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こちらお城です。
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‥‥‥鬱陶しい。
「陛下っ!さあさあ、どうぞよくご覧ください!素晴らしいでしょうっ!!」
‥‥‥‥うるさい。
「これぞ我が信者達が手塩にかけて、我らの女神の姿を模したステンドグラスですぞっ!」
‥‥‥‥こんな物を勝手に作りおって‥‥‥‥。
この場所は元々こいつらの仲間が暴れまわり、城の一部が破壊された場所だ。
復旧作業をする際、我らも微力ながら手を貸すと申し出て来たのだが、こういう事かとげんなりする。
人手を出す。と言った割に、この場所だけに陣取り、足場だと言いながら周りから見えないように幕を張る。
しかもこの場所は、城の中でも一番人々の往来が激しい場所。城の管理の者が文句を言えば、のらりくらりと訳の分からない言葉を並べるばかり。
いい加減にしろと、この国のトップ自ら乗り込んでみれば「これはこれは陛下。これから完成のお披露目でございます」と教団の一人が図々しくのたまったのだ。
「‥‥‥‥やはり金だけ払わせれば良かったな」
「‥‥‥‥だから言ったではありませんか‥‥‥‥」
自分と同じ渋面をしているだろう同年の宰相が、怨嗟の声を絞り出してくる。
この教団に肩入れしたあの伯爵のジジィの進言など、聞き入れなければよかったと後悔しきりだ。なにが「ここは懐の広さをみせましょう」だ。
「あまりの美しさに光輝いておりますっ!」
─────ぎちぎちぃ‥‥‥‥。
斜め後ろにいる我妻の手に握られている扇から、聞きたくない音が響いてきた。
‥‥‥‥無言であるのが、なにより一番怖い
愛しの娘を保護を目的に砦の城に出してから、妻の扇の消費が激しい‥‥‥‥。扇はいたって消耗品ではないのだが、そこに言及などできない。間違ってもそんな事をすれば、この私が扇と同じ運命をたどってしまう。
「この醸し出す麗しきお姿っ!まさに唯一の女神っ!そこら辺の女子には出せませんなっ!─────うははははははは」
‥‥‥‥逆光で何も見えんの救いだがな。
ご自慢のステンドグラスとやらは、天井まで届こうかと言うほどの大きさに巨大な女神を描いたというが、陽の光が強いのか、ご自慢の職人信者の腕がイマイチなのか、ちょうど顔のあたりが眩しくあまり見えない。
とはいえこんな場所に、女神を模した作品など迷惑極まりない。
「─────そちらの教団は、審美眼というものを持ち合わせておられぬようですな。こんな低レベルの物を作られても困るんですけどね」
怨嗟の声を響かせていた宰相から、落ち着いた口調で、嫌味という名の鋭いトゲが飛び出す。
そういう事には敏感なのか、教団から派遣された男は瞬時に顔を赤くする。
「─────ふざ」
ピイィィィィィ─────!
パ─────ンっ!
女神の顔部分のガラスが破壊され、何かが突入した来た。
ステンドグラス自体脆かったのかそこから次々にヒビか広がり、破片が辺りに落下しだした。
─────よぅっし!いいぞっ!でかしたっ!何か知らんが、ナイスだっ!
「陛下っ!さあさあ、どうぞよくご覧ください!素晴らしいでしょうっ!!」
‥‥‥‥うるさい。
「これぞ我が信者達が手塩にかけて、我らの女神の姿を模したステンドグラスですぞっ!」
‥‥‥‥こんな物を勝手に作りおって‥‥‥‥。
この場所は元々こいつらの仲間が暴れまわり、城の一部が破壊された場所だ。
復旧作業をする際、我らも微力ながら手を貸すと申し出て来たのだが、こういう事かとげんなりする。
人手を出す。と言った割に、この場所だけに陣取り、足場だと言いながら周りから見えないように幕を張る。
しかもこの場所は、城の中でも一番人々の往来が激しい場所。城の管理の者が文句を言えば、のらりくらりと訳の分からない言葉を並べるばかり。
いい加減にしろと、この国のトップ自ら乗り込んでみれば「これはこれは陛下。これから完成のお披露目でございます」と教団の一人が図々しくのたまったのだ。
「‥‥‥‥やはり金だけ払わせれば良かったな」
「‥‥‥‥だから言ったではありませんか‥‥‥‥」
自分と同じ渋面をしているだろう同年の宰相が、怨嗟の声を絞り出してくる。
この教団に肩入れしたあの伯爵のジジィの進言など、聞き入れなければよかったと後悔しきりだ。なにが「ここは懐の広さをみせましょう」だ。
「あまりの美しさに光輝いておりますっ!」
─────ぎちぎちぃ‥‥‥‥。
斜め後ろにいる我妻の手に握られている扇から、聞きたくない音が響いてきた。
‥‥‥‥無言であるのが、なにより一番怖い
愛しの娘を保護を目的に砦の城に出してから、妻の扇の消費が激しい‥‥‥‥。扇はいたって消耗品ではないのだが、そこに言及などできない。間違ってもそんな事をすれば、この私が扇と同じ運命をたどってしまう。
「この醸し出す麗しきお姿っ!まさに唯一の女神っ!そこら辺の女子には出せませんなっ!─────うははははははは」
‥‥‥‥逆光で何も見えんの救いだがな。
ご自慢のステンドグラスとやらは、天井まで届こうかと言うほどの大きさに巨大な女神を描いたというが、陽の光が強いのか、ご自慢の職人信者の腕がイマイチなのか、ちょうど顔のあたりが眩しくあまり見えない。
とはいえこんな場所に、女神を模した作品など迷惑極まりない。
「─────そちらの教団は、審美眼というものを持ち合わせておられぬようですな。こんな低レベルの物を作られても困るんですけどね」
怨嗟の声を響かせていた宰相から、落ち着いた口調で、嫌味という名の鋭いトゲが飛び出す。
そういう事には敏感なのか、教団から派遣された男は瞬時に顔を赤くする。
「─────ふざ」
ピイィィィィィ─────!
パ─────ンっ!
女神の顔部分のガラスが破壊され、何かが突入した来た。
ステンドグラス自体脆かったのかそこから次々にヒビか広がり、破片が辺りに落下しだした。
─────よぅっし!いいぞっ!でかしたっ!何か知らんが、ナイスだっ!
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