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第三章

第92話 罪人でデモンストレーション

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「おい『鬼切丸』を持ってこい」

 その一言で愛刀を持ってこさせると曲刀を鞘から閃かせる。
 ドンペリ流と呼ばれる船上剣術を修めるコッロス公爵家の男子にとって曲刀を重要視する。

 『鬼切丸』の名前の通り、大鬼オーガさえ一太刀で一刀両断できそうな肉厚な刀身をしている。
 また小切先に大きく反った刀身、そして長い刀身は遠心力を活かした攻撃を想定した騎兵の武器でありつつも、先端が細く反りが少ないため、鎧の隙間を突く事も想定している。

 縛られ膝立ちになった罪人に剣を振り降ろした。
 その太刀筋に迷いはない。
 斬ったのは死ぬ事はない四肢ではなく腹だった。
 良く時代劇などでは切腹の際には腹を切る。しかし腹を切っただけは人間即死しない。

 だから介錯で首を刎ねるのだ。
 あれは罰であると同時に武士としての名誉を守る名誉刑・死刑なのだ。
 死ぬ前には飯と酒が提供されると言う。
 また『赤穂浪士あこうろうし』の時代には、実際に腹を切らず木刀や扇子で腹を切ったフリでも許されたと言う。

 つまり、オニ兄上は俺のポーションタブレットが所定の効果を上げなければ、「罪人が長い時間、苦しんで死ぬのを止めるつもりはない」と言う意思の表れなのだ。
 強盗・放火・殺人・強姦・無礼と上げた罪。それはもしかしたら兄の側近の家族に対して行われたのかもしれない。

 情け容赦なく一太刀で斬ったもののその太刀筋は凡庸の一言に尽きる。
 微かに神気すら感じる名剣が凡百の騎士の佩刀とはもったいない。
 神殿か客間にでも置いて名物とする方が百倍マシというものだ。

「罪人で実験を行う」

 すると即座に兵士に命令し、タブレットポーションを死刑囚の捌いた腹に米を詰めるかのように、タブレットポーションを詰める。
 血やその他の液体によってポーションタブレットは解け、淡い緑の光放ち傷口を即座に癒す。
 少しの時間も置かず傷口は塞がれ、息も絶え絶えと言った様子だが死刑囚は回復する。

「あの罪人がモンスターや他国の兵にやられた兵や騎士と思えば、確かにこれは役に立つ容器と合わせて売ってくれ」

「値段は跳ね上がりますがいいんですか?」

「今回の問題解決に予算を惜しむつもりはない。お前なら商人ギルドに売りに行きかねない。そうすれば仲介手数料でより一層高額になりかねない。だったら早く購入しておくべきだと考えただけだ。それにこれだけの魔法薬なら神殿の坊主共に頭を下げる頻度も減るだろう」

 どうやらオニ兄上は神殿勢力が大嫌いのようだ。

「俺が居る間だけの話ですけどね……」

「領地を出るつもりなのか?」

「ええ姉上と街は好きですが公爵家は嫌いなので」

「……出来れば俺の手伝いをしてほしいが我儘を言ってお前にヘソを曲げられる方が怖い」

「ならより一層の警護体制をお願いします」

「判っているとも」

 こうして俺は兄へ商品を売りつけることに成功した。


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【あとがき】
準備パートが長くなってすいません。
81~92話まで掛かっていますが他サイトでは、4話程度に纏めるつもりです1.4万文字以上ありますが最終章までの準備パートなので出来るだけ短いほうがいいかと思うので……本当は一話二〇〇〇文字で話以上にしたいですが……テンポが大事なので泣く泣くですが……
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