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第53話 鬼神に依られた少女は秘匿死刑を求められる
しおりを挟む「しかし今回の相手が悪かった君憑いたのは鬼神だ。今は強力な封印を施している事に加えて、魔力の消耗が激しく休眠状態にある。君の才覚よりも危険性が高いと判断され上層部特に、デスクワーク組は君の秘匿死刑を求めている」
「秘匿死刑? どんな法的根拠があるって言うんですか!?」
魔道法については、専門家ではないので完璧ではないものの実務において支障が起きないように覚えている。
そうでなければライセンスの取得は出来ない。
当然、私の知識にも秘匿死刑の項目は存在する。
しかしそれは国家犯罪に近しいモノでしか起こりえないと記憶している。
「そう、秘匿死刑。『魔術師の罪は魔術師しか判断できない』だから、警察も司法も我々魔術師を裁くのには無理がある。と言う事で陰陽師協会――――その前身である陰陽寮や天文方は古くから独自の私刑を行って来た。それを明文化し纏め上げて体系化したものが『陰陽法』だ。君の死刑を求めている彼らは、その秘匿法を根拠に君を殺したがっているんだよ」
「そんな無茶苦茶な……」
「そう。彼らの論理は『危険性が極めて高いから死刑に処せ』と言っているだけだ。ただそのデタラメな言い分を通せるような解釈を現行の魔術師が黙認しているだけだ。
現場に出ない。現場に出たけどブルっちまって奥に引っ込んだデスクワーク組は恐れているんだ。使役出来れば戦力になる鬼神の巫女……つまりは【玉鬼媛】になってしまった君が、肉体の支配権を奪われ受肉した鬼神となってしまう事を……」
「それは仕方のない事かもしれませんけど……私としては気分の良い話ではありません!」
いくら実力のある魔術師である直毘人くんに抗議しても仕方ないのだが、自分の生死が掛かっていると思うとふと口を付いた。
「ははははは、そりゃそうだろうね。伝え忘れていたけれど君は俺の式神になった」
しかし少年は楽しそうにケラケラと笑う。
その姿に私は心底イラっと来る。
「どういう事ですか? 助けてくれるって言ったじゃないですか!?」
「さっきも説明したけど、君が鬼に肉体を支配されている。このままだと秘匿死刑だ! と騒ぎ出す人物に心当たりがあってね。君の中の鬼を調伏し使役式つまり式神にしてしまえば、俺の持ち物となる。
魔道法では他人の式神や呪具などを取り上げるには厳しい条件が必要なんだ。だから君の中の鬼を俺の式にしたという訳だ」
「そういう事ですか……」
助けられたことを喜べばいいのか。
勝手に所有物扱いされている事を怒ればいいのか私には分からない。どちらかと言えば彼に対して好ましいという感情さえ向けてしまっている。
これがストックホルム症候群と言うモノだろうか?
「はぁ」と短く溜息を付くと彼に、こう問いかけた。
「それで私はどうすればいいんですか?」
「取り合えず。シャワーを浴びてご飯を食べよう。まずはそこから是からについて説明しょう」
そういわれたので私はシャワーを浴びて、ユニシロで買って来たと思われる。セックスフリーの可愛くないシャツとズボンを履いた。
部屋の中にあったのは病院にはとても似つかわしくない。弁当屋の弁当とお茶が置かれていた。
私は一体どうなるんだろう……
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