72 / 124
第二章

第71話 暗殺者

しおりを挟む
 闇に紛れ男が現た。
 よく訓練されているのか足音を立てずに走ってくる。
 暗殺とは闇夜に紛れて殺すだけでも、寝首を掻くだけでもない。

 暗殺対象を排除すればそれは、爆殺だろうが失脚だろうがなんだっていいのだから……。
 男は槍を突き出した。 
 カーン。

「――ッ!?」

 甲高い金属音を立てて【アイテムボックス】から取り出した愛刀が刺突を逸らした。

 間髪を容れず互いの二撃目がぶつかり合う。
 甲高い金属音を立てて互いに斬撃を斬り結ぶ。

 槍はその形状的な特性で突き以外の攻撃速度は、予備動作が大きいため見てから動きを予想できる。

 だから間合いでは劣るものの俺の斬撃の方が早いっ!
 暗殺者に袈裟斬りを放つが後方に跳ぶことで躱かわされた。
 しかし薄皮一枚程度は斬れた。

「本気をだしていないとは、いえここまで出来る使い手を有しているなんて俺を狙っているのは相当力のある組織のようだな」

「……」

「なんだお喋りには付き合ってくれないのか? 不愛想な野郎だ」

 戦闘中の会話の目的は時間を稼ぐためであったり、相手の動揺を誘うためだったりあとは単純に情報を探るためとさまざまな目的がある。

 今回時間を稼いだのは情報を探るためと、単純に隠れた敵を探すためだ。
 恐らく優れた感知能力を持っているのは眼前のこの男だけ、他は能力はあれど超一流にはなれない奴らと言ったところだろう。
 部下思いの良い上司だ。

 【魔力探知】はのため現代魔術(魂刻こんこく法)の影響を受けない。
 だからこそこんなことも出来る。

「【ソーナー】」

 【身体強化】を解除して【魔力探知】を強力に発動させた。
 指向性なんか持たせず全方位に数度魔力の波をぶつける。
 魔術師は魔力を知覚するため、経験則から敵の場所を割り出せる。

 【身体強化】を解いたことを好機とみたのか、さきほどのような【魔力探知】で仲間の居場所を探られることを恐れたのか、慎重さを掻いた攻撃を放った。

 精細さを掻いた突きなんて分かり易く避け易い。
 半身になるだけでヒラリと躱せる攻撃なんか怖くない。

 ザシュ、ザシュ。

 何度か攻撃を浴びるが薄皮を斬るだけで有効打には及ばない。
 目線や予備動作、攻撃後の体捌きで次の攻撃は予測できる。からだ。

 たった一息の呼吸。暗殺者と俺の間でいくつものフェイントが繰り広げられる。
 しかし俺の方が経験を積んでいる。

 勇者流の元になった剣術には起こり……予備動作を誤魔化したりフェイントをする技や構えが内包されている。
 おまけに座禅や瞑想、度重なる殺しの経験で俺の心は冷静を保てるためフェイント合戦は俺の有利だ。

 殺気や殺意を誤魔化し目線や呼吸で相手を欺瞞し、精神を削り遅い攻撃でも確実に反応できないように追い込んでいく……

 その時男の攻撃が飛んでくる。
 しかしそれは予想外のものだった。

ピュゥ。 

 矢が飛び出し俺の腕を掠った。
 仕込み杖ならぬ仕込み槍だったようで、即座に鑑定スキルを発動させると風魔石を用いた空気銃のようだ。
 しかも鏃には毒が仕込んであるようだ。

「毒か……」

 俺の言葉に男はニタリと笑みを浮かべ口角をニィっと釣り上げた。
 毒の種類は拉致するための麻痺毒ではなく、殺すための猛毒それを複数合わせた毒のカクテルだ。
 しかし慌てる必要はない。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...