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第四章

第116話

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 加藤の足元から生えた影が束になりまるで人間の腕を模倣する。
 そうして産まれた腕は拳を握りこむと前に突き出した。
 防御を固めわざと吹っ飛ばされる。

「くっ!」

「「ナオス!」様!」

「そんな!」

「……不死神の眷属で魔術を得意とするなんて……上級アンデッドか?」

 掠かすれた声が聞こえる。
 声の主の推測は当たっていると言えるが、加藤はそんな生易しい相手じゃない。

「上級アンデッドだと? そんな下級のアンデツドと一緒にされるのは不愉快だ」

「アンデッド風情が!」

「君は豚とイルカと人間が同じカテゴリーの生き物だ。と言われて納得できるか? 猿と人間が同じ分類だと言われて苛立ちを覚えないのか? 自分だけは特別だと選民思想に侵され、他者を侮蔑するその在り方を『人間病』と言うのだ」

「……勇者の知識をどうしてアンデッドが……」

「――ッ!?」

 加藤は不快そうに声の主を睨み付けると再び影の腕を振るった。

 警護の兵が兄の前に盾を構えて立ち塞がる。
 だが空しくも影の拳が盾を砕き兵を後方へ吹っ飛ばした。
 腕を強打された兵の体がヤバそうだ。
 殴り飛ばされた兵士に巻き込まれた魔術師も気絶している。

 騎士が剣を構えて兄の前に立つ。
 その後ろでは兄が小声で部下に指示を出している声が聞こえる。

「鳥でも船でもなんでもいい! 急ぎ父上と周辺の領主に報告しろベネチアンは落ちる!」

「オニ様は?」

「領主一族としての務めを果たす! 最後の一兵となるまで時間を稼ぐ……」

「全軍で戦えば……」

「駄目だ奴は次元が違いすぎる。神殿騎士団と何人もの聖人、聖女が居て何とかといったところだろう……」

「そこまでですか……」

 クラスメイト……特に仲の良かった加藤に剣を向けるのに抵抗があったんが、アンデッド相手というか……大量虐殺を通知している相手に容赦できるほど甘くはなれない。

 この町の人間が何人死んでもいいが、俺の奴隷と姉上だけは守りたい。

(目覚めが悪くなるだろうな……)

 聖属性魔術を放つものの、破壊力の高い魔術を使えば問答無用で殺してしまいそうで踏ん切りがつかない。
 それにヘタに撃ったら家屋倒壊間違い無しだ。

 かと言って前世の愛用武器なら簡単に勝てると思うが、威力が高すぎるのと正体がバレてしまいそうだ。

(まあ魔力が足らなくてアイテムボックスから取り出せないんだけど……)

「不死神の使徒殿、今ここでお返事を返させていただいてもよろしいか?」

「……本来なら武力行使を行った上で、話し合いのテーブルに付くなど論外だが特別に聞いてやろう」
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