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第44話 転生陰陽師は千年前を取り戻す
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「運転手さんは怪我人を連れて避難してください」
不承不承と言った声音で、「分かりました」と短く答えた。
「天照坐皇大御神よ高御産巣日神よ。武御雷《タケミカズチ》神よ。夷敵《いてき》を打ち払う武具を我に授け給《たま》へ」
少年は呪文を唱えると、一振りの刀が現れた。
一瞬前まで空だった彼の右手には、忽然と一振りの打刀が出現する。
「オン・マリシエイ・ソワカ、オン・アビテヤマリシ・ソワカ、オン・アビテヤマリシ・ソワカ―――」
何度も摩利支天の真言を唱え印を結み術を発動させる。
「―――封印術式解放!急急如律令』!!」
一瞬で空気感が変わった。
ドンと胃の腑を強く突き上げられるような。強烈な威圧感と不快感と恐怖心が直毘人を中心として発生した。
それは戸部天王の放つ鬼気よりも気分の悪い気配だ。
まるで鮮血の如き緋色の刀身からは、靄のようなものが漂っている即座にそれが可視化できるほど濃密になった瘴気であると理解できた。
「美しい緋色の刀身。妖刀………」
「魔剣?」
詳しいことを知らない二人の口を不意に突いたのはそんな言葉だった。
「そんな生易しいものじゃないわ」
したり顔でそう言ったのは瀬織だった。
「神仏から授かった霊刀天降剣その一振りで吉田家に伝る一振り。銘を呉藍朱雀というわ」
妖刀呉藍朱雀は、我が家に残る記録によれば、幕府からの命令で鬼や鵺と言った禍津日《マガツヒ》に加え時には、他藩や公家から遣わされた陰陽師を葬って来たと記載されている。
伝説ではこの剣には敵襲を知らせるためにカタカタと震えたという逸話にはじまり、勝手に鞘から出て敵を斬ったという伝説まである。
村正が幕府を、徳川を滅ぼす妖刀ならば、この呉藍朱雀は幕府をまつろわす妖刀。とでもいったところか……
抜き放たれた曇り一つな無い緋色の刀身は美しく、刀身に映り込んだ満月が雅だ。
「姿を隠す隠形はソコソコ上手いみたいだけど、足元の土埃で丸見えだぞ?」
――――来る!!
少女に憑依した黒腕の鬼の拳を太刀の刃で往なす。
ガリガリと音を立て、火花を散らし黒く硬化した鬼の外骨格を斬り咲く……
「黒い腕の外骨格の硬度はそれほど高くないようだ……憑依している神霊の質の問題か? 魔力の問題か……まぁ今はそんなことどうだっていいか……」
「YAAAAAAAAAAAAAAッ!!」
刹那。
鬼は大きな口を開いて咆哮を上げる。
「――――くっ!! 魔力を込めた咆哮。言霊の類かっ!?」
魔力で体を覆うと無差別に放たれる言霊を防御する。
『言霊』とは魔力を言葉に乗せることで自分よりも劣った者に命令を下す原始的な魔術だ。
そして禍津日《マガツヒ》が最も使う魔術であもある。
「――――ッ!!」
あまり強大な霊圧に、晒された俺は苦悶の声を上げる。
例え耐性のある魔術師でも生身で受けていれば、ショック死しても可笑しくないくらい強力な魔力だ……
「肉体が成長するまでは継承するつもりは無かったが致し方あるまい……」
「――――ッ!?」
俺の言葉を理解してかしいるのかいないのかは分からないが、少女は驚愕の表情を浮かべると反撃の準備に移った。
胸元から一枚の呪符を取り出した。
呪符には赤黒い血文字で、崩した漢字や梵字そして絵図が描かれている。
その呪符に魔力を込めると呪符が燃える。
ボウと言う音を立てて、青白い炎により呪符が燃えると呪符から縄や鎖と言った拘束具が現れ俺を取り囲む……
「――――くっ!!」
縄や鎖によって俺の躰は拘束され、崩した文字のようなモノが体に入り込んでくる。
「――――ぐぁぁぁあああああああああああああああっ!!」
目に見える形で蟲のように蠢くような “呪い” が体に入り込んでくる。
痛み、不快感、虚脱感と言った高レベルの呪いに晒された時特有の感覚が俺を支配する。
『護國護法景童子の術』は、生前俺が使役した式神を使役する魔術だ。
無論当時そんな名前を付けたことはないが吉田家に伝わった際にはそう呼ばれていたようだ。
陰陽師の地位が上がったところで表立って動くような職業ではない。目に付かない裏から幕府――国を支えるそんな意味があるのだろう。
清明さまが俺の式神を封じ所在を転々としながらも千二百年余り守り受け継がれて来たからだろうか? 俺も知らない禍津日《マガツヒ》が封印されているのを感じる。
わくわくする。
俺は詩才もなければ宮廷で暗躍する才もなかった。
だが播磨守の孫の中で一番、魔術の腕に優れていた。
不承不承と言った声音で、「分かりました」と短く答えた。
「天照坐皇大御神よ高御産巣日神よ。武御雷《タケミカズチ》神よ。夷敵《いてき》を打ち払う武具を我に授け給《たま》へ」
少年は呪文を唱えると、一振りの刀が現れた。
一瞬前まで空だった彼の右手には、忽然と一振りの打刀が出現する。
「オン・マリシエイ・ソワカ、オン・アビテヤマリシ・ソワカ、オン・アビテヤマリシ・ソワカ―――」
何度も摩利支天の真言を唱え印を結み術を発動させる。
「―――封印術式解放!急急如律令』!!」
一瞬で空気感が変わった。
ドンと胃の腑を強く突き上げられるような。強烈な威圧感と不快感と恐怖心が直毘人を中心として発生した。
それは戸部天王の放つ鬼気よりも気分の悪い気配だ。
まるで鮮血の如き緋色の刀身からは、靄のようなものが漂っている即座にそれが可視化できるほど濃密になった瘴気であると理解できた。
「美しい緋色の刀身。妖刀………」
「魔剣?」
詳しいことを知らない二人の口を不意に突いたのはそんな言葉だった。
「そんな生易しいものじゃないわ」
したり顔でそう言ったのは瀬織だった。
「神仏から授かった霊刀天降剣その一振りで吉田家に伝る一振り。銘を呉藍朱雀というわ」
妖刀呉藍朱雀は、我が家に残る記録によれば、幕府からの命令で鬼や鵺と言った禍津日《マガツヒ》に加え時には、他藩や公家から遣わされた陰陽師を葬って来たと記載されている。
伝説ではこの剣には敵襲を知らせるためにカタカタと震えたという逸話にはじまり、勝手に鞘から出て敵を斬ったという伝説まである。
村正が幕府を、徳川を滅ぼす妖刀ならば、この呉藍朱雀は幕府をまつろわす妖刀。とでもいったところか……
抜き放たれた曇り一つな無い緋色の刀身は美しく、刀身に映り込んだ満月が雅だ。
「姿を隠す隠形はソコソコ上手いみたいだけど、足元の土埃で丸見えだぞ?」
――――来る!!
少女に憑依した黒腕の鬼の拳を太刀の刃で往なす。
ガリガリと音を立て、火花を散らし黒く硬化した鬼の外骨格を斬り咲く……
「黒い腕の外骨格の硬度はそれほど高くないようだ……憑依している神霊の質の問題か? 魔力の問題か……まぁ今はそんなことどうだっていいか……」
「YAAAAAAAAAAAAAAッ!!」
刹那。
鬼は大きな口を開いて咆哮を上げる。
「――――くっ!! 魔力を込めた咆哮。言霊の類かっ!?」
魔力で体を覆うと無差別に放たれる言霊を防御する。
『言霊』とは魔力を言葉に乗せることで自分よりも劣った者に命令を下す原始的な魔術だ。
そして禍津日《マガツヒ》が最も使う魔術であもある。
「――――ッ!!」
あまり強大な霊圧に、晒された俺は苦悶の声を上げる。
例え耐性のある魔術師でも生身で受けていれば、ショック死しても可笑しくないくらい強力な魔力だ……
「肉体が成長するまでは継承するつもりは無かったが致し方あるまい……」
「――――ッ!?」
俺の言葉を理解してかしいるのかいないのかは分からないが、少女は驚愕の表情を浮かべると反撃の準備に移った。
胸元から一枚の呪符を取り出した。
呪符には赤黒い血文字で、崩した漢字や梵字そして絵図が描かれている。
その呪符に魔力を込めると呪符が燃える。
ボウと言う音を立てて、青白い炎により呪符が燃えると呪符から縄や鎖と言った拘束具が現れ俺を取り囲む……
「――――くっ!!」
縄や鎖によって俺の躰は拘束され、崩した文字のようなモノが体に入り込んでくる。
「――――ぐぁぁぁあああああああああああああああっ!!」
目に見える形で蟲のように蠢くような “呪い” が体に入り込んでくる。
痛み、不快感、虚脱感と言った高レベルの呪いに晒された時特有の感覚が俺を支配する。
『護國護法景童子の術』は、生前俺が使役した式神を使役する魔術だ。
無論当時そんな名前を付けたことはないが吉田家に伝わった際にはそう呼ばれていたようだ。
陰陽師の地位が上がったところで表立って動くような職業ではない。目に付かない裏から幕府――国を支えるそんな意味があるのだろう。
清明さまが俺の式神を封じ所在を転々としながらも千二百年余り守り受け継がれて来たからだろうか? 俺も知らない禍津日《マガツヒ》が封印されているのを感じる。
わくわくする。
俺は詩才もなければ宮廷で暗躍する才もなかった。
だが播磨守の孫の中で一番、魔術の腕に優れていた。
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