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第二章

第54話 スタンピードを鎮める

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 昨日から続く魔力消費が祟ってかもう魔力がなく次弾を装填する余力はない。
 しかし今『火球数珠ロザリオ』を解除すればスタンピードを起こしてしまう。

 賭けにはなるが今この場で今まで習ったことを組み合わせ事態を乗り切るしかない。
 靴底越しに霊脈を感じるため瞳を瞑り深層へ意識を向ける。

 天の川のような眩いいろとりどりの光の粒子がまるで、大河のように流れているのを感じる。
 霊脈の支流の上に立っているのを感じる。

 魔力を汲み上げるが、本来自分の魔力ではないので物凄く扱いにくい。
確かにこのままだと術に変換するのは難しそうだ。
 しかしアイナリーゼのように、自分の魔力を混ぜることで遥かに扱いやすくなる。

 燃やす。

 燃やす。

 腹で変換・生成した魔力を炉心ろしんである心臓へ移し、たける炎のように圧縮し爆発させ燃やす。
 ボウっと音を立てて燃え盛る炎のような上質な魔力が心臓で揺らめくのを感じる。

「成功だ……」  

 俺は拳を握りしめると「装填、発射」と唱えた。

 ズドォーン。ズドォーン。ズドォーン。ズドォーン。

 悲鳴を上げモンスターは吹き飛ぶ。
 中には四肢が吹き飛ぶモンスターもいるが素材として使う分は問題ない。
 瘴気しょうきによって召喚され、精神を犯され呪われたモンスターを止めるには殺すしかない。

 砲煙弾雨ほうえんだんうとでも形容したくなる惨たらしい惨状さんじょうを直視してなお、俺の心が痛むことはない。
 そんなセンチメンタルな感傷は前世でやりつくした。

 まるで世界大戦を戦争映画の塹壕ざんごう戦のようだ。
 敵の塹壕に向かって走ってくる歩兵を、滑空砲かっくうほうで砲撃し怯んだり射程に入った所を、ライフル銃で射撃し仕留める。そんな映像が容易に想像される。
 無論、鉄条網てつじょうもうや滑空砲はなく全て魔術なのだが……。

 自身が起こした惨状にたいして、まるで映像作品を見ている気にさえなっていた。
 それは精神の自己防衛とでも表現するべき機能なのだが、戦場の空気に当てられた俺にはその考えに至る事は出来ずにいた。
 
「第一ステージ突破っと言ったところだ。多分数は十分に減ったし、これだけ攻撃魔術を放ったんだ。生きてるモンスターも数十程度だろう」


 【ファイアーボール】が巻き上げた砂と煙で視界は不良。
 このまま闇雲に魔術を放ったところで効果は薄い。
 それならば【身体強化】の魔術を使って自分で仕留めたほうが手っ取り早い。

 【アイテムボックス】から愛刀『朧月夜』を取り出すとまずはすれ違いざまに抜きで一太刀、次の敵は袈裟斬りと攻撃を浴びせていく……
 近距離は斬撃で、遠距離は魔術で対応し着実に数を減らす。
 小一時間剣を振るうとそこは血の海だった。

 魔術で刀身に付着した血糊を軽く落とすと【ヒール】をかける。
 面倒なメンテナンスは今の俺には必要ない。

「この死体の山どうする?」

 そのまま放っておけば病原菌の温床になりかねない。
 加えてハエや大型の腐肉漁りが増え生態系が崩れかねないものの、コッロス公爵騎士団には危機感を募らせる必要がある。

 先日のサラマンダー騒動で十分だと言われればそれまでだが、事実サラマンダー騒動の原因は『呪怨瓶じゅおんへい』と思われるが、このままではそれにすら気が付かない可能性が高い。

「……さてどうしたものか……」
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