聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

文字の大きさ
94 / 241

ドヤ顔

しおりを挟む
「これやっぱり。マズいのかな~」

「なに。鍛錬が足らんのだ、鍛錬が」

 腹に手を突っ込まれたショックで白目をむいた長を眺めながら、突っこんだ右手を払った。
  途端に黒い影は霧散していく。
 ─────後は『治癒』っと
 キラキラエフェクトに包まれたと同時に、頭にチョンと乗っていた帽子が床に転がった。
 ‥‥‥‥あ、やっぱ頭頂部が‥‥‥‥見なかったよ、私は空気が読める大人だからね。 肌色が見えていたのは一瞬で、次の瞬間もっさぁと髪の毛が生えてきた。
 あんな風に生えてくるんだ─────ちょっとスゲ~。

「長は何か、病気持ちだったんですか?」

「ん~たぶん。長期的に無理してたら、命にかかわったかもね」

「そうだっんですね~」

 こっちの医療がどの程度か知らないけど、ひょっとして『ヒール』とかで何とかしちゃうのかな?そんな事をおっさんに訊ねたら「基本、薬師だ。『ヒール』何て使えるヤツはそんなにいない」て言われた。 『ヒール』貴重なんだ。じゃあ自分の『治癒』はどうなんだろう‥‥‥‥聞くの怖いわ‥‥‥‥。

「そういえば、名前決まったの?」

 相変わらずおっさんの肩で頭ピコピコしている鳥さんは、会話とかは出来ないけどなんだか機嫌が良さそうなのは分る。

「おう、決まったぞっ!『ピーちゃん』じゃっ!」

「え‥‥‥‥」

 どどんっ!とドヤ顔で決められても‥‥‥‥。そして『ピーちゃん』それでいいのか。さっき『ピーコ』でキレてたよね?

「‥‥‥‥それでいくの?さっきの『ピーコ』とどこが違うの?」

 私の当然の疑問に、ふふんと何から意味深顔をするおっさん。

「お主を見習って、ワシもコイツに真名を付けたんじゃっ!」

 さらにドドンっ!と二人(?)でドヤられた。
 私を見習ってって事は、シロ君の事よね?という事は『ピーちゃん』は渾名という事か。
 まあ、ピタゴラスなんちゃら三世とか長々と名乗られても、なんだから『ピーちゃん』でいいか。

「よろしく、ピーちゃん」

 挨拶すれば、「ピヤ」と顔(?)に似合わない可愛い声で返事が来た。‥‥‥‥うん、かわいいではないか。


「─────はっ!私は一体どうしたんだっ!─────うおぉぉォォォォっ!!」

 白目を剥いていたおっさんが跳ね起き、同時に自分の頭に起きた異変に歓喜し、小躍りしだした。

 ‥‥‥‥おっさんのヘッドバンキング姿。この世界では歓喜の踊りはヘッドバンキングなのだろうか‥‥‥‥なんだろう、ちょっと悲しい。

 何とも言えない気分で、いい年をしたおっさんの小躍りを遠い目で眺めていると、遠くで花火の様な音が響いてきた。

「─────何の音じゃ?」

 その場にいる全員が、音のする方向の窓に目をやると、遠くの建物で煙が上がっていた。

「─────あの建物って、まさか‥‥‥‥」

「砦ですよっ!」

 ウィル少年が叫ぶと同時に、更に二本の火柱が上がるのが見えた。遅れて爆発音が響いいてくる。

「─────なにあれ?どういう事? 火事? 事故とか?」

 疑問に思う自分の前に、ピコっとスクリーンが出現した。


『 侵入者により、砦の『大浴場』が半壊されました 』

「─────はぁあ゛ぁん!? 誰じゃぁぁっ!!」

 私の楽しみを邪魔する奴はぁぁぁぁ─────!!  

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力! 絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。 最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り! 追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...