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第三章

第101話

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「『民の税で禄を食んでいる』と言える騎士は少ない貴殿に免じ俺も次兄に倣うことにしよう」

「オニさまにですか?」

 一瞬、遠征軍の責任者の顔が緩んだ。
 子飼いの騎士に甘い次兄に倣うという発言が、今回は不問にする。あるいは懲罰は任せるという意味に捉えたのだろう。

「そうだ」

「では……」

「次兄に倣いこの者を罰する!」

「はあ?」

 腑抜けた声が漏れた。

「デモンストレーションを行う。今回諸君らに配布している。ポーションタブレット並びに聖人級回復術師の能力を見せてやる」

 魔術袋に見せかけるため袋越しに【アイテムボックス】を使用して愛刀の柄だけを握り鞘から閃かせる。
 
「なっ! 何を!!」

 腰を抜かしている騎士に剣を振り降ろした。
 その太刀筋に一筋の迷いもない。
 腕を斬り裂き返す刀で腹を捌く、腹を斬っただけでは人間は死なない。

「これより俺の慈悲で傷を治してやろう」

 タブレットポーションを騎士の捌いた腹に、米を詰めるかのようにタブレットポーションを幾つか詰める。

 血やその他の液体によってポーションタブレットは解け、淡い緑の光放ち傷口を即座に癒す。
 少しの時間も置かず傷口は塞がれ、息も絶え絶えと言ったようすだが騎士は回復する。

「腕も治してやろう【リプロダクション】」

 腕を生やす。
 通常切断された部位が無事な場合、回復魔術で繋げる場合が多い。
 なぜなら再生させるのは骨や肉を大量に消費するため、高貴な身分でもない限り栄養失調に陥り最悪死亡するからだ。

 つまり俺はこの騎士に嫌がらせをしている。
 食い意地を張って次兄が頼み込んで来てもらっている聖人級回復魔術師の不況を買い、腕を斬り飛ばされたお荷物というわけだ。

「あっという間に腕が治っちまったぞ……」
「す、すげえぇ」
「それにタブレットポーションってのもすげえ腹の傷を直ぐに治しちまったぞ……」
「誇張してると思っていたけど強ち間違いじゃないのかも……」

 と最初はドン引きしていた騎士たちは、新しく下賜されたポーションの性能を実際に目にできて興奮しているようだ。
 しかし冒険者や傭兵、神官の反応は全く違った。

「見たか?」
「ああ……タブレットポーションあれは冒険者や傭兵の死亡率を大きく変える」
「ギルドマスターに掛け合って融通してもらわなくては……」
「高い金払って神官に術をかけてもらう必要もなくなる」

「あれは戦場でこそ役に立つものだ」
「保存性・携帯性その全てが既存のポーションを上回っているだけでなくあの回復速度、並みのヒーラーをも超える」
「戦場を知らない子供がどうしてこんなモノを思いつくんだ?」
「そんなのどうだっていい! 圧力をかけて公爵に出させるぞ!!」
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