聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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降臨

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 ‥‥‥‥─────リィ‥‥‥‥─────リィ‥‥‥‥リ‥‥‥‥ン

 ─────最初に気づいたのは、動物達であった。

「ジュリエッタちゃ~ん、お魚おいちぃでちゅか~~?いっぱい食べようねぇ~~─────あれ?」

 献上された魚の切り身に、頭を突っこんでいたお猫様はふと頭をあげ、外の一方向にひたと目線を向けたまま微動だにしなくなった。

「おいおい、お前落ち着けっ‥‥‥‥て‥‥‥‥」

 道すがらご主人大好き、好き好き大好きムーブを出しまくっていたお犬様は、突然ご主人様にはスンとなり、まったく違う方向を見つめて動かなくなった。

 自分達の連れている動物達の不審な行動に人々が気付き始めた頃、今度は子供たちが空を見上げはじめた。

「ん?お前どうしたんだい?」

「‥‥‥‥おかぁさん。お空から、何かきこえるよ‥‥‥‥」

「─────空?」

 はて?と子供につられて空を見上げるが、雲一つない晴天で雷雨が訪れる気配は微塵も感じられない。
  何も聞こえないじゃないと振り返れば、自分の子だけじゃなく、他の子ども達も不思議そうに空を見つめていた。

「おにいちゃん。─────ほら、あれだよ」

 幼い少女が指差す方向につられて、少年と連れの男が空を見上げる。

 ‥‥‥‥────リィィン‥‥‥‥─────リィィィン

「 ‥‥‥‥な、なんだ、あれは?」

 大人達の耳に音が届いた頃には、遥か上空から、眩い一筋の細い光が描かれつつあった。

 落ち行く方向には、‥‥‥‥砦がある。

「‥‥‥‥まさか」

 長の予感は外れることなく、光の柱は迷う事なく砦の中に降臨する。

 街の人々が言葉もなく息を詰めて見つめる中、目も開けられないほどの光の波が、遠いこちらの街にもやってきた。

 思わず目を硬く閉じて、光の波に耐えていると、少女の声が聞こえてきた。

「─────わぁっ!すごいすごい!きれいっ!」

 少女の声につられて視線を向ければ、砦の方角には女神と思われるお姿が浮かんでいた。  
「‥‥‥‥あれは‥‥‥‥クリスティーナ姫の守護神、『ファル・レンサール』神‥‥‥‥」

 長い金の髪をなびかせ、全身に花を散らした姿の女神『ファル・レンサール』神。
  この距離で詳細までは判別できないが、あの砦にクリスティーナ姫がいる分かっているので、かの神は『ファル・レンサール』神で間違いないだろう。

 ‥‥‥‥問題は‥‥‥‥。
 
  一柱でも神が顕現すれば、それは人々にとって吉兆となり、お祭り騒ぎとなるのだが、その場に顕現されているのは一柱だけではなかった。
 
 女神である『ファル・レンサール』が頭を垂れ、敬意を現している姿が遠目でも解る。
 人間としての本能が働き、大人たちは声を出すこともなく、皆その場に膝を付く。

  頭を垂れる『ファル・レンサール』の向こうには、更に巨大な姿の神が、背後に陽を背に顕現されていた。あまりの大きさ故、全体が見えない‥‥‥‥というか
    
  ‥‥‥‥畏れ多くて‥‥‥‥直視などできない。

 ─────無邪気な子供達だけが、その奇跡の姿をその瞳に焼き付けていた。
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