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第2章

第18話 オーディン傭兵団VSポイズンファング傭兵団 その②

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ポイズンファング傭兵団の本拠地ザルツブルグに到着すると、城門前には数千の傭兵が密集して待機をしていた。一万人を越える大傭兵団のアジトだけあり、敵の主城ザルツブルグは城壁が20メートルはあるのではないかというくらい巨大な壁と鉄門が備えられている。散々悪事を働き、住人から搾取して築いてきた財をふんだんに使ったのだろう。

「ひゃ~、敵の数は凄い人数だね! こっちの何倍いるんだろ!」

「ざっと門前には8倍といったところか。城門上にも3千人ほどいて弓を構えているな。冒険者ギルドの受付嬢リタが、ポイズンファング傭兵団員数って1万人ほどと言っていたが、聞いていたよりもだいぶ数が多いな」

「ルーファスさん……大丈夫でしょうか?」

「もちろんルーファスにはセシルがついているから楽勝だよ!」

先ほど新兵3千人を戦闘不能にしたとはいえ、まだポイズンファング傭兵団には主力が無傷で残っている。《探査マップ/神愛》で確認すると主城ザルツブルグの中は敵の赤色で一杯となっていて、隙間が全くない様子が映っている。

「進軍停止!」

敵との距離を残した所で、ルーファスが軍を止める。するとザルツブルグの城門上から、豪華な装飾が施されたフルプレートアーマーに身を包んだ1人の男が出てきて大声をあげた。

「ルゥ~~~ファス! 初戦は何とかなったようだが、今度こそ殺してやるぞ! 愚かにもワシの本拠地に攻め込んでくる馬鹿には矢で返礼をしよう。チョッチョッチョ」

ライダーの挑発を聞き、ルーファスが最前列に出てくる。ポイズンファング傭兵団長ライダーに向けて神槍グングニルで指した。

「お前も焼きがまわったな! ライダーはこちらの戦力を計算できないほどにもうろくしたようだ。3千の弓隊がどうなったか知らないわけではあるまい。戦は数で勝負が決まるわけではないのだよ。
戦の最前線で常に戦い続け、はい上がってきたオーディン傭兵団に、安全なフェロニア市で善良な市民から金を巻き上げ、ふんぞり返っていたポイズンファング傭兵団の兵がこちらの10倍だろうが20倍以上、傭兵がいたとしても、私たちが勝つだろう」

「くっ、うるせ~! どちらにしてもお前を殺ればこの戦争は終わるのだ! そしてフェロニア市の東側はワシのものになる。おい、お前たち何をしている。矢を射って射って射ちまくれ! そしてルーファスを射殺せ!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」

『バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ!』

「迎え撃て! オーディン傭兵団!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」

『バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ!』

ルーファスが神槍グングニルを上空に高くあげて号令を出す。これはオーディン傭兵団の勝ちだな。団長の格が違いすぎる。そもそもオレがこっちについてるから向こうの勝利はないのだがな。

「うひょ~、セシル、ホリー、ついに戦いがはじまったね!」

「うん……店長……私はどうすればいいですか?」

「粉砕のミョルニルは今回もオレの回復魔法以外やることがないから、矢に気をつけながら待機だな。こちら側の部隊がザルツブルグへの突入に成功したら一緒に乗り込むぞ」

「承知~」

「はい……店長」

戦闘がはじまったが、最初はお互いに弓を射ち合っている。味方を見ていて負傷兵がでたら適当に回復魔法で回復させる。即死以外はフルパワー状態で治るので魔法とは便利なものだ。

《エリアフルリカバリー/範囲全回復魔法》

「あ! 傷がふさがった。セシルさん助かります!」

「セシルさん無双?」

「体力も全開で回復するから凄い!」

陣地の所々で感謝の声が聞こえる。敵も先程の雑魚傭兵3千と違い手練れもいるのでなかなか退くことがない。主力の傭兵3千が城壁の上から、残りの傭兵が城門前に8千と射っているのでポイズンファング傭兵団の方が有利に進むはずとのライダーの公算だったのだろうが、こちらはオレがすぐに《エリアフルリカバリー/範囲全回復魔法》で治すので徐々にポイズンファング傭兵団員の負傷者と死者のみが増え続けていく。

2時間ほど射ち合っていると敵の負傷者が膨大になり、ほっておけない数に達した。《探査マップ/神愛》で見ると、ザルツブルグの中の各部屋では矢が刺さり血みどろになって苦しみ、阿鼻叫喚となっている映像がミニウィンドウに映っている。戦場やバレンシアの森で、命を常に晒してここまで這い上がってきたオーディン傭兵団の実力を舐めてかかったようだ。一方的にやられて困り果てたライダーの次の一手がどう出るのか楽しみだな。

「うん? ついに敵が動き出しそうだ」

「白兵戦かな? オイラドキドキするよ」

「私も……が、頑張ります……すぅ~、はぁ~、すぅ~、はぁ~」

城門の中では近接武器で武装した傭兵が集まってきている。ライダーの次の一手は、ザルツブルグの城門上で弓を放っていた主力を投入するようだ。オーディン傭兵団の数倍、3千の主力で突撃を加え、一気に団長ルーファスを討ち取ろうという戦術に決めた。

「ルーファス! 敵は城門を全開にし、主力の兵で突撃をしかけてルーファスを殺ろうという作戦で来るぞ。どうするか?」

「!? そうか、情報をありがとう。粉砕のミョルニルは私の護衛はいいから、後方に下がってレベルが低い団員を守ってくれ」

「了解した」

『ギィイイイイイイイイイ』

敵方から放たれていた弓矢が止むと、錆びた鉄同士が擦れる音がし、徐々に城門が開いていく。それを見たルーファスは神槍グングニルをまた上空に高くあげる。

「オーディン傭兵団に命じる。敵は数千の兵力で力押しをしてくるようだ! レベル15以下の者は千メートル後方に下がり、防御体制を取り待機するように。指揮官セシルについていけ! 残りは私と共に敵と戦え!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」

団員の士気が高いのは良いリーダーの証拠だ。共に戦地を生き抜いてきた者たちの矜持があるのだろう。

「レベル15以下はオレに続け!」

400名程がオレについて後方に下がっていく。オレが後方にまで下がると同時に城門がフルに開き、中から敵の傭兵が出てきた。通常、軍隊同士の戦闘時は陣形を敷くのだが、ポイズンファング傭兵団は圧倒的な兵力の差に任せて陣を敷かずに向かってきた。先頭を走る部隊の指揮をしている副団長キリオスが槍を振り上げる。

「ルーファスの首を取った者は誰であっても部隊長に昇進だ!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」

恩賞の高さに敵部隊の士気が最高潮に達っし、迫ってくる。
オーディン傭兵団は敵の突撃に対して、魚鱗の陣形で待ち構えている。魚鱗の陣とは▲の形に兵を配置する陣形だ。トップの位置に最大戦力ガディ隊を置き、底辺の中央に指揮官ルーファス隊を配置する。側方や後方から攻撃されると崩れやすいのが、この陣形の弱点だが、今回はその心配がないから選択したのだ。
すると突然、魚鱗の陣の先端部分にいたガディが1人、3千の兵に向かって走り出した。

「おおおっ、祭りが盛り上がってきたぜ! 最高だ! 俺をもっと楽しませてくれ!」

「兄貴、オレらもついていきますぜ!」

すでにガディは脳筋MAXで興奮を押さえきれなかったようだ。1人で敵に向かって突撃していく。ガディの子分たちも慌ててガディの後ろから付いていく。敵の最前線にたどり着いたガディは、通常よりも刀身が50センチ長く、8センチほど分厚い自慢のツーハンデットソードを振り上げ攻撃を加えた。

《烈風剣!》

「「「ガッ! ウギャ! ギャ!」」」

さすがベースレベル70代の強者だ。巨大な烈風剣での範囲攻撃で敵を切り刻み、数十名が攻撃に巻き込まれ真っ二つとなり絶命した。烈風剣とは狂戦士のレベル1戦闘技で、戦士系の技としては数少ない範囲攻撃となっている。剣圧と闘気をぶつける事で敵にダメージを与える。

●名前:ガディ
●年齢:23歳
●種族:ヒューマン
●所属:ステュディオス王国フェロニア市、オーディン傭兵団副団長、ガディ隊隊長
●身長/体重:198/94
●髪型:黒髪つんつんヘア
●瞳の色:青色
●経験:あり
●状態:興奮
●ベースレベル:70
●職業:レベル40狂戦士
●HP:2732
●MP:2682
●腕力:1350
●体力:1382
●敏捷:1386
●知力:1322
●魔力:1362
●器用度:1352
●スキル
戦闘技5、剣術5、弓術5、盾術5
●通り名
オーディンの暴風龍
●装備
ミスリル製のツーハンデットソード+5、銀製のヘルム+3、銀製のプレートアーマー+3、銀製のガントレット+3、銀製製のブーツ+3、銀製のマント+3

ガディは戦士としてレベル30になり、狂戦士に転職した。そして今はレベル40狂戦士までレベルを上げた。30+40=ベースレベル70になる。
さすがフェロニア市でも数少ないランクA冒険者だ。本来ならばランクSも取れるのに、めんどくさがって試験を受けていないというのは団員たちの噂話だ。
だがオレはガディという人物を短いつきあいの中で理解していた。オーディン傭兵団の上下関係をハッキリさせるため、ランクS冒険者ルーファスと並ばないように、自分はランクAでとめている。実はルーファスよりもガディの方がレベルが高いのだが、あえてルーファスよりも下にいる。ガチガチの武闘派系で脳筋な男だが、意外にそのような配慮もできるのだ。

「全くあいつは仕方のないやつだな。せっかくセシルがあらかじめ敵の突撃を教えてくれたから、陣形を整えて満を持して待ち構えていたのにな。仕方ない、ルーファス、俺たちも突撃するぞ」

「そうだな。だが相手の突撃はガディが止めてしまったから、敵の策は失敗したといえよう。
オーディン傭兵団全軍に命じる! 敵に突撃せよ!!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」

ガディは敵の出鼻を挫き、突撃してきた敵の勢いを完全に削ぐことに成功した。触れたものには死を与えるその鬼神のような破壊力に恐怖し、斬り込んだ所に穴ができた。オーディンの暴風龍の通り名は伊達ではないということだ。他のオーディン傭兵団員もガディがこじ開けた穴から傷口を広げるように突撃をはじめた。

両軍主力同士の激突が始まった中、各地で隊長クラス同士の戦いも始まった。相対するのはレベル40狂戦士ガディとレベル22狂戦士キリオス、レベル18忍者ニコルとレベル20忍者ベデネ、レベル18狂戦士ダグラスとレベル21狂戦士ハーセ、レベル16忍者ロンドとレベル17忍者マレー、レベル21女狂戦士ティナとレベル20女狂戦士エブリンのマッチアップとなっていた。

ポイズンファング傭兵団女隊長で紅一点エブリンと、オーディン傭兵団女隊長で紅一点ティナがマッチアップで戦っているのがミニウィンドウに写っている。5人いる団の最高幹部で紅一点同士の戦いだ。2人のレベルは拮抗しているが、ティナが圧倒的に押していて、エブリンは守りで手一杯になっている。

『ギギギギギギギギギギィン!』

「はぁはぁはぁはぁはぁ、ティナは私とレベルが変わらないはずなのに、なんであなたはこんなに強いのよ!」

「うふふっ、今日はとっても体の調子がいいの。こんなに気力と体力が充実しているのは生まれてはじめてなの」

ミニウィンドウから2人の会話が聞こえてくる。ティナの調子が良いのは当然だ。彼女をオレは伽で2回抱いて、神液吸収を合計で20回させたのだ。つまりティナのステータスはすべての数値が20%あがっているのだから同程度のレベルでは相手にならないのは当然なのだ。

この戦が終わったらもう1度抱かせろって迫るとしよう。ティナがオレの誘いを断るわけがないだろうからな。2回目に抱いたときは、好きなだけ膣内に出してスッキリさせてもらった。今回は時間がなかったから出来なかったが、次こそ彼女を痙攣するほどイカせまくって、オレの虜にしてやるとしよう♪ イクイクイクイクって何度も叫ばせてやろうぞ。ぐっふふふ♪

他の隊長たちも互角に戦っているようだが、ガディだけレベル差があり、余裕のようでやる気がなさそうだ。ガディの矜持では自分より強い相手と戦う方が好みというところだ。ただし、あいつよりも強い冒険者はラティアリア大陸にほとんどいないだろうがな。
そのような中、ルーファスとライダーは後ろから部隊全体の状況を見極めようとしている。いまだに両団長の所までは敵の刃は届いていない。

「「「セシルさん、先日は助けていただきありがとうございます!」」」

声がしたので振り返ると、迷宮内で野盗に襲われていた所をオレが介入し、命を助けたミルアとアナスタシアが笑顔で立っている。

「よう、この間は災難だったな」

「元気してた? それにしても2人ともセクシーな装備だね。うっひっひ♪ オイラ萌えちゃうよ!」

カァッと赤くなるミルアとアナスタシア。2人とも、胸の部位のみを隠す革のレザーアーマーに、革のショートパンツを穿いている。大抵の女冒険者はこの装備を最初に買うのだ。幸いにしてクエストを達成して生き残れたら、一部位を守る防具から全身を守る防具というふうにステップアップしていくのが普通だ。

他にも防具や武器の素材についても差がつく。革製⇒鉄製⇒銅製⇒銀製⇒ミスリル製⇒アダマンタイト製⇒龍の牙、爪製⇒硬化シリコーン製となっている。硬化シリコーンについては神の素材なのでラティアリア大陸中を探しても発見はできない。《クリエイトシリコーン/創造》の使い手であるオレだけが作成可能だ。

もう一つ言うと魔法の錬成所で高額な金貨を支払い、魔法の武器や防具に変えることでも差がつく。装備は、呪われたマイナス7~神に祝福されているプラス7まで15段階に分かれている。
つまり最強の武器防具は、硬化シリコーンで作られたプラス7の物ということになる。

「冒険者をはじめたばかりで鉄製の物を買うお金がないから……。私たちは雑貨屋の長女と次女で、家に私たちの税金を払うお金がなくて自分で稼ぐしかなかったの」

「実家の雑貨屋はベルトラン傭兵団が支配していた場所にあったのですが、傭兵団の抗争で負け、ポイズンファング傭兵団が支配するようになったんです。やつらは売上の5割をみかじめ料として持っていくようになって、生活が急に困窮するようになったんです」

「……私と同じ……店長」

「ああ、ホリー分かっている、そういう事情なら少し助けてあげるか。全身型レザーアーマーなら余っているから、あとで取りに来なさい。野盗退治をしたときに回収したものだから遠慮することはないぞ。サイズ調整は自分達でやるように」

「「「ええっ! 本当ですか?」」」

「セシルは金持ちだから売る必要がないし、アイテムボックスの中で眠っているだけだと勿体ないよね。処女は貴重だし、大事にしないとね!」

「ええ!? パックはどうして私たち姉妹が処女だと分かるのですか?」

「うんうん、妖精族は女の子の体から出る香りで、夜伽を経験しているかどうかが分かるんだよね! 凄いだろ!」

「ひゃっ! そそ、そうなんですか?」

それはきっとお前だけだ、パックよ! と心の中で突っ込みを入れる。さすが唯一無二、性愛魔法の使い手であり、恐るべき変態妖精だな。ミリアとアナスタシアの2人はかなり引いている。そこに気がつかないのがパックの面白いところだ。

「それとは別に2人とも可愛いし、夜伽の相手として処女を差し出して抱かせてくれるなら、フルプレートアーマー1式をプレゼントするぞ。ただし、姉妹2人同時の夜伽が条件だがな。姉妹丼っていうのは、まだ経験したことがないのだ」

「「「………………………………フルプレートアーマー」」」

流れで軽く言ったつもりだったが、真剣な顔で悩みはじめる多感な年頃の16歳の女子2人。フルプレートアーマー1式というエサは相当な魅力だったらしい。鉄製のプレートアーマーは金貨10枚で、鉄製のフルフェイスヘルムが金貨4枚、鉄製のガントレットが銀貨5枚、鉄製のロングブーツが銀貨5枚、鉄製のマントが銀貨3枚となる。合計で金貨16枚ほど必要になる。日本円で160万円くらいだ。CかBランク冒険者にならないと買うことは難しいということになるのだ。そのため、フルプレートアーマー1式は冒険者たちの夢と希望の象徴、一流の冒険者として認められる条件の1つとなっており、強い憧れとなっているのだ。

基本的に多人数で夜伽をすることは好みではない。だが姉妹丼となると、1度は是非とも経験してみたい。男にピストン運動をされている妹の乳首を、罪悪感をいだきながらそれを吸う姉。なかなかゾクゾクするよな。是非ともプレイしてみたいが、本人たちの希望があれば嬉しい。フルプレートアーマーというエサに食いついてくれたら……ぐふふふふふ♪

「セシル、鼻が伸びてスッゴいエッチな顔になっているよ! ホリーも見ているんだから気をつけて!」

おっと、いかんいかん。女の子には決して見られてはいけない顔をしていた。気をつけねばならない。

「まっ、今、決めなくてもあとで気が向いたらいつでも来ていいからな。念を押すが、姉妹同時に夜伽ということ限定だから、1人だけでは駄目だぞ」

「て、店長……敵がいっぱい……来ます」

「え? あ! いつの間にか敵が迫って来ているな」

「わわっ、セシルどうしよ」

《探査マップ/神愛》で急ぎ確認すると、2000名ほどがオレたちの陣地に向かい、武器を抜き全力で走って来ていた。敵の主力3000とは別に、まだ、ザルツブルグ内には8000程の予備兵が待機しており、その一部の兵が来たのだ。。主力ではないので全体的にレベルは低いが2000という数は、新兵しかいないオレの軍と激突すると相当な被害が出るだろう。

「「「セシルさん!」」」

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