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第四章

第115話

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 比較的才能があると言われた俺は、『無手』も当然習得している。
 本来は、最小限の動きから繰り出される体重と速度を乗せた拳で行う体当たりに、さらに魔術で強化を加えた一撃を放つ。

 しかし……手ごたえは軽い。
 前世で経験した体に穴を穿つような手応えはなく、まるで空を殴ったような。そんな手応えしかなかった。

「なにッ!?」

 視線を上げるとそこには、透けた加藤の体を突き抜けた俺の拳が浮いていた。
 驚愕する俺の足首を何かが掴みあげると俺は一瞬で持ち上げられた。

「うわわああああ!!」

 視界の上下が急に入れ替わった。
 即座に視線を上げると俺を掴んだものの正体が判った。
 加藤の影から幾つも生えた黒い影だ。

(鑑定スキルを使う様子がないときに気が付くべきだった。加藤の正体は『死霊レイス』だ!)

 不死神の眷属たる『生ける屍アンデッド』は、大きく二種類に分類され物質の肉体を持つモノと、肉体を持たない『死霊レイス』に別けられる。

 物質の肉体を持つモノは聖属性魔術の効き目が、肉体を持たない『死霊レイス』に比べると弱いが、器が物理的に破損されると弱体化されるデメリットを背負っている。

「【ターンアンデッド】」

 神々しい光が現れるも加藤を昇天させるには至らなかった。

(レイス系の癖に弱点魔術に耐性を持ってるのかよ……大人しく祝福、呪殺魔法を食らうと即死するゲームみたいに片付いて欲しかった……)

 しかし影の触手を消滅させることが出来たので、そのまま床に落下する。

 受け身を取って着地するれば、そこを攻撃されることは判り切っているので魔術で軌道を変え着地する。
 特にダメージを受けた訳じゃないが摑まれた足首がヒリヒリする。

 多分呪いとかなんだろうけど……女神パワーで呪い無効とかにしてほしかった。
 文句を言っても仕方がないので魔力を纏って防御力を向上させる。

「驚いた。ただの子供と侮っていたが高い格闘能力に複数の属性と聖属性魔術を無詠唱で使いこなすとは……」

「ナオスは世界でも数少ない聖人だ! 不死神の眷属のお前に負ける道理はない!!」

 兄の乳兄弟が愚かにも俺の肩書でマウントを取る。

(自分で相手できる人間にマウント取れよ。なんで俺がコイツを守らないといけないんだ?)

 なんだかやる気が下がって来た。

「聖人か懐かしい……だが二十歳も超えていない子供がオレを超えられると思うなよ?」

「……」 
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