上 下
28 / 46

第30話激論クラス活動

しおりを挟む
「―――!?「貴重な意見をありがとう。方向性は分かったけど、出来れば具体例が欲しいかな? ゴミ拾いとか、ペットボトルキャップ集めとか、ベルマークとか、アルミ缶集めとかさ……皆も彼見たいに先ずは方向性だけでもいいから、『先ずは何を重要視するのか?』テーマ見たいなモノから考えてみてくれないかな?」」

 菜月なつきさんよりも大きな声を出して、声をかき消しながら議題の方向性を修正する。
 その時に相手の意見を否定することはしない。
 否定するだけでは何も生まれないからだ。

菜月なつきさん悪いけど板書お願い出来る?」

「分かった。それと……ありがとう」

・最小限の努力で最大のリターンを!
 ・清掃活動(ゴミ拾い)
 ・資源集め(ペットボトルキャップ、アルミ缶、ベルマーク等)

 ――――と板書をしてもらう。

 欲望(目標)からやることを逆算する。
 こすることで、目的と手段を取り違えることが起こりづらくなる。

さて、彼よりマシな意見が出て来るといいんだけど……


「そういうのがアリなら、『出来るだけデカイこと』もありだよな?」

 ――――そういったのは西郷さいごうを始めとしたやる気のあるグループだった。

「目標としては全然ありだね。ただそのために出来る手段は考えてあるのあるのかい?」

 本来は、意見が出そろうか相手が言うまで個別具体的な内容には言及しない方がいいのだが、西郷なら詰めてきているだろう? と言う信頼の元言葉を返した。

「当たり前だ。名所のプレートや観光案内にウチのクラスの名前を入れて貰うだったり、危険な場所にミラーや、街灯、横断歩道の設置をしてもらうんだ。カタチに残るものだしなにより行政を動かす必要があるんだ……デカイことだろ?」

「確かに西郷さいごうの言うデカイことだね。規模やモノに寄っては市長や知事から表彰されるかもな……」

 俺の言葉に西郷達は声を出して喜んだ。

・表彰されるぐらいデカイこと(物理的に残るモノだとなおのこと良し)
 ・観光案内やパンフレット作製
 ・道路標識や、ミラー、街灯、横断歩道の設置

 菜月さんは、簡潔にまとめた板書を取ってくれる。

「老人ホームなんかのホスピタル施設への訪問なんかどう?」

「いいと思う!」

「じゃぁ、動物愛護団体のお手伝いは?」

「だったら小学校とか保育園への訪問は?」

 ――――と女子達がヒートアップする。

 行政であれば要望する事だけは出来る。が、NPOや会社、学校を相手にしてのモノだと断られる可能性があるからサブプランは必須となる。
 心苦しいが軽い否定のような言葉を言わねばならない。

「意見ありがとう。どれも相手が居てこそのものだから、どれか一つ……二つと断られた時のサブプランとして、近隣地域でゴミ拾いとかが妥当かな……」

――――と女子達が発言した意見に付け加えるカタチで、デメリットを添えその後、その意見を実現するにはこういう手があるよね? とあくまでも彼女達の意見を尊重する様子を見せることで、否定している訳ではないという印象を植え付ける。

・福祉系
 ・老人ホームやホスピタル施設への訪問
 ・動物愛護団体のお手伝い
 ・小学校とか保育園への訪問
 (企業や団体あってのものなので、断られた時用のサブプランが必要)

 その後幾つか意見がでると以降は意見が出にくくなった。

「一旦、目的とそのための手段の募集は辞めてどうすれば、皆の目的を妥協できるか? と言う点で話を進めたいと思います。その後に手段……例えば『清掃活動』や『観光案内の作成』、『福祉施設の訪問』の具体的な手法を決めたいと思います。先ず目的ですが現在……」

・最小限の努力で最大のリターン
・表彰されるぐらいデカイこと(物理的に残るモノだとなおのこと良し)
・既存のホスピタル施設や団体の応援

「以上の三つに大きく纏めることが出来ます。この三つの目標はその過程において強い共通点と弱い共通点を持っており、重なった円のような状態です」

 俺の説明に合わせて、菜月さんは赤、白、黄色で三つの円を描いた。

「先ず『最小限の努力で最大のリターン』ですが、最小というのが事前準備なのか? 実働時間なのか? で妥協点が変わってい来ると思うが……その点はどうだ?」

 先ほど意見を述べてくれた男子生徒に向けて質問する。
 椅子の足を摺りなが勢いよく席を立つ。

「俺はこの学校にボランティア活動をしに来た訳じゃない。勉強していい大学に入るために来たんだ。出来るだけ無駄なことに時間を使いたくない」

 確かに、高校の偏差としては幾つと決まっているものの全員がキッチリその偏差値と言う訳ではないのだから、そういう人間が居ても可笑しくない。
 鹿威ししおどしや赤べこのように首を立てに振っている男女がいることも否定しきれない事実だ。

「質問の意図を汲んでくれ……君や君の意見に賛同する人間で構わない。君たちの言う『最小』とは、『実働時間が短ければ問題ない』のか『準備を手伝わないという意思表明』か? と聞いているんだ。理由を説明する場合は簡潔に答えてくれ」

 質問の意味を理解して二択で答えろ。正直理由なんかどうでもいい。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

俺に7人の伴侶が出来るまで

BL / 連載中 24h.ポイント:3,735pt お気に入り:1,010

あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:397pt お気に入り:37

一杯の神話

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

知らん間にS級冒険者を攻略していた寂しがり屋

恋愛 / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:84

トラブルに愛された夫婦!三時間で三度死ぬところやったそうです!

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:34

異世界で合法ロリ娼婦始めました。聖女スカウトはお断りします。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:234pt お気に入り:126

異世界転生した世界は男尊女卑。

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:3

その転校生、実は許嫁です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:10

処理中です...