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第二章

第43話 単一工程と並行発動

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 しかし良く視て見ればあくまでも上乗せしているだけで、燃費向上以外の相乗効果を生んでいるとは言えない。
 そして火と風を複合させることも、エルフの秘術と言うよりは俺達勇者が伝えた科学知識を魔術に生かしているようだ。

 確かに術単体の威力と効果を見れば俺の術は稚拙と言える。
 しかし俺はその先を見ることが出来た。

「このように【霊脈法れいみゃくほう】と相乗を用いれば消費魔力の低下と威力を底上げすることが出来ます。しかしダブルキャストが出来なければいけませんが……」

「ダブルキャスト?」

 奴隷娘たちの疑問に答えるように説明がされる。

「同時に幾つの魔術が使えるかを指します。例えば、A砲身を作る魔術→B砲弾を作る魔術→C推進力を生じさせ砲弾を飛ばす魔術 の三段階で行う【砲撃】と言う術があったとします。この場合全て一つずつ行えば単一工程のシングルキャストになりますが、AとBを同時に行えばダブルキャスト。ABCを同時に行えばトリプルキャストとなります」

 魔術は一度発動させれば、核となる魔法陣が破壊さるか魔力が切れない限りは発動し続けるため、シングルキャストでも十分な効果を持つ。

「ダブルキャストって難しいんじゃ……」

「左右の手を別々に動かすようなものですから、ピアノやドラムを練習に使うかたも居ますね」

 因みに【魂刻こんこく】で複数同時並行に魔術を使う場合は、ノールックでボタンを押す感覚で出来るので今の俺のように、完全マニュアルで発動させない限りは慣れの問題だ。

 リボルバーのように六発の火球が複数生じる。

「発射」

 声を合図に火球が放たれ即座に次弾の火球が生成される。
 恐らく発射の号令を合図に火球を風魔術と共に発射し、次弾となる火球を生成すると言う一連の術式を、条件設定してプログラムのように機械的に実行しているのだろう。

 さらに放たれた【ファイアーボール】は板野サーカスよろしく、ただ真っ直ぐ飛ぶだけでなく複雑な互いが絡まり合いそうな軌道を描きながら的に向けて飛翔する。

 全て自分で制御しているのか!?

 俺は驚愕する。ある程度補助術式が組み込まれているだろうが、並列思考と魔力制御の腕に脱帽する。

「こんなところです。今のは属性と複数キャストそれに魔術の術式をその場で書き換える高等技術を織り交ぜたデモンストレーションです。みなさんもこれだけ出来れば一流の魔術師と言えると思います」

「凄い……」

 奴隷達は感嘆の言葉を漏らした。
 高位の術ではないものの技術だけ見れば間違いなく、一流と言って差し支えないほどの魔術だった。

「ナオスさまいかがでしょう?」

「魔術単体だけ見れば特殊なもの一つもなかった。しかし技術的な視点で見れば絶技と言って差し支えない程のモノだった。術式の段階から工夫がみられ複数の術式を単一の術式として認識することで処理を軽くするアイデアには脱帽した」

「え……ちょっと待ってください見ただけ判ったんですか?」

 アイナリーゼは驚き戸惑っているようだ。
 俺のレベルを甘くみていたようだな……【魔力眼】ぐらいは使えるぞ?

「瞳に魔力を込めれば見えるだろう?」

「魔力眼なんて普通の人間は使えませんよ!」

 勇者は使えていたし、仲間のエルフも使えていたから一般的ではないにしても、そこそこありふれたものだと思っていたがどうやら違うようだ。

「そうなのか?」

「エルフや一部の人間でないと使えません。常識ですよ……」

 咎めるような口調のアイナリーゼに俺は以前から考えていた言い訳で対処する。

「年単位で軟禁されていたからな、俺は常識に疎いようだ……」

「常識に疎いのに魔力眼は使えるって不思議ですね」

 アイナリーゼは何かを疑っているようだ。
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