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第54話 鬼神に依られた少女は嫉妬する。

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「弁当を買って来て貰ったんだけど……アレルギーとか好き嫌いとかある?」

 笑顔で話しかけてくる直毘人君。

「特にはないです」

「良かった。他はやれ、コーヒーがいいとか、紅茶がいいとか、コーラしか勝たんとか好き放題言って自販機に向かったよ」

「はぁ……そうですか」

この男は婚約者とのイチャイチャを私に訊かせてどうなるというのだろう? 婚約の話を断わられた私に対する当てつけか?

 沸々とした怒りが込み上げてくる。

「皆には悪いけど先に頂こうか」

 少年はそう言うと割り箸を口に加え箸を割る。

 するとドアがガラガラと音を立てて開き、綺麗な女性が三人入ってくる。
 女性の手にはコーラが握られている。
 その後ろから部屋に入った。少女の手には無糖と書かれた紅茶が握られている。

「直毘人。先に食べようとしてるんじゃないわよ!」

 気の強そうな女性が叱り付ける。
 どうやら直毘人くんは嫁の尻に敷かれているようだ。

「ごめん。お腹すいちゃって……」

 一応。謝罪の言葉を述べてはいるものの悪びれた様子は一切ない。

「言い訳はいいわ、それでこの子が……鬼神の巫女ね!」

 何というか口調の雰囲気は往年の強気なキャラクターのようだ。

「瀬織さん。取り合えず朝食にしましょう腹が減っては何とやらよ」

 瀬織と呼ばれた女性よりも一回り年上の大人びた少女は己の空腹を強く主張する。
 よほどお腹がすいているようだ。

「それもそうね……知ってると思うけ私はコイツの幼馴染で陰陽師の倉橋瀬織《くらはしセオリ》よ。で、こっちが婚約者の吉田直毘人」

「……」

 彼は弁当に箸を付けており、自分で自己紹介をするつもりは一切ないようだ。

「同じく婚約者の土御門伊吹です」

「勘解由小路湊《かでのこうじミナト》よ」

「クラスメイトの幸徳井珠世です。遠縁ですが土御門と賀茂系の血を引いてます。今回は助けて頂きありがとうございました」

「友達なんだから硬くなることなんかないわよ! あなたは仲間を守ったんだもの!」

「脅威度の判定が甘かったと思いますので、珠世さん達の落ち度はないと思います」

「強いて言えば危ないと思ったら逃げるが出来てないことぐらいかしら? 生き延びたんだから今回の失敗を活かしてね?」

 と三人は私を慰めてくれる。
 禍津日《マガツヒ》は人間を苗床に受肉する。
 女性の場合はもっと悲惨で受肉する人形の母親にされてしまう……犯されず生きて生還したのは丸儲けなのだ。

「じゃ朝ごはんにしましょうか?」

 そういうと弁当の蓋を開ける。
 焼き鮭をベースにした海苔弁当だ。

「あ、直毘人くん。運転の人はご飯いいんですか?」

「あの人も誘ったけど一人で静かに食べたいって、弁当買って来て貰ったしお礼後で言わないと……」

「だったら洋服を手配した私達にも一言欲しいところね」

「それはそうだね。ありがとう」

 私を置き去りにしてわいきゃい騒ぎながら彼らは朝食をつついている。



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【報告】
すみません。視点を変えるので今回は短めです。
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