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第三章

第91話 営業

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 商業都市ベネチアンは商人の街である。
 帝国、王国、共和国、公国、聖教国、連合国など様々な国と地域と接する東西貿易の要所だ。
 そのため高度に政治的な判断を求められる立場でもある。

「さて兄上、取引をしようじゃないか」

「取引だと?」

「俺が作成したポーションの軽量化と――」

 説明をし終える前に兄は俺の言葉を遮った。

「ポーションの軽量化だと!!」

 父が居ない間、この都市を預かる者としては切り捨てられない話題のようで食いついて来る。

「そう軽量化、ポーションがなぜ効果は知ってるよね?」

「ああ、魔法薬のため魔力が霧散しやすいことに加え、容器が瓶のため輸送中に割れやすいことなど理由を上げればきりがない」

 原材料は植物のため天候の影響を諸に受ける。
 日照り、大雨、強風、曇りなどでポーションの値は跳ね上がる。

「このポーションを見てください」

 そう言って俺は緑色の板を机に乗せた。

「コレが水薬ポーションだと?」

 兄は驚いた様子で緑の板を確認する。
 板チョコ状にして割って調節すると言うのもありかもしれない。
 まあ改良は後でやればいい。売れている間はそのままでいい。

「正確にはポーションにもなる薬です。血や唾液で溶け液体に戻りますから飲ませるのに水のほぼ不要です。また好みの濃度に薄めることでポーションの等級をある程度調整できます」

 喋っていて思いついた話だが、殺菌・抗菌力を強化して水の浄化にもある程度使えるようにするのも、面白いかもしれない。

「――っ!?」

「通常のポーションに比べ遥かに軽量で割れるリスクもない。まあ湿気には弱いですがそれも容器を用意すればいいだけのことです。保存もしやすくほぼ腐ることはありません。魔力がどのくらいの期間で飛んでしまうかは判りませんが、推定では改良型魔法陣よりも少し短い程度だと思われ、これも容器で解決できる問題です」

「改良型ポーションがゴミになったな……」

「ゴミではありませんよ。予備になったのです」

「フン、モノはいいようだなこれがあるなら先に出せばいいものを……」

「今日作ったものなのでそれは無理ですね」

「……」

「……ん? 待て今『今日作った』と言ったな?」

「ええ、色々実験しながら今できるものの中で一番楽で役に立ちそうなものを用意したつもりです。この家のことは嫌いですけど姉上は好きですし、それに……兄上にはある程度力を持って頂かないと……」

「――はあもういい。他に売りつけようと言うモノはないな?」

「容器を職人に発注しているのでそれぐらいですかね……あとこのポーションはオススメはしませんが、傷口に詰めることで消毒と回復をさせることが出来ます」

「将兵の損耗を避けられるということか……」

「兵も騎士も立派なベネチアン市民です。税をかけ鍛えているのですから薬一つで戦場に戻れるのです十分な効果だと思いませんか?」

「……」

 オニ兄上は兵士をあまり大事にするタイプではない。
 どちらかと言うと、兵は畑から採れる。と思っているタイプだ。

「罪人で一度試す。おい死刑囚を庭に連れて来い!」

 メイドに命令して騎士に死刑囚を連れてこさせる。

「オニ兄上彼は?」

「強盗・放火・殺人・強姦・無礼を行った大悪党だ」

 日本と異なり石や煉瓦造りの家が多いものの多くの死者が出かねない放火は古今東西問わず大罪だ。


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【お知らせ】
第二章で書き足したいエピソードがあるので明日はその部分を更新します。
他のバージョンで書き足せばいいだろ! って言われるかもしれませんが出来るだけ誠実でいたいので……
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