いがあるから試行錯誤は必要になる」

「構いません! 是非お願いします」

 骨灰を3~6割入れるってことまでは覚えてるんだけど……その辺は職人に任せ税で収益を得ればいい。

牛骨灰が一番いいらしいが豚や鳥、魔物ではだめなのだろうか?

「分かった材料だが……通常の材料に加え、骨灰を3~6割入れると白くなる」

「……鍛冶師から話は聞いておりますので、細かいことは置いておいてまずは信じてみます。蒸留器は取り敢えず10個ほどご用意しておきます大壷を改造して作りますのでお日にちはそこまで掛からないと思います」

「任せる。支払いは屋敷に頼む」

「判りました。それで白磁器の取り分なのですが……このくらいでどうでしょう?」

「多いな? その半分でいいぞ?」

「え、いいのですか?」

「お前が富めば製法を秘するように策を弄するだろう? そうすれば俺は働かずに秘密を守れ税も入ってくる最高じゃないか?」

「若君はまるで引退間近の商人のようですな……」

「褒め言葉として受け取っておこう。すまないが木工職人を紹介してくれないか?」

「木工職人ですか? 難しくない家具ならある程度皆つくれますし、家や馬車のような専門性の高いモノだと他はやらないと思いますが……」

「……」

 家庭科の教科書でいう「家庭機能の外部化」が進んでいないこの世界では木製の雑貨の多くが各家庭で作られているようだ。
 薄々そんな気がしていたんだ。だって農民に作らせた木製製品結構できが良いんだもん。

「秘密を守らせるには高級品を作るような職人に任せた方がいい……知り合いに口が堅くて試行錯誤を楽しめるようなやつはいないか?」

「……木工の秘術もご存じなんですか?」

「ああ白磁器と同じぐらい価値がある者だと思っている……」

「では友人を紹介させてください」

「頼む、他の職人にも渡りを付けて欲しい」

 
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2025年12月に第4巻が発売されました  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~

namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。 かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。 海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。 そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。 それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。 そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。 対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。 「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」 アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。 ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。 やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。 揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。

処理中です...