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桃ちゃん再び
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がばっと突然クリスティーナ姫が立ち上がり、めっちゃこっちに詰め寄ってきた。
「聞いてよ聞いてよっ!地震とかね山の崩落まで、私のせいされたのっ!そんなの自然現象じゃんっ!分かってるくせに人のせいにするのよ─────っ!」
おかめ顔で顔面すれすれまで詰め寄られれば、さすがに私もちょっと引く。
─────ん?地震?─────山の崩落?‥‥‥‥あれ?
「‥‥‥‥ちょっと聞くけど、地震っていつの事?」
「─────あ?ああ、知らないのか?一か月位前になるかな」
「そうですね。山の崩落が先か、地震が先かは解りませんが」
‥‥‥‥あ、あれれ‥‥‥‥?
「そのせいか知らねぇが、水位が下がった地域が出て‥‥‥‥」
うわ~んっと姫さんの号泣が入り、発言者が気まずそうに黙る。
「‥‥‥‥そう、一か月ぐらい‥‥‥‥」
─────あれ?やべぇ、私か?
─────いや待て待て、地震は私のせいじゃないはずだ。ピンク頭と金髪病野郎のせいだ。山?ピンク色しているのが悪い。
─────水位が下がった‥‥‥‥?
思い出すのは、クレーターの中からの脱出劇、からのポンコツ地図の変更箇所。
「まあそれはおいといて、お前にあの森にいたんだろ?それで聞きたい事があるんだが‥‥‥‥どうした?」
頭を抱えた私に、アル隊長が訊ねるが、背中に流れる汗に気付かれないよに「なんでもないよ」と誤魔化す。
「実は、姫様がこうなった時から、陛下の命令であの『深淵の森』を部下をやって、密かに探索していたんだが」
─────いたの?知らんかった。まあ、あの森広いからね
「随分前からあの森には噂があったんだが。あの森で『仙桃の木』を見なかったか?」
‥‥‥‥『仙桃の木』? あ、─────桃ちゃんの事か。
森で見つけた桃ちゃん。ほんのり光ってホンワカした様子でこちらを油断させておいて、「保護しろ」と強引に強請ってきた桃ちゃん。
只今、アイテムボックスの大事なモノの欄に入っております。
「それを見つけてどうするの?」
「『仙桃の木』になる実は万能薬と言われていますから。姫様の呪詛も解けるんじゃないかと、陛下はお考えです」
ああ~~。う~ん、これかぁ、『鑑定』がなんかいろいろって言って(?)た奴。
いろいろ誇張されすぎて、万能薬的扱いになっているのか、これは乱獲もされるかな。
「まあ、俺達も絵でしか見たことがないのだが‥‥‥‥」
ため息をつく三人の目の前で、机の上にころりと桃ちゃんを置いた。
「「「─────は?」」」
─────まさかこれは。本物なのかっ!と騒ぐ中、お姫様だけは「あれ?桃?」と首を傾げた。
しばらく桃ちゃんを見つめたのち、三人に宣言した。
「桃ちゃんで『呪詛』は、解けない」
私の宣言に石と化す三人を置いてきぼりに、扉の外に控えていた少年に皿と道具を借り、サクサクと桃ちゃんをカットして、お姫さんに差し出した。
甘い匂いにつられ、パクつくお姫さん。
「甘~いおいしい~」
三人が見守る中、嬉しそうに桃ちゃんを食べ続けるお姫様。
『おかめさん』から変わる様子はない。
「駄目なのか‥‥‥‥」
「『仙桃の木』の効能が誇張されすぎなのよね」
君達も食べてごらんと、強引に勧める。初めて見た桃ちゃんに躊躇するも、お姫さんが先に食べちゃってるからね。「あ、うま」と言いながら皆元気になったようだ。私が何もしなければ、桃ちゃん本来の効能はこれぐらいだ。
だが私が桃ちゃんに『おまじない』をしても、解呪は出来ないらしい。
さっき桃ちゃんを出した時、密かに『鑑定』をし直したが、『解呪はムリっす。系統がちゃいますから』と出てきた。
「聞いてよ聞いてよっ!地震とかね山の崩落まで、私のせいされたのっ!そんなの自然現象じゃんっ!分かってるくせに人のせいにするのよ─────っ!」
おかめ顔で顔面すれすれまで詰め寄られれば、さすがに私もちょっと引く。
─────ん?地震?─────山の崩落?‥‥‥‥あれ?
「‥‥‥‥ちょっと聞くけど、地震っていつの事?」
「─────あ?ああ、知らないのか?一か月位前になるかな」
「そうですね。山の崩落が先か、地震が先かは解りませんが」
‥‥‥‥あ、あれれ‥‥‥‥?
「そのせいか知らねぇが、水位が下がった地域が出て‥‥‥‥」
うわ~んっと姫さんの号泣が入り、発言者が気まずそうに黙る。
「‥‥‥‥そう、一か月ぐらい‥‥‥‥」
─────あれ?やべぇ、私か?
─────いや待て待て、地震は私のせいじゃないはずだ。ピンク頭と金髪病野郎のせいだ。山?ピンク色しているのが悪い。
─────水位が下がった‥‥‥‥?
思い出すのは、クレーターの中からの脱出劇、からのポンコツ地図の変更箇所。
「まあそれはおいといて、お前にあの森にいたんだろ?それで聞きたい事があるんだが‥‥‥‥どうした?」
頭を抱えた私に、アル隊長が訊ねるが、背中に流れる汗に気付かれないよに「なんでもないよ」と誤魔化す。
「実は、姫様がこうなった時から、陛下の命令であの『深淵の森』を部下をやって、密かに探索していたんだが」
─────いたの?知らんかった。まあ、あの森広いからね
「随分前からあの森には噂があったんだが。あの森で『仙桃の木』を見なかったか?」
‥‥‥‥『仙桃の木』? あ、─────桃ちゃんの事か。
森で見つけた桃ちゃん。ほんのり光ってホンワカした様子でこちらを油断させておいて、「保護しろ」と強引に強請ってきた桃ちゃん。
只今、アイテムボックスの大事なモノの欄に入っております。
「それを見つけてどうするの?」
「『仙桃の木』になる実は万能薬と言われていますから。姫様の呪詛も解けるんじゃないかと、陛下はお考えです」
ああ~~。う~ん、これかぁ、『鑑定』がなんかいろいろって言って(?)た奴。
いろいろ誇張されすぎて、万能薬的扱いになっているのか、これは乱獲もされるかな。
「まあ、俺達も絵でしか見たことがないのだが‥‥‥‥」
ため息をつく三人の目の前で、机の上にころりと桃ちゃんを置いた。
「「「─────は?」」」
─────まさかこれは。本物なのかっ!と騒ぐ中、お姫様だけは「あれ?桃?」と首を傾げた。
しばらく桃ちゃんを見つめたのち、三人に宣言した。
「桃ちゃんで『呪詛』は、解けない」
私の宣言に石と化す三人を置いてきぼりに、扉の外に控えていた少年に皿と道具を借り、サクサクと桃ちゃんをカットして、お姫さんに差し出した。
甘い匂いにつられ、パクつくお姫さん。
「甘~いおいしい~」
三人が見守る中、嬉しそうに桃ちゃんを食べ続けるお姫様。
『おかめさん』から変わる様子はない。
「駄目なのか‥‥‥‥」
「『仙桃の木』の効能が誇張されすぎなのよね」
君達も食べてごらんと、強引に勧める。初めて見た桃ちゃんに躊躇するも、お姫さんが先に食べちゃってるからね。「あ、うま」と言いながら皆元気になったようだ。私が何もしなければ、桃ちゃん本来の効能はこれぐらいだ。
だが私が桃ちゃんに『おまじない』をしても、解呪は出来ないらしい。
さっき桃ちゃんを出した時、密かに『鑑定』をし直したが、『解呪はムリっす。系統がちゃいますから』と出てきた。
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