162 / 241
やっぱコレよね
しおりを挟む
「‥‥‥‥リオさんまだですか‥‥‥‥?」
「まだよ、まだ。ここは焦っちゃだめ」
中庭で屈みこむ二人の前には、即席で作成した『七輪モドキ』。
花畑と化した中庭で、周りにあった土を集め『土魔法』とやらで固めて出来た代物だ。
『火魔法』と、初めて使うであろう『土魔法』とやらを駆使して、『七輪モドキ』を作り上げた事になんのためらいもない。なぜならこれは必然であるからっ!
『七輪モドキ』に厨房から借りてきた焼き肉用の網。そしてその上には、焼きあがるのを今か今かと待ち望んでいる『走るキノコ』事『松茸』ちゃん。
一度はやってみたかった憧れの、手で『松茸』を割くという工程を経て、今はジリジリ焼き上がりを待つばかりである。
「‥‥‥‥七輪作ってる時のリオさん、すごい勢いでめっちゃビビりましたけど」
「作った事なんかないし。それに、ほら、‥‥‥‥失敗したくないじゃない‥‥‥‥」
失敗したくないので『土魔法』と『火魔法』をゴリゴリに使いまくった結果。中庭にはどデカい穴が出来てしまった。お花達は身の危険を感じたのか、穴の周辺からは自ら退避していた。
君達逃げ足早くなったよね‥‥‥‥。
「‥‥‥‥後で埋めといてくださいね」
「‥‥‥‥はい」
開けてしまった穴はやはり大きかったらしい‥‥‥‥。
そんな事を考えていると、『松茸』からいい感じの匂いが漂いだした。
「よっしゃぁ!ここだぁぁぁぁ─────」
その瞬間を待っていた!とばかりに取り出したる『一升瓶』。
そこから数滴の 醤油が浮かび上がり、『松茸』にかけられる。
『そこは「魔術」を使わなくても‥‥‥‥』
『ナビ』ちゃんからピロっと小言が出てきたが、なにを言っているのだ!貴重な『高級醤油』だぞぅっ! 出し過ぎたら勿体ないでしょ!
そうこうしているうちに、火に当てられて『七輪モドキ』から懐かしの香りが漂い出す。
コレよこれっ!たまらんわ~と堪能していたが、姫さんに急かされて網からおろし、二人同時にパクついた。
「「 ふぉぉォォォォ───── !!」」
二人興奮気味にハイタッチを交わしていると「何してんだ‥‥‥‥」といつの間にかおっさんを含めた隊長さん達が呆れた顔で中庭の入り口に立っていた。
「え、帰城ですか?」
「はい。陛下からの知らせが来ました」
ほほう、姫さんにパパさんから「帰っておいで」と。
先刻到着したピーちゃんがお手紙を運んで来たんだな。
まあ、お姫さんは『呪詛』をかけられて人目もあるから、この砦に避難してきたと言っていたしな。
ピンク教の心配がまだあるとはいえ、『呪詛』がなくなったとなれば、帰っておいでと言いたくなるわな。
もっきゅもっきゅと『松茸』ちゃんをいただきながら、隊長さんが説明するのを聞いていた。
ちなみに今は『七輪モドキ』が二つとなり、『松茸』以外にも肉が追加され、焼肉パーティー状態だ。中庭で焼肉しながらの会議?という異様な光景に、近寄ってくる隊員はいない。大穴も二つ開いているので、余計に避けられている感があるが‥‥‥‥。
犬魔獣達は、朝の『パンケーキ戦争』の姿が嘘のようにシロ君と一緒に並んでお座りをし、焼き上げられたお肉が飛んでくるのをちゃんと待っている。君達、熱いの大丈夫なんだね‥‥‥‥。
『松茸』? 自分はケチじゃないので出し惜しみはしませんよ?『高級醤油』はしますが─────何か?
「それと、両陛下がどうしてもリオとシロ君に会いたいと‥‥‥‥とくに王妃様が‥‥‥‥」
─────ほ?自分、ご指名ですか?
「まだよ、まだ。ここは焦っちゃだめ」
中庭で屈みこむ二人の前には、即席で作成した『七輪モドキ』。
花畑と化した中庭で、周りにあった土を集め『土魔法』とやらで固めて出来た代物だ。
『火魔法』と、初めて使うであろう『土魔法』とやらを駆使して、『七輪モドキ』を作り上げた事になんのためらいもない。なぜならこれは必然であるからっ!
『七輪モドキ』に厨房から借りてきた焼き肉用の網。そしてその上には、焼きあがるのを今か今かと待ち望んでいる『走るキノコ』事『松茸』ちゃん。
一度はやってみたかった憧れの、手で『松茸』を割くという工程を経て、今はジリジリ焼き上がりを待つばかりである。
「‥‥‥‥七輪作ってる時のリオさん、すごい勢いでめっちゃビビりましたけど」
「作った事なんかないし。それに、ほら、‥‥‥‥失敗したくないじゃない‥‥‥‥」
失敗したくないので『土魔法』と『火魔法』をゴリゴリに使いまくった結果。中庭にはどデカい穴が出来てしまった。お花達は身の危険を感じたのか、穴の周辺からは自ら退避していた。
君達逃げ足早くなったよね‥‥‥‥。
「‥‥‥‥後で埋めといてくださいね」
「‥‥‥‥はい」
開けてしまった穴はやはり大きかったらしい‥‥‥‥。
そんな事を考えていると、『松茸』からいい感じの匂いが漂いだした。
「よっしゃぁ!ここだぁぁぁぁ─────」
その瞬間を待っていた!とばかりに取り出したる『一升瓶』。
そこから数滴の 醤油が浮かび上がり、『松茸』にかけられる。
『そこは「魔術」を使わなくても‥‥‥‥』
『ナビ』ちゃんからピロっと小言が出てきたが、なにを言っているのだ!貴重な『高級醤油』だぞぅっ! 出し過ぎたら勿体ないでしょ!
そうこうしているうちに、火に当てられて『七輪モドキ』から懐かしの香りが漂い出す。
コレよこれっ!たまらんわ~と堪能していたが、姫さんに急かされて網からおろし、二人同時にパクついた。
「「 ふぉぉォォォォ───── !!」」
二人興奮気味にハイタッチを交わしていると「何してんだ‥‥‥‥」といつの間にかおっさんを含めた隊長さん達が呆れた顔で中庭の入り口に立っていた。
「え、帰城ですか?」
「はい。陛下からの知らせが来ました」
ほほう、姫さんにパパさんから「帰っておいで」と。
先刻到着したピーちゃんがお手紙を運んで来たんだな。
まあ、お姫さんは『呪詛』をかけられて人目もあるから、この砦に避難してきたと言っていたしな。
ピンク教の心配がまだあるとはいえ、『呪詛』がなくなったとなれば、帰っておいでと言いたくなるわな。
もっきゅもっきゅと『松茸』ちゃんをいただきながら、隊長さんが説明するのを聞いていた。
ちなみに今は『七輪モドキ』が二つとなり、『松茸』以外にも肉が追加され、焼肉パーティー状態だ。中庭で焼肉しながらの会議?という異様な光景に、近寄ってくる隊員はいない。大穴も二つ開いているので、余計に避けられている感があるが‥‥‥‥。
犬魔獣達は、朝の『パンケーキ戦争』の姿が嘘のようにシロ君と一緒に並んでお座りをし、焼き上げられたお肉が飛んでくるのをちゃんと待っている。君達、熱いの大丈夫なんだね‥‥‥‥。
『松茸』? 自分はケチじゃないので出し惜しみはしませんよ?『高級醤油』はしますが─────何か?
「それと、両陛下がどうしてもリオとシロ君に会いたいと‥‥‥‥とくに王妃様が‥‥‥‥」
─────ほ?自分、ご指名ですか?
267
あなたにおすすめの小説
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜
カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。
その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。
落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる