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第二章

第52話 呪怨瓶

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 魔王が滅ぼされた現代でも瘴気しょうきや負の感情を集め卑劣なテロ行為を繰り返している輩が居るようだ。
 まだ生きているハズの勇者やその子孫達は、一体何をしているのだろう? 


 『呪怨瓶じゅおんへい』は、瓶とは言うものその素材はガラスではなく陶器だ。
 瓶とは陶器の壺、陶器一般を意味していたようで「ヘイ」から「びん」に読み方が変わったそうで、瓶がガラス製の容器の意味を持つのは日本だけらしい。


 勇者時代と同じく【鑑定眼】に『Tipsティップス』機能がっあって便利だ。
 『Tipsティップス』には「求めもしない助言」や「秘訣」、「裏技」と言った意味がある。

「負の感情を瘴気しょうきと呪詛に変換・蓄積し放出する……それがモンスターの異常行動の真相と言ったところだろうか? どちらにせよ『呪怨瓶じゅおんへい』を取り除かなければ不味いよな」

 しかし素手で振れるのは躊躇ためらわわれる。
 スラちゃんやフェンリルの子供を見ると、耐えているのがやっとと言ったようすだ。

 結界を張り垂れ流しの瘴気しょうきと呪詛を和らげると、「少し待っていてくれ」と一声かけてその場を離れる。
 スラちゃんは身体を変形させ触手のようにすると、「頑張れよ」と言わんばかりに手を振る。

 フェンリルも「ワン」と短く吠える。
 二匹とも「頑張れ」「行って来い」と言っているようだ。
 俺は二匹を撫でると『呪怨瓶じゅおんへい』に向かって歩き出した。

 『呪怨瓶じゅおんへい』のような呪いの道具の多くは、ゲーム的に言えば不破壊属性のようなものを帯びていることが多く、物理的に破壊して「はい終わり」とは行かない。
 体力の負の感情や呪詛はそれだけでも魔術のような性質を持つ、極めて魔法に近い原始的な魔術なのだ。

 前世のころは高い魔力量も手伝ってデバフや呪いを受けても軽傷で済むことが多かったが、今世では怖いので先ずは解呪系の魔術で弱めることにした。

「【ハイアンチカース】」

 すると目に見えて煙霧体エアルゾル状の瘴気しょうき噴き出してた『呪怨瓶じゅおんへい』は、禍々しい色合いから元の乳白色に戻っていく……

「解呪できたのか?」

 俺の疑問の声に『呪怨瓶じゅおんへい』は答え白くなった場所からひび割れ、ついには砕け散る。

「どうやら破壊できたようだな」

 そう言って俺はスラちゃんとフェンリルに張った結界を解除しようとする。

 刹那。
 
 フェンリルが吠えた。

「バウ!」

 俺は即座に破壊された『呪怨瓶じゅおんへい』の方へ向き直ると、割れた瓶の周囲に煙霧体エアルゾル状の瘴気しょうきが滞留しているのを確認した。

「何が起こっているんだ?」

 煙霧体エアルゾル状の瘴気しょうきは徐々にモンスターの形を形成し、実体化する。
 その数は十や二十を優に超え数十。否、数百は下らない。

「マジかよ流石に多すぎないか?」

 いくら都市や村単位にはモンスター除けの結界があるとは言え、強力なモンスターには意味をなさない。
 孤立した都市の末路は弱者から死に、最後には食人や餓死しかない。

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