初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより

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追いかけてきた攻めにつかまった受けの話

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「落ち着いた?」

 と、恵さん。すんすんと鼻を鳴らしながら俺は小さく頷いた。

「真っ赤になっちゃったね」
「んっ…」

 恵さんは俺の目元をすりすりと撫でながらそう言った。擽ったくて小さな声が漏れる。
 結構派手に泣いたから、今の俺は相当酷い顔をしているはずだ。それなのに恵さんは愛おしいものを見るように目を細めてずっと俺の頬を撫でている。恥ずかしくて目を伏せると、恵さんが口を開いた。

「あの日、朝起きたら君がいないとわかって俺は悲しかったんだよ」

 ちょっと悲壮感すら感じるその声色に俺申し訳なくって肩を落とした。確かに恵さんの元を離れるのならもうちょっとこう、予告とかしておくべきだったと思う。考えていたことが顔に出ていたのか、そもそも俺から離れないでよ、とぴん、と軽く額を弾かれた。

「ごめんなさい…」
「いいよ。俺も言葉足らずだったし」

 そう言って恵さんは小さく肩を竦めて、だからね、と続けた。ちら、と下から恵さんを伺うと、妖艶な微笑みを浮かべて俺を見据えていた。びくり、と動揺で肩が揺れる。

「ね、やり直そう?」
「やり直し…? め、めぐ、んぅ…」

 恵さんの顔が近づく。俺の声は途中で彼の口の中に吸い込まれていった。



「ひっ、ぁッ、も、むりぃ゛……!」

 やり直し、といった恵さんは俺をキスだけでとろとろにしてソファで1回イかせると、俺を抱き抱えて寝室に移動した。それからずうっと気持ちいいことが続けられている。

 恵さんは初めてのえっちが可愛いものだと思うぐらい執拗に俺の全身を愛撫して俺をぐずぐずにした。コトコトと弱火で煮込まれるような焦ったい快楽に耐えきれなくなって、もう挿れてと懇願しても焦らされ続けて、やっと挿れて貰えた時には俺はぐったりと恵さんに体を預けていた。

「無理じゃないからもう少し頑張って」

 口調は優しいのに容赦なくどちゅどちゅと奥を抉られる。イイ所を擦られるたび悲鳴混じりの嬌声が漏れた。意識が落ちそうになるたびに目の前がチカチカするぐらいのき・も・ち・い・で起こされてまともに思考もできなくなっていた。

「ひっあ、あっ、あぁあ゛ッ」
「はは、可愛い。なお、気持ちいい?」
「きもち、んぁっ、きもちいのもうやだあ……っ!」
「やだじゃないでしょ」

 ね、なお、と耳元で囁かれる。ゾクゾクと背中に快感が走って腰が震えた。

「はぅ、あッ、みみだめ、あ゛ッ、あぁあ゛ッ……!」
「耳も気持ちいいね」

 吐息だけで笑った恵さんは俺の耳にそっと舌を差し込んだ。グチュグチュと卑猥な音が頭に響く。舌が抜き差しされるたびにびくびくと体が跳ねた。

「あっ、あ、~~~ッ!」
「はは、イッたかな」
「んぅ、イッた、イッたから、めぐみしゃ」

 ぎゅう、とシーツを掴んでいやいやと首を振る。きもちいけど、もう限界だった。

「でももう何も出てないよ」
「ぁ…?」

 どういうこと? ぼんやりと回らない頭で恵さんを見ると、彼は俺の腹に溜まった精液をぐちゅぐちゅとかき回しながら可愛いね、と微笑んだ。結局どういうことがわからなくて口を開こうとしたら、悪戯にへそを擽る指に思考が霧散する。もうどこを触られても気持ちが良かった。

「あぅ、ああ、ぁッ」
「はっ…お願いなお、奥入れさせて」
「んあっ…ぁ…おく…?」
「そう、ここ」

 とんとん、と恵さんの陰茎が最奥をノックする。きゅうぅ、と中が収縮したのが分かった。

「あっあっ、あん、そこっ、それこわい」
「怖くない怖くない。ね、気持ちいいだけだから」
「んああ゛っ、ほんと? めぐみしゃ、ああッ」
「ほんと。ね、俺は気持ちいいことしかしないよ」
「ひあ、あぅ…ゆっくり、してほし…」
「ん、わかった」

 そう言うと恵さんは俺の手首をぐい、引っ張った。ガクン、と上半身が起き上がる。

「あぅ、ぁッ、抜けちゃ…」
「こっちの方が、入りやすいから…なお、俺の膝の上乗って?」

 それって対面座位ってやつじゃ、と冷静な自分が言っていたけど、熱に支配された俺は言われるがままのろのろと恵さんの膝の上に乗った。くたりと体を恵さんに預けて肩口に頭を乗せるといい子、と言うように頭を撫でられる。心地良さに体の力を抜くと、恵さんは吐息だけで笑って触れるか触れないかギリギリの所で項を撫でた。ビクリ、と俺の肩が跳ねる。恵さんの指はそのまま背骨を辿って尾骨をこしょこしょと擽ると、やわやわと尻たぶを揉みこんだ。きゅんきゅんと後孔が収縮する。

「ひゃっ、あぅ、あっあっ」
「挿れるよ、なお」
「あ、あ、~~~ッ!」

 どちゅんっ、と恵さんのペニスが勢いよくナカに入ってくる。そのままぐちぐちと最奥を捏ねられてビクビクと全身が跳ねた。

「あうっ、アッ、おく、ひ、あぁ、あんっ」
「気持ちいいね、なお」

 砂糖にシロップを垂らしたような甘い声で恵さんが言う。恵さんの体にしがみつきながら俺は何度も彼の名前を呼んだ。

「めぐみしゃ、きす、きすしてほしっ」

 お願い、と強請ると恵さんは喉の奥で小さく唸ると噛み付くようなキスをくれた。口の中が恵さんの舌でいっぱいになってゾクゾクする。歯列を丁寧になぞられて上顎をこしょこしょと擽られると、きゅうぅ、とナカが痙攣してしたのが分かった。

「んふ、ふっ…んむぅ…んん」
「はっ……なお、好き、好きだよ」
「んあ……? う、ああっ、ゃぁッ、ああ、あッ、~~~ッ!」
「はは、イッちゃったの?」
「ごめ、なしゃ…」
「怒ってないよ。俺に好きって言われて気持ちよくなっちゃったんだよね」

 そう言って恵さんはばちゅばちゅと最奥を突いた。鋭い快感にバチバチと目の前がスパークする。

「ん、ああ゛っ! まっ、だめ、ああぁ゛……ッ!」
「はーっ……かわい」

 恵さんはそう言って再び俺を押し倒した。彼と触れ合っていたとこが離れてひんやりとした空気が体を撫でる。喪失感に俺は気づいたら手を伸ばしていた。

「や、はなれないで、んああっ」
「……離れて欲しくないの?」
「んっ、ひゃ、ああっ、ん、、うん、ずっと一緒がい、ぁああッ」
「可愛い、なお、もう絶対逃がさない」

 そう言って恵さんはぎゅう、と俺を抱きしめてくれた。戻ってきた体温が嬉しくて夢中でしがみつく。恵さんの動きが激しくなった。

「ひあ、あァ゛ッ、すき、めぐみさ、大好き、んああっ、あッあッ」
「俺も愛してるよ、なお」
「ひ、ん、んああ、あ、あ~~~~ッ!」

 バチン、と快感が弾けて、同時に俺の意識もそこで途絶えた。

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