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第55話 転生陰陽師は陰謀に巻き込まれる
しおりを挟む「じゃぁ俺はお手洗いに行ってくるよ……」
俺はそう言うと手荷物を持って席を立つ。
「いってらっしゃい」
――――と言いながら湊は手を振る。
俺は特別病室から離れると、電話を掛ける。
電話の相手は昨晩から運転手をしてくれている黒子だ。
「すいません。特別呪術輸送車の手配はどうなっていますか?」
「日本に数台しかない車ですから手配が大変でしたよ。あと数分で到着するようなのでお待ち下さい」
「何から何までご迷惑をおかけしてすいません」
「高位の魔術師とはいえ貴方は子供です。出来る事と出来ない事があります……大人とは何でも一人で出来るスーパーマンの事ではありません。自分の能力を理解して、人にモノを任せる事が出来る人間だと私は思っています」
「……」
「非戦闘員ですからこれぐらい働きますよ……それが魔術師に成れなかった私の戦い方です」
「助かります」
「報告は、皆さんにお任せしてもいいですか?」
「ええ、それはもちろん。今日は牛丼でも食べて酒飲んで寝てください」
「今日はビール飲んで寝ますよ……それではお疲れ様です」
そう言うと相手が電話を切るのを待ってから、こちらも電話を切る。
「……まさか本当に要求が通るとは、流石古神を降ろしている巫女と言ったところか」
俺は長時間座っていたことで、強張る体を解すために伸びをする。
「ん~~っ!」
俺は病室に戻ると、特別呪術輸送車が到着するまで暇を潰すのであった。
『PPPPPP』と俺のスマホが鳴る。
「失礼。あ、もしもし吉田です」
『封印・結界班班の守矢と申します。特別呪術輸送車が到着致しましたのでご連絡させていただきました』
随分と大物が出て来たな……
守矢というと国津神ワタツミ系の家系で、建御名方《タケミナカタ》神を信奉する武家系魔術師の一団『諏訪神党《すわしんとう》』のナンバー2の家系で、神降ろしの大家だと記憶している。
「これはこれは御叮嚀にどうも、護送者一名と、魔術師3名と俺の輸送もお願いしたいのですが……」
『連絡は受けておりますので大丈夫です』
「ではお願いします。守屋さん――」
『ピッ』。スマホの画面を触り、通話を切る。
「――――と言う訳で、君を運ぶための特別呪術輸送車がたった今、到着した。荷物を纏めて出られえるようにしてくれ、それと呪符を数枚でいい。ポケットとか袖口に仕舞って置いてくれ」
「どうして?」
湊は、疑問の言葉を投げかける。
協会の魔術師にとっては、当然の疑問と言っていい。
「複雑な理由がある。まず鬼神の神霊をその身に宿した。幸徳井珠世を危険視する一派が彼女を直接的に害する可能性がある。
次に賀茂系の過激派が彼女を利用し、ただでさえ不安定な『三大宗家』を破壊する可能性があること、そして反吉田の保守派が彼女を利用する可能性があることだ」
「確かに直毘人君が懸念する可能性は高いわね……」
湊は頭がいい。
俺が考え付く前にこれらの可能性が既に頭の中にあったハズだ。
「全部ありそうだね……」
「面倒ね……暴力に訴えてきてくれるとありがたいけど……」
「まあできることをやるだけだ」
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