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第29話 転生陰陽師とガイダンス
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魔道科高校は魔術師を育成する教育機関だが、ただ魔術を学ぶだけではない。
普通科高校と同じように、国語、数学、生物、化学、英語といった一般科目がある。
とはいうものの、留学生も通うこの学校では英語なんてできて当たり前だ。
俺の場合は前世の経験で三歳時点で、言霊の奥義『千の言霊』を体得している。
読み書きには苦労しない。
「――以上でガイダンスを終了する。まずは全員の自己紹介だ。俺は、お前達の担任で加藤清《かとうきよし》三十二歳独身、一般家庭出身で剣を得意武器としている。魔術師としては二流だが剣を含めれば一流だと自負している」
加藤ということは藤原氏(中臣)系で剣を用いるということは……恐らくはあの剣を用いるのだろう。
自身の名前を白板に書き込んだ担任は、生徒達に自己紹介を促した。
魔術師なので仕方がないが……ほぼ全員が名門なんだけど……あと外国人多すぎ問題。
当然のようにあの時の少女もここにいる。
「『十三魔術王家』の一つイングランドの王家ペンドラゴンの次女アーシュラ・ブリギッド・ペンドラゴンよ」
やはりただものではないと思っていただが、『十三家』の関係者のようだ。
向こうでは『降魔十三家』ではなく『十三魔術王家』とよぶようだ。
赤髪の少女が名乗りを上げた。
「同じく『十三魔術王家』の一つフランスの王家ジャンヌ・アンナ・ド・ジョワズール」
お前もかよ……
まあ魔力量だけでただものではないのは分かる。
しかし日本には神の血を色濃く受け継いだ一族は多く、魔術の名門といえば安倍家直系の土御門を置いて他に居ない。
「わたしは京都出身の『降魔十三家』の土御門伊吹。学園で二番目の魔術師になれるように頑張るわ」
「あたしは東京出身の倉橋瀬織。直毘人に並べるぐらい強くなるのが目標よ」
日本の魔術師界では剣の吉田と魔術の両家の関係は有名だ。
席は俺を中心に左右を瀬織と伊吹が抑えており、前後は名門の女子が陣取っている。
(露骨だなあ~)
過大評価でなければ殆ど全員が俺狙い……追われる男がこんなに辛いとは……
俺だってバカやれる男友達が欲しいのにこのままだと男子全員から恨まれそうだ。
「吉田直毘人です。等級は特級……特殊な立場だけど基本的には同級生として授業を受けることになる土御門伊吹、倉橋瀬織、勘解由小路湊は婚約者です。よろしくお願いします」
軽い挨拶をする。
国内で俺を知らない人間はいないだろうから説明は最小限度良い。
「吉田直毘人くんは、既に魔術師として第一線で活動している授業を受け持って貰うつもりだ。皆もそのつもりで頼む」
「「「「……」」」」
「剣の魔術師に習うことなんかねぇな……」
独り言だったのだろう。
しかし魔が悪かった。
彼の呟いた独り言は沈黙の最中のもので大声で言ったように目立ったのだ。
クラスの注目が集まる。
「君個人が剣の魔術師を嫌うのは構わない。ただそれを表に出すのは大人として恥ずべき行為だ」
教師は優しく窘めた。
「けっ! 魔術師が武器を取るのは野蛮だって皆言ってるのにそれを隠すのが大人? そんなものは綺麗ごとだ! 皆もそう思うだろ?」
「……」
教室にいる魔術師の多くが朝廷系であることを踏まえれば彼の言葉には間違いはない。
しかし魔力が前世の基準でも劣っている人間が多い現代では武器に頼るのは自然なことだ。
それが分からないとは情けないことだ……
「君の言うことは一部正しい。正しい部分は二つ『武家系を過度に侮り侮辱しそれを表でいわないこと』ことと『魔術師が武器を取るのは野蛮だと実力を伴わない君が指摘している』点だ」
「な! 取り消せよ今の言葉……」
「取り消すつもりはない。現代の魔術師の殆どは武器を持った方が強くなれる。結局最後にモノを言うのはフィジカルだからな……」
「三大宗家と婚姻を結ぶからって偉そうな口を叩くなよ。この穢れた血の蛮族が!」
「『黙れ!』」
呪文を経由せずに、指向性を持った魔力が周囲の空気を一変させ、言葉の通りの行動を強制する。
『穢れた血』とは心ない貴族が我が安倍家に言い放った悪態だ。
国津神や天津神の子孫である貴族や豪族は、呪力を持ち民草を支配してきた。
しかし安倍家などは神使《しんし》の末裔と言えど、人外の血を引く一族で、数代で陰陽道の頂点に上り詰めたとあれば嫉妬や反感を買い。『穢れた血』と言う悪態(呪詛)を受ける。
清明さまや父の時代が最も苛烈だったろうが、俺の時代も『穢れた血』と言われた。
『穢れた血』という言葉に過剰反応してしまった。
「言霊!」
「吉田家の祖神天児屋命を愚弄するとは、人の道に反する愚行本来なら叩き切っても文句はないだろうが……ここは学校だ。ミスはあるだろう……ここで提案だ術比べを行い両者の主張に間違いがないかを確かめ、水に流そうじゃないか」
俺はそう提案した。
「吉田くん頼むから再起不能にはしないでくれよ?」
「ええ、俺は剣術も式神も使いません」
「な!」
現代魔術師にとって式神は重要な要素《ファクター》である。
「術も『小呪《しょうしゅ》』までだ」
「基礎魔術まででも全く構いませんが?」
日本の魔術。特に禍津日《マガツヒ》調伏に用いられる不動明王の術は『小呪《しょうしゅ》』、『中呪』『大呪』と別けられている。
「『小呪《しょうしゅ》』で撃ち合わなければ彼が納得しないだろう。それに基礎魔術の差は魔力量と魔力技術で雲泥の差が出るそれはあまりにも酷だろう」
そう言って噛みついてきた彼に視線を向けた。
「今日の授業はガイダンスだけだ。それに特級の実力の一端を見れる折角の機会だ。課外授業として二人の術くらべを見学にしましょう。解説と質問は授業内で行いますがレポートを提出してください。では魔練場に行きますよ」
普通科高校と同じように、国語、数学、生物、化学、英語といった一般科目がある。
とはいうものの、留学生も通うこの学校では英語なんてできて当たり前だ。
俺の場合は前世の経験で三歳時点で、言霊の奥義『千の言霊』を体得している。
読み書きには苦労しない。
「――以上でガイダンスを終了する。まずは全員の自己紹介だ。俺は、お前達の担任で加藤清《かとうきよし》三十二歳独身、一般家庭出身で剣を得意武器としている。魔術師としては二流だが剣を含めれば一流だと自負している」
加藤ということは藤原氏(中臣)系で剣を用いるということは……恐らくはあの剣を用いるのだろう。
自身の名前を白板に書き込んだ担任は、生徒達に自己紹介を促した。
魔術師なので仕方がないが……ほぼ全員が名門なんだけど……あと外国人多すぎ問題。
当然のようにあの時の少女もここにいる。
「『十三魔術王家』の一つイングランドの王家ペンドラゴンの次女アーシュラ・ブリギッド・ペンドラゴンよ」
やはりただものではないと思っていただが、『十三家』の関係者のようだ。
向こうでは『降魔十三家』ではなく『十三魔術王家』とよぶようだ。
赤髪の少女が名乗りを上げた。
「同じく『十三魔術王家』の一つフランスの王家ジャンヌ・アンナ・ド・ジョワズール」
お前もかよ……
まあ魔力量だけでただものではないのは分かる。
しかし日本には神の血を色濃く受け継いだ一族は多く、魔術の名門といえば安倍家直系の土御門を置いて他に居ない。
「わたしは京都出身の『降魔十三家』の土御門伊吹。学園で二番目の魔術師になれるように頑張るわ」
「あたしは東京出身の倉橋瀬織。直毘人に並べるぐらい強くなるのが目標よ」
日本の魔術師界では剣の吉田と魔術の両家の関係は有名だ。
席は俺を中心に左右を瀬織と伊吹が抑えており、前後は名門の女子が陣取っている。
(露骨だなあ~)
過大評価でなければ殆ど全員が俺狙い……追われる男がこんなに辛いとは……
俺だってバカやれる男友達が欲しいのにこのままだと男子全員から恨まれそうだ。
「吉田直毘人です。等級は特級……特殊な立場だけど基本的には同級生として授業を受けることになる土御門伊吹、倉橋瀬織、勘解由小路湊は婚約者です。よろしくお願いします」
軽い挨拶をする。
国内で俺を知らない人間はいないだろうから説明は最小限度良い。
「吉田直毘人くんは、既に魔術師として第一線で活動している授業を受け持って貰うつもりだ。皆もそのつもりで頼む」
「「「「……」」」」
「剣の魔術師に習うことなんかねぇな……」
独り言だったのだろう。
しかし魔が悪かった。
彼の呟いた独り言は沈黙の最中のもので大声で言ったように目立ったのだ。
クラスの注目が集まる。
「君個人が剣の魔術師を嫌うのは構わない。ただそれを表に出すのは大人として恥ずべき行為だ」
教師は優しく窘めた。
「けっ! 魔術師が武器を取るのは野蛮だって皆言ってるのにそれを隠すのが大人? そんなものは綺麗ごとだ! 皆もそう思うだろ?」
「……」
教室にいる魔術師の多くが朝廷系であることを踏まえれば彼の言葉には間違いはない。
しかし魔力が前世の基準でも劣っている人間が多い現代では武器に頼るのは自然なことだ。
それが分からないとは情けないことだ……
「君の言うことは一部正しい。正しい部分は二つ『武家系を過度に侮り侮辱しそれを表でいわないこと』ことと『魔術師が武器を取るのは野蛮だと実力を伴わない君が指摘している』点だ」
「な! 取り消せよ今の言葉……」
「取り消すつもりはない。現代の魔術師の殆どは武器を持った方が強くなれる。結局最後にモノを言うのはフィジカルだからな……」
「三大宗家と婚姻を結ぶからって偉そうな口を叩くなよ。この穢れた血の蛮族が!」
「『黙れ!』」
呪文を経由せずに、指向性を持った魔力が周囲の空気を一変させ、言葉の通りの行動を強制する。
『穢れた血』とは心ない貴族が我が安倍家に言い放った悪態だ。
国津神や天津神の子孫である貴族や豪族は、呪力を持ち民草を支配してきた。
しかし安倍家などは神使《しんし》の末裔と言えど、人外の血を引く一族で、数代で陰陽道の頂点に上り詰めたとあれば嫉妬や反感を買い。『穢れた血』と言う悪態(呪詛)を受ける。
清明さまや父の時代が最も苛烈だったろうが、俺の時代も『穢れた血』と言われた。
『穢れた血』という言葉に過剰反応してしまった。
「言霊!」
「吉田家の祖神天児屋命を愚弄するとは、人の道に反する愚行本来なら叩き切っても文句はないだろうが……ここは学校だ。ミスはあるだろう……ここで提案だ術比べを行い両者の主張に間違いがないかを確かめ、水に流そうじゃないか」
俺はそう提案した。
「吉田くん頼むから再起不能にはしないでくれよ?」
「ええ、俺は剣術も式神も使いません」
「な!」
現代魔術師にとって式神は重要な要素《ファクター》である。
「術も『小呪《しょうしゅ》』までだ」
「基礎魔術まででも全く構いませんが?」
日本の魔術。特に禍津日《マガツヒ》調伏に用いられる不動明王の術は『小呪《しょうしゅ》』、『中呪』『大呪』と別けられている。
「『小呪《しょうしゅ》』で撃ち合わなければ彼が納得しないだろう。それに基礎魔術の差は魔力量と魔力技術で雲泥の差が出るそれはあまりにも酷だろう」
そう言って噛みついてきた彼に視線を向けた。
「今日の授業はガイダンスだけだ。それに特級の実力の一端を見れる折角の機会だ。課外授業として二人の術くらべを見学にしましょう。解説と質問は授業内で行いますがレポートを提出してください。では魔練場に行きますよ」
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